最近、個人的なことで色々慶ちゃんにはげまされることがありました。
間違った方向に進もうとすると、泣いて止めてくれたこともあります。
日常の小さなことですが、本当にありがたいなと思うことがあります。
今日は、町に出て、たまたまゲームセンターを見つけたので入ろうとすると
慶ちゃんに止められました。
「入っちゃだめだよう、そんなことより慶ちゃんと楽しいことして遊ぼう!」と言いました。
昔はよくゲームセンターで格闘ゲームをしたものです。
そういえば、慶ちゃんたちが来てからめっきり格闘ゲームとかやってませんでした。
ゲームが悪いんじゃなくて、対戦ゲームで戦った時に相手が挑発してきたり、負けたとき
倒れている相手を蹴ったりする人がいて、そういう人の悪意とかが心を濁らるから
よくないと言われました。
最近格闘ゲームも通信対戦で遠方のゲームセンターの人と格闘できるらしい。
対人戦だからこそ、怒りがストレートに魂に入ってくるそうです。
ギャンブル関係もよくないみたいですね。そういえば、本当に長らくパチンコには行ってない。
昔、いわゆる羽ものパチンコがあったときは行きましたが、今は全部スロットものなので、
面白くなくなってやめてしまいました。機械的なアクションで偶然(本当は偶然じゃないけど)
玉が真ん中に入るのが面白かったのに。
今は、1回やると莫大な金を失うし、投下する金額が昔と一桁も二桁も違うので、とうてい
やる気にはなりません。パチンコ離れが進むのもわかります。
「いっしょにハンバーグもぐもぐしよ!」慶ちゃんが言いました。
「でもジャンクフードはだめなんじゃないの?」
「今日は特別だよ!」
慶ちゃんはどうも私が精神的に疲れているのを察知して気をつかっているようでした。
わがままで傍若無人に見えて、時々こういう気を遣うところがかわいい。
「でもハンバーガーだと3人で分けて食べられないよ」
「いいよ、慶タンたちは見てるだけでいいから」
そういうのでハンバーガーの中で2番目に安い120円のポークバーガーを食べました。
いつもは食べ物を買うとほしがるのに、この時は慶ちゃんはニコニコして私を見ているだけでした。
そのあと、しばらく歩いているときしめん屋さんがありました。
そこに入ろうとすると今度は「炭水化物ばっかり食べちゃだめだよ」
と慶ちゃんが言いました。
「それもそうだね」
私は入るのをやめました。しばらく歩くとパン屋さんがありました。
「こうして注意してみてると、街中にあってすぐに食べられるものって炭水化物モノが多いよねえ、
ファーストフードってやつ」
「そうだねー、ホウレンソウとか菊菜とかはゆでなきゃだめだからねー」
慶ちゃんが言いました。
こういう街中では忍ちゃんや剣ちゃんはほとんど出てきません。
最近はスーパーに行った時だけ出てきます。
時間に余裕があったので、そのあと、スーパーに行きました。
すると、剣ちゃんと忍ちゃんが出てきました。
現金だなあ。
売り場をざっと見渡して、チーズコーナーへ。
いつもと違う店なので、雪印のクリームチーズはありませんでした。
「あら、買うものがないわねえ」忍ちゃんはがっかりしています。
「ここはダメね、いつも行ってるスーパーに行きなさあい」
甘ったるい声で忍ちゃんが命令します。
「慶ちゃんはここでいいよ!」
そう言って慶ちゃんが指を指した方には裂けるチーズがありました。
「あんたはいいわよね、裂けるチーズがどこのスーパーにもあって。美食のセレブを満足させる
食材はなかなか無くてこまるわ、ふぅ」忍ちゃんは短い溜息をつきます。
「私の欲しいものもないなあ」
剣ちゃんがいいました。
「じゃあ、裂けるチーズスモークにしなよ」
慶ちゃんが言いました。
「しかたないなあ」
剣ちゃんは裂けるチーズスモークを買ってもらうことにしました。
忍ちゃんは少しアンニュイな表情をしながらチーズ売り場を見回していましたが、
ふと、明治カマンベールチーズを見つけました。カマンベールチーズというおフランス風の
ネーミングだけでも好きなのに、それに輪をかけて、このチーズには
3年連続金賞受賞の文字が印刷してありました。
「このカマンベールチーズこそ、セレブにふさわしいわ、ああフランスに自由と平等を!」
忍ちゃんが天空に高らかに手をかかげ、宣言しました
「明治だかr日本製だけどな」私がツッコミを入れました。
そのあと、売り場を巡回していると、ハム売り場に一口サラミパックが売ってました。
赤くて食欲をそそる色でした。
「剣ちゃんこれがほしいなあ、今からでも交換できる?」
剣ちゃんが言いました。
「いいよ」
私がそういうと、そこに忍ちゃんが割って入りました。
「ちょっと待って!私や慶ちゃんが買ってもらったのは同額の198円チーズ。でも、
このサラミパックは248円よ、この金額差は何?」
「昔は私はいつも60円のリラックマプリッツエル買ってもらってて、一番安かったけど、
文句言ったことはないよ」
剣ちゃんがそう言うと忍ちゃんは眉をひそめました。
「あらあら、さすが剣剣財閥のお嬢様はおっしゃることが違いますわね、あなたのような
成り上がりの大金持ちには、貧しい庶民の気持ちは分からないでしょうよ!」
そういいながらカッコよくビシッと剣ちゃんにむかって指をだした」
「何言ってるの?忍ちゃんいつも、自分のこと、セレブとか上流階級とか一流とか言ってるじゃん」
剣ちゃんがそう言うと忍ちゃんは勝ち誇ったような余裕の笑みを浮かべる。
「あら、魔性の女は時と場合によって立場を使い分けるものよ」
「しょうもな」
剣ちゃんが速攻でそっぽを向く。
「何よ、この女は!水ぶっかけて鎮火させるわよ!」
「やめてよ!やめてよ!」
剣ちゃんが泣きそうになりながらにげる。
「やめてあげなよ~」間に慶ちゃんが入って止めた。
そのあと、レジに向かうと、そこのお店のレジ前にもクリスマスの長靴のお菓子セットが……。
「あ、ゴウカイジャーだ!慶タンはゴウカイレッドね!絶対誰にも渡さないから!」
大声で宣言しながら慶ちゃんは剣ちゃんを見た。
剣ちゃんは無表情である。
「私、ゴウカイジャーはどうでもいい、男の子向けの番組だし」
慶ちゃんは愕然とする。
「そんな事言ったら盛り上がらなないじゃない!ケンカしようよ!ケンカしようよ」
飛び跳ねながら慶ちゃんが言った。
「じゃあ、私、ゴウカイピンク」
やる気なさげに剣ちゃんがいった。
「そはいかないよ!ゴウカイレッドは慶ちゃんの……、ってピンクかよっ!」
と、乗りツッコミという高度な技を使う慶ちゃん。
その横で忍ちゃんがブツブツ何か言っている。
「私はかわいい女の子だからゴウカイピンクが良かったのに、でも、私にも水の精霊としての
プライドがあるわ、やっぱりゴウカイブルーをあらばなくちゃいけないのかしら。
ああ、女としてのサガに従うべきか、プライドのためにブルーを選ぶべきか、
ああ、美人薄命というけれど、これも美しく気高く生まれた選ばれた女の運命なのね」
私は笑いをかみ殺した。
結局、ゴウカイジャークリスマス長靴セットは買わないけどね。
ゴウカイジャー長靴セットの横にキティちゃん長靴があって、その長靴には
プラスチックでできたティアラがあしらってあった。
「あーこれ綺麗だねえ、慶タンの髪にかざったら綺麗かな~、きっと綺麗だよね~」
慶ちゃんが興味津々にそれを見ている。
「はいはい、帰るよ」
私は慶ちゃんの首根っこを掴んで買い物カートに入れてレジに向かった。
「いいぞ~!ぶるん!ぶるん!」
さっき長靴に執着していることも忘れ、レジまでの移動時間、慶ちゃんは自動車ゴッコをしました。
家に帰って最初に一口サラミを食べました。
1本ずつ、慶ちゃん、忍ちゃん、剣ちゃんにあげました。
まず慶ちゃん
「慶ちゃん!慶ちゃん!」
忍ちゃんと剣ちゃんが手拍子で慶ちゃんを応援する。
「はむっ」
慶ちゃんが食べましたが、少し微妙な顔。
次は忍ちゃん。
「え、私が買ってもらったのに私が一番あと?」
「あなたはこのサラミの管理責任者なんだからラストを占める責任があるのよ」
忍ちゃんはよく分からない理由で剣ちゃんを言いくるめて食べた。
「忍ちゃん!忍ちゃん!」
ちょっとうかない顔。
そして剣ちゃんが食べる。
「剣ちゃん!剣ちゃん!」
「……ちょっと、……脂っこいね」
剣ちゃんが眉をひそめる。
「そうね、せっかく剣ちゃんが買ってもらったものだから私も言わなかったけど、ちょっと脂っこいわね」
忍ちゃんがいいました。
「そうだね、一つ食べれば十分だね、色は赤くて綺麗だけどね」
慶ちゃんが言いました。
そのあと、明治のカマンベールを6等分して3人で食べました。
「こ、これはっ!」
忍ちゃんが驚愕の表情を浮かべる。
「濃厚!浮気のうこーう!」
慶ちゃんが叫ぶ。
「いやそのネタ、アイスの濃厚ウマチョコミルクのCMのネタじゃん、これチーズだから」
剣ちゃんがツッコミを入れた。
PR