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頭の中の池内慶

空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。

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ミルキーはママの味

「ミルキーはママの味だよ!」
買い物に行った時に慶ちゃんが言った。
「ふーん」
私はそういって、お菓子売り場の横をとおりすぎようとした。
「ママの味だよ!買わなくていいの?かわなくていいの?」
と慶ちゃんが必死で言ってくる。
「買わなくていいよ」
と言って私はその場を通り過ぎた。
しばらく歩いたが周囲が静かなのに気づく。
周囲に慶ちゃんたちがいない。
もしやと思ってお菓子売り場に戻ると
慶ちゃんがお菓子売り場につったってうなだれていた。
その背中を心配そうに忍ちゃんと剣ちゃんがさすっていた。
「買ってほしいの?」
私が訪ねると、慶ちゃんは急に元気になって「うん!」と言った。
しかたがないのでミルキーを買った。
家にかえって食べてみる。
粘着性のある飴で、なかなか口の中で溶けない。
ちょっとイライラしてきて、奥歯で砕いて食べた。
味はミルク味でおいしかったが、どうも歯にひっつく。
「ガリッ」と鈍い音がした。
石を噛んだような感触。
あわてて飴を口から吐き出したら、飴に奥歯の詰め物がくっついている。
「わーい!当りだ、当り!」
慶ちゃんが喜んでいる。
「ばーかばーかー!」
忍ちゃんもよろこんでいる。
「その金属かっこいい!」
剣ちゃんが飴にくっついている歯の詰め物をゆびさして言った。
しかたがないので、歯医者に電話して歯に詰め物を詰めなおしてもらうことにした。
「ねえねえ、どこに電話してるの?」
慶ちゃんが興味深そうに聞く。
「歯医者だよ」
私が答える。
「なんで?」
慶ちゃんが首をかしげる。
「歯を元にもどしてもらうためだよ。」
それを聞くと慶ちゃんは「お~!」と言って
両手を上に上げた。
「歯医者復活だー!」
お前、それが言いたかっただけだろ。
歯が抜けてしまったので、これ以上、飴をなめる気がなくなってしまった。
でも、捨てるのももったいないしなあ。味はおしいいし。
そうだ!水に溶かしてミルクセーキみたいにして飲もう!
そう思いついたので、麦茶を入れるガラス瓶に水と残った大量のミルキーを入れて、
机の上に置いた。
「うひょーっ!おいしそうだね、慶ちゃんにも飲ませて!」
飛び上がりながら慶ちゃんが叫んだ。
「まだ飴が溶けてないからだめだよ。」
私はそういった。
この妖精たちは、お皿の上に乗っている食べ物の生気を吸い取ることはできる。
でも、細長い麦茶を入れるガラス瓶は直接手を触れて移動させることはできない。
口が小さくて手も入らないし、自分で瓶をかたむけることができない。
瓶のまわりで慶ちゃんがモノほしそうにウロウロしていた。
思い余って、慶ちゃんがガラス瓶に顔を突っ込んで舌をのばして、ミルキー水をなめようとした。
「こらっ!」
そういって私は慶ちゃんをつまみあげた。
「まったく、お子ちゃまね、何がママの味よ、幼稚なんだから。」
慶ちゃんの様子をみて忍ちゃんが呆れて顔をしかめた。
「まったくだね、もう、みっともないんだから。」
剣ちゃんもそう言ってたしなめた。
それでも慶ちゃんはミルキーと水の入ったビンに興味津々で回りをうろちょろしている。
「忍ちゃん、剣ちゃん、私はいまから歯医者さんに行って留守にするけど、慶ちゃんがビンに
変なちょっかいをかけないよう見張っててね。」
私がそういうと、剣ちゃんが「はーい!」と元気よく返事をした。
忍ちゃんは「まったく、世話がやけるわね」と言ってそっぽを向いた。
私は家を出て、歯医者に行って、すこしだけ、歯が抜けた場所を削ってもらって、
歯の型をとてかえってきた。
家に帰ってくると、慶ちゃんの口の周囲に赤い充血した輪っかができていた。
「慶ちゃん、空気を吸い上げたら水が上にあがってくると思って、ビンに口をつけて、中の空気を吸って、
真空にしようとしたでしょ。」
私がそういうと、慶ちゃんは激しく首を横に振った。
「そんなことしないよ!ひどいよ!慶たんは良い子だよ!」
まったく。
「忍ちゃんもちゃんと慶ちゃんを見張っておかないと……」
私がそういうと、スーパーのカラーチラシを逆さにして読んでいる忍ちゃんが紙を下して
こちらを見た。
「なによ、うるさいわね、セレブは今、ウインドーショッピングでいそがしいのよ。」
その口のまわりには真っ赤な充血が。
「忍ちゃん、君もママの味の誘惑に勝てなかったんだね。」
そういうと、忍ちゃんは思いっきり上から目線で私を見下しながら笑った。
「おーっほっほっほっ、セレブの私が、たかが飴玉に興味など持つはずがないじゃない。ばからしい。」
私はため息をついた。
「本当に、困った子たちだね、信用できるのは剣ちゃんだけだよ、ねえ、剣ちゃん」
私がそういうと剣ちゃんが「うん、そうだね!」と言って満面の笑みでこちらを見た。
口のまわりにはくっきりと赤い充血の円の跡が残っていた。

結局、だれもママの味の誘惑には勝てなかったようだ。
恐るべし、ママの味。
 

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