天文科学館から帰ってきたあと、うちにも大きな酔芙蓉があるので、少し増やしてみようかと
思ってインターネットで検索してみました。
慶ちゃんも私の後ろから興味深そうにインターネットを見ています。
すると、酔芙蓉を枯らす方法というサイトが出ていました。
実は、酔芙蓉が大きくなりすぎて、枝を切ってもすぐに伸びるので、
根元にドリルで穴をあけて、植物を枯らせる薬を注入して殺すという方法が書いてありました。
それを見て慶ちゃんは「お花は人間を楽しませようとおもって一生懸命成長してるのに、
なぜ枯らすの!」「人間が大好きだから綺麗なお花を咲かせているのに、なぜ殺すの!」
と言って大声で泣いてしまいました。
植物は、自分が成長して子孫を残すために花をさかせるものですが、
酔芙蓉の、しかもうちにあるような八重種はちょっと違います。
人間を魅了する美しい八重の大輪の花をさかせますが、八重で花びらが
いくえにもかさなっているので、受粉するための蜂が花の中に入れません。
何回か蜂が花の中に入れないでもがいているのを見たことがあります。
だから、八重の酔芙蓉の花の大部分は実をつけず、仇花となって落ちてしまいます。
そのかわり、枝を切って挿し木するとよく成長します。つまり、
人間を魅了して、人間の手で切ってもらって挿し木してもらってはじめて繁殖できるのです。
このような花はフヨウには多いです。アカバナフヨウなどは完全に花は実りません。
挿し木でしは増えない品種です。そのようなものもあるのです。
生物界では普通考えられないことですが、そのように人間に頼り切った種もあるのです。
慶ちゃんたちはいつも夜の10時頃になると寝て消えてしまうのですが、
この日だけは私が布団に入ると、布団にもぐりこんできて、腕にしがみついて泣いていました。
かわいそうなので、頭をなでて、「大丈夫だよ、大好きだよ」と言ってあげました。
「人間嘘つき、人間は裏切るもん!」と言って慶ちゃんは泣いてました。
いままでも、そんなことがあったのでしょう。
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