この前、自転車の前かごに乗せて冒険旅行をして以来、慶ちゃんはプラスチックのカゴがお気に入りです。
スーパーに行ってもスーパーの買い物カートのカゴの中に入って、ありもしないハンドルを回す
マネをして「ぶいん!ぶいん!」と言いながら車を運転するゴッコをしています。
剣ちゃんと忍ちゃんは私の背中にしがみついています。
生鮮食料品の前を通ると、生タラコがありました。その成分表示のところに、小さな字で米国産という
字が書いてありました。
「コメコックさんだよ!剣ちゃん買ってもらいなよ」慶ちゃんはカゴの中から私の背中にしがみついている
剣ちゃんに声をかけました。剣ちゃんはけっこうアメリカ製品が好きなのです。
「そ、そう?」
剣ちゃんはこそっと私の背中から顔を出します。
「ちょっと待ちなさい!その成分表示には米国製又はロシア製って書いてあるわよ!これは罠ね!」
目ざとい忍ちゃんが表示を見て言い放ちました。
「え、それは困るよ!もしかして、買ってもらっても米国製ゃないかもしれないじゃないか!これは
究極の二択!ロシアンルーレットだよ!」
剣ちゃんが叫びます。
「ろ、ろ、ろロシアンルーレット!ロシアンルーレット!」と言いながら慶ちゃんがカゴの中で踊ります。
結局タラコは買いませんでした。
「まったく、なんでそんなにアメリカ製品なんかがいいのかしら」
眉をひそめながら忍ちゃんが言いました。
「私はカウボーイだからだよ!」
剣ちゃんはカウボーイハットをかぶってそう断言しました。
「あんた、カウボーイの意味分かってないでしょ」
「分かってるよ、私はカウボーイだよ!カウボーイハットもかぶったし」
「イヤ、絶対分かってない。私が断言するわ。」
忍ちゃんは言い切りました。剣ちゃんはキョトンとしています。
そうしているうちにアイスクリーム売り場の前を通ります。
「アイスクリームは食べ過ぎたら体に毒だよ!だから買っただめだよ!アイスは毒の蜜だよ!」
と言ったあと慶ちゃんは私の方をみて指をさしました。
「はい、毒蜜さんからズームイン!」
「あんたバカでしょ」
忍ちゃんがツッコミを入れました。
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