今日、台所に行くと、いちごが二つ、お皿に入れてあった。
それを見て慶ちゃんが騒ぎ出した。
「大変だよ！いちごが３つないとみんなで仲良く食べられないよ！」
「いいじゃん、あなたいつも依怙贔屓されてるんだから、あなたが二つ食べれば」
忍ちゃんが嫌味っぽく言った。
「慶タン依怙贔屓なんてされてないよ！」
慶ちゃんは必死で弁解する。
「二人で食べなよ、どうせ、私は食べられないよね」
悲観的に剣ちゃんが言った。
「そんなことないよ！忍ちゃんも、剣ちゃんもいちごたべなよ！」
慶ちゃんが言うと忍ちゃも剣ちゃんも「分かった」と言って
イチゴを食べようとした。
「二人だけずるいよ！慶タンだけ仲間外れじゃん！」
そう叫んで慶ちゃんは地面をころがりまわる。
「やっぱりこうなるでしょ、ややこしい子ねえ」
あきれ顔で忍ちゃんが言った。
「ねえねえ、２つのいちごを包丁で３等分に分けてよ！」
慶ちゃんが私に向かって言った。
「めんどうだなあ」そう言いながらも、私は二つのいちごを３つずつに切りました。
でも、うまく三等分にできず、大小の差が出てしまいました。
「これじゃあ、慶タンの食べるぶんだけ量が多いじゃんか、しかたないなあ、みんな、これでいい？」
慶ちゃんは最初から自分が食べるぶんは一番大きい切れ端だと決めているようです。
「そうは問屋が卸さないディオールフランス限定バージョンよ！」
忍ちゃんが鋭いツッコミを入れる。
「そうだよ！慶ちゃんだけ大きいのずるいよ！」
剣ちゃんもさけびました。
慶ちゃんは困った顔をします。
「と、いうもとで、もう一度、平等に切ってよ」
ちょっと不服げな表情をうかべながら慶ちゃんは私に向かって言った。
「しかたないなあ」いいながら私は何度も二つのいちごを刻んでいく。
しまいに、いちごの短冊切りになってしまった。それを三等分して、
慶ちゃんと忍ちゃんと剣ちゃんにあげました。
みんなとても喜んでいました。
そのあと、スーパーに行って、ご機嫌でお買いものをしました。
忍ちゃんと剣ちゃんにはクリームチーズケーキ、慶ちゃんには裂けるチーズを
買ってあげました。
レジ前にドライチップがあったので「買ってあげようか？」
と剣ちゃんに聞くと「私だけ不公平になるからいいよ！」と言いました。
「えらいねえ」と言って頭をなでてあげると喜んでいました。
スーパーの出入り口に行くと、慶ちゃんた立ち止まります。そして
何か凝視しています。慶ちゃんの視線の向こうを見ると、
お菓子かなにかの詰め合わせで金属のバックになっているパーティーセットのようなものが
売っていました。
「買ってあげないよ、甘いモノは」と私が言いましたが、慶ちゃんは聞いていないようで、
そのお菓子の入った金属の箱を凝視していました。
慶タンは真ん中の子！」
そう言って慶ちゃんはお菓子の箱を指さします。
よくみると、その箱にはアニメのプリキュアの女の子３人の絵が描いてある。
ああ、食玩か、と思いました。
向かって左が水色の子、真ん中が赤い子、右が黄色い子。
「じゃあ、私は左側の水色の子ね」
忍ちゃんは文句なく水色の子を選びました。
水色の子はクールな感じな絵なので、忍ちゃんにぴったりです。
「えー、真ん中は赤だからきっと火の子だよ、私真ん中がいいな」
剣ちゃんが言いました。
「そんなことないよ！真ん中の子は元気っ子な感じだから慶タンできまりだね。剣ちゃんは黄色い子にしなよ」
「嫌だよ！たまには私だって自分の好きなものえらびたいもん！黄色いお花もあるから慶ちゃん黄色の子でいいじゃん」
「剣ちゃんには性格的に黄色の子がお似合いだよ、黄色にしなよ」
「慶ちゃんこそ黄色にしなよ、赤の子は私のほうが似合うよ」
珍しく慶ちゃんと剣ちゃんが言い争いになっています。
お互い、理屈はあまりうまいほうじゃないので、さいごは、お互い「に～！」と
言いながらお互いのほっぺたを両手で引っ張り合いをはじめました。
「これこれ、甘栗買ってやるからケンカはやめなさい」
私はそう言って、皮つきの半分向いてある天津甘栗を買い物籠に入れました。
「はーい」そう言って剣ちゃんは手をはなしました。
『甘栗！甘栗！」と言って慶ちゃんも手を放しました。
安いケンカだな。
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