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頭の中の池内慶

空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。

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松岡系

「こんにちわ~、はじめまして。」
ボブの黒髪の女性が愛想をふりまく。
目は真赤で黒い服に赤と緑の二筋のラインの入っている。
腰には金色の柄に銀色の草模様の入った鞘の西洋風の剣をさしているが、特徴は
手に大きなズタ袋をもっていることだ。
「このたび、お仲間に加えていただいた松岡炎です。」
そう言いながら頭をさげる。
「よく来たねえ、私や良は火使いの連中には手が出せないもんだから、
あんたみたいな火使いが来てくれたらたすかるわ、火対火だと、あとは
武力の実力勝負だからねえ。」松岡覇はそう言いながら片手に持った巨大なハンマーを
軽々とくるりと回した。
それを横で松岡狼が黙ってみている。
「こいつも凄腕の火使いだ。分からない事があったら聞いてくれ、もっとも、同じ火でも
武器が違うんだから自分のやりやすい戦い方でやってもらっていいんだよ。」
松岡覇は機嫌よくそう説明した。
「・・・・・・よろしく」松岡狼がつぶやくように言った。
「よろしくお願いします。」松岡炎は頭をさげた。
松岡系たちが語らっていると南の方からミシッ、ミシッと音が聞こえてくる。
「ん?」怪訝な表情で松岡覇がそちらを見ると黒いシルエットの中心に人影がある。
体からは無数の花が生えている。
「ん?池内慶か?今新人を歓迎してるんだ、あとで遊んでやるからあっち行ってろ!」
しかし、その体から無数の暗黒の花を咲かせた影は黙って近づいてくる。
「しつこいぞ、池内け・・・・」
松岡覇は殺気を感じた。
「てめえ、木だろ?
木の分際で鉄と火の私たちを殺しに来たのかい?どこのバカだい、帰り打ちにしてやんよ!」
が叫ぶと松岡炎がズタ袋の口をあける。そこから巨大な火柱があがり、一瞬にしてその影を
火に飲み込んだ。
「熱い!熱い!熱い!死ぬ!死ぬーっ!!!」叫びながら影は転がりまわった。
そして口から「べ!べ!べっ!」と種を吐き出した。
「種だ!ひとつ残らず焼き殺せ!」松岡覇が松岡狼を見ると、
松岡狼は素早くその影が吐き出した種に正確に火の玉を命中させていき、すべて燃やした。
「とどめだー!」叫びながら松岡覇が火だるまになって暴れる影にハンマーを振り下ろした。
その影はメキッと音を立ててつぶれた。
「チョロいもんだねえ!ハハハ」松岡覇はご機嫌で笑った。
しかし、巨大ハンマーを地面に振り下ろしたときに悪い予感がする。
「ジャリッ」という音とともにざらついた感覚が手に伝わる。
「木?・・・・・いや、木じゃない・・・・土だああああ!」慌てて松岡覇が叫ぶが早いか、
その砂はまるで液体のように素早く地面をはって、松岡炎の袋の中に入った。
松岡は自分の足元に散らばった花を拾い上げた。
それは、砂漠のバラと呼ばれる硫酸バリウムという鉱物の結晶体だった。
松岡狼が種だと思って焼いたのはただの石ころだった。
「チッ、やられた!」松岡覇は舌打ちをした。
すこし間があった。
松岡系たちが終わったか、と思ってすこし気を許したとたん、
松岡炎の袋から巨大な手が二本素早く飛び出してきて松岡炎と松岡狼をつかんだ。
「うわっつ!」叫ぶ松岡炎。松岡狼ももがくが動きがとれない。
松岡炎と松岡狼のエネルギーを吸収してその手は肥大化していった。
どうすることもできない松岡覇。
完全に松岡炎と松岡狼が動かなくなると、
その大きな手は二人を松岡覇に投げつけた。
「うわっ!」松岡覇は本能的にそこを飛びのいて、二人は地面にガツンと音をたてて落ちる。
すると、その巨大な手は一つに融合し、等身大の人型の影になった。
そして、その腹から巨大な血走った眼がクパーッと開いた。
「お前は、友人を捨てて逃げた。炎で自分の顔が歪むのが怖かったんだ。
お前は、自分の美しさを守るために友達を捨てた。汚い!汚い!汚い!」
その影は松岡覇に語りかけてきた。
「そんな、違う!私は義の元に生まれた者!決して友を見捨てはしない!」
影はどんどん松岡覇にせまってくる。
「ならば、目の前に転がっているものは何だ?おまえは汚いものか?」
松岡覇の目から涙が流れ落ちる。
「ちがう、私は・・・・汚くない、ただ、どうしよううもなくて・・・」
その影の腹のところにある血走った眼がより一層開き、そこから血が
したたりおちる。
「そうだろう?おまえは汚くない、力が及ばなかっただけだ。我を崇拝せよ、
現世利益を求めよ、そして、崇高なる我の栄光の教義を世に広めるのだ。
さすればお前に永遠の力を与えよう。」
松岡覇は目からボロボロと涙を流し中らひざまづく。
「ああ、くやしい・・・・・もっと強くなればこんな屈辱的な思いをせずに済んだのに。」
黒い影はいっそう松岡覇に近付く。
「さあ、誓いなさい、永遠に我が信徒となり、布教をつづけると。」
その、松岡覇と黒い影の狭間に巨大な真っ黒なオノがブウンと唸りをあげて振り下ろされた。
松岡覇の体を覆って余りある30メートルはある巨大な斧だ。
その斧の柄を松岡良が片手でヒョイと持ち上げた。
影は素早くとびのくと、意識を失っている松岡炎と松岡狼の頭をつかんで、
松岡良に投げつけた。
松岡良はそれを軽くかわす。
「避けたなあ、お前は友を見捨てたのだ。」
影はうめいた。
「それで?」
松岡良は無表情に答えた。
黒い影はすぐさま巨大な手に姿を変えて松岡良をつかみにかかった。
それを松岡良は容易くテニスボールでも打ち返すように巨大な斧で
はじき返した。
はじかれた黒い腕は唸りをあげならら猛スピードで空の彼方まで飛ばされていって消えてしまった。
松岡良はその斧をコンコンと二回叩くと斧は大豆くらいの大きさになった。
松岡良はそれを耳に入れると松岡覇のところまで歩いて行った。
「大丈夫か?」
松岡覇は頭を振る「あ?ああ・・・」
松岡良は意識を失っている松岡狼と松岡炎に目を移す。
「こいつらも、ほっておけば目を覚ます。気にするな。」
そう言って松岡良はどこかへ歩いていった。

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