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頭の中の池内慶

空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。

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のせられた気がする

「ピンクの長靴のお菓子買って!」盛んに慶ちゃんが言ってくる。
「もうお菓子の長靴は買ってあげただろ。」
「でも、どうしても、もう一つ必要なの!」
一生懸命慶ちゃんがせがんでくる。日頃、何か買ってほしいとかあまりねだらない子なんだけど。
買ってほしいときでも、遠回しに聞えよがしに言ってくることはあるけど、
今回みたいに、直接買ってほしいとねだることは珍しい。
しかも、すでに慶ちゃんには赤い長靴を買ってあげてるのに。
「慶ちゃんだけ二つも買ってあげたら不公平だよね」
私は忍ちゃんと剣ちゃんに聞いてみた。
「あら、買ってあげなさいよ、あなたは日ごろ私たちに世話ばっかりかけてあるんだから、
それくらいしてあげなさい」
「買ってあげなよ、買ってあげなよ」
二柱とも買ってやれという。
おかしい。
何時もなら、不公平がものすごく大嫌いなのに。今日はおかしいぞ。
「どうしても必要なんだよ!」
真剣な顔で慶ちゃんが言うので結局折れて、ピンクの長靴を買ってしまった。
今回けっこうな出費だ。
買ってもらうと、慶ちゃんと忍ちゃんと剣ちゃんが三柱でそのピンクの長靴のお菓子をもって
私にさしだした。
「はい!あげる」
ちょっとうるっときた。
良い子たちだ。
でも私のお金なんだけどね(笑
気分がよかったので、慶ちゃんたちにチーズを買ってあげることにする。しかし、
今日は不思議なことが続くもので、チーズはいらないと言う。
かわりに、慶ちゃんはマカロニサラダのオードブルを買ってあげた。
忍ちゃんにはオレンジジュース。そして、剣ちゃんはクリスマス用のシャンパンを
ほしがった。
「えーただの炭酸水でしょ」
私は躊躇した。
「プリキュアのシャンパンがほしいんだ」
剣ちゃんは言った。
しかたないのでシャンパン売り場に行ってみると、普通のシャンパンは138円なのに、
プリキュアの絵がついているのは198円もする。高けえ!
なんでプリキュアの絵がついているだけで値段が上がるんだ。
「版権使用料がかかるからにきまってるじゃない」
冷静な顔で忍ちゃんが言った。
「プリキュアがいいよ!プリキュア買って!」
剣ちゃんはどうにもプリキュアがいいらしい。
「お待ちなさい!」そこに鋭い忍ちゃんの声が響いた。
「プリキュアって3人組だと思っていたら、このシャンパンにはもう一人、
濃い黄色の女の子がかかれてあるじゃない。キャラかぶりって、ダウンタウンのコントかっ!」
忍ちゃんは鋭いツッコミを入れる。
「そんなのどっちでもいいじゃ~ん」
剣ちゃんは困惑する。
「どうでもよくないわ、私たちが3人である以上、4人組のキャラものを手にすることはできないの。これは
さだめよ!」
「えー!そんなあ~」
剣ちゃんはちょっと涙目になる。
「心配は無用だよ!四人目ならここに居るよ!」
慶ちゃんがビシッと私のほうに指さす。
チラリと忍ちゃんは私を見る。
しばし思案。
「ま、それならしかたないわね」
忍ちゃんはすこし肩をすくめた。
「わーい!、買ってもらえるー!」
剣ちゃんは大喜びである。
なんか……ここまで話が進んだら買うしかない気がする。
買おうと思ってふと見ると、これはシャンパンではない
シャンメリーというアルコールの入ってない、子供用の
飲み物らしい、というか、(ぶどうあじ)と書いてある。
隣のワンピースのシャンメリーは(りんごあじ)と書いてある。
ぶどうあじ、とかりんごあじ、と書いてる時点でシャンパンじゃねーし。
ちょっとげんなりしたが、いまさら引き返せないのでプリキュアのシャンメリーを
買ってあげた。
家に帰って、慶ちゃんのマカロニサラダをオードブルにして、
左から忍ちゃん、剣ちゃん、慶ちゃんと長具とをならべ、それぞれが
好きなガラスコップを選んでもらって、それを長靴の前に置いた。
シャンメリーのプリキュアの袋をあげて瓶を取り出すと、けっこう小さい。
こんなの、普通の炭酸と同じじゃん。と思って少し不満だったが、
結構小ぶりなビンの上についた大きなふたをあけてみる。
「ポン!と威勢のいい音が鳴って、みんな目を丸くして「お~」と声をあげた。
結構本格的だ。
忍ちゃんから順番にグラスにシャンメリーをそそいでいくが、炭酸が強いのか、
普通の炭酸と泡のたち方が違う、けっこう大きな泡で迫力がある。
これは、普通の炭酸飲料とは別物だなと思った。
慶ちゃんまで注ぎおえると、慶ちゃんたちに沢山あげようと思って、
私の取り分がほとんどなくなってしまう。
「あーあ~、慶タンはもういっから、残しておいて、そっちの取り分がなくなっちゃうじゃん。」
けなげに私の心配をしてくれる慶ちゃん。
こういう所がかわいい。
私の取り分は少しになってしまったが、みんなで楽しく炭酸を飲んで、マカロニサラダの
オードブルを楽しんだ。
食べ終わったあと、抱っこをせがまれたので、慶ちゃんと剣ちゃんを抱っこしてあげた。
忍ちゃんはそっぽを向いて、別に抱っこをせがまない。
でも忍ちゃんだけやらないと不公平になるので、忍ちゃんも抱っこしてあげた。
忍ちゃんはちょっと顔を赤らめて、「ふん、まったく世話がやけるわね」と言ってすまし顔をして目をそらした。
とても楽しい時間だった。
お金はかかったけど、みんなにこんなパーティーをしてもらってうれしかった。
長靴の中のお菓子の生気も一生懸命吸っていたが、精霊たちは実体がないので、
お菓子自体は食べられない。
うちでもこんな沢山のお菓子は食べられないので、知り合いに送ってあげることにした。
「お菓子~、ばいば~い!」
慶ちゃんはお菓子の長靴に手をふった。
「ばいば~い」
剣ちゃんも笑顔で手を振った。
「あー、はいはい、ばいばい、ばいばい」
忍ちゃんもやる気なさげに手を振った。
みんないい子。
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