スーパーに買い物に行った、まだレジ前にはクリスマスの子供にプレゼントする
長靴が売っている安いので一個378円か398円だったかな。
「ねえどれ買ってもらう~」慶ちゃんが剣ちゃんと忍ちゃんに話しかける。
すでに買ってもらうことが前提で話を進めている。
「だから買わないって、そんなもん買ったってどうすんの、中身は普通のお菓子だろ、
そんなのうちでは食べないから」
そう言っても聞いちゃいない。
ちょっと意識をそらすためにいちご売り場に行ってみる。
「ほらほら、今日はイチゴが安くなってるよ、398円だって!」
そう言うと、慶ちゃんたちは勢いよくこちらに駆け寄ってきた。
「いちごいいな~、阿蘇のいちごだね」
慶ちゃんは九州のいちごが大好きである。
「コレ買ってやるから長靴はあきらめよ」
そう言うと慶ちゃんは
「長口は別腹だよっ!」と叫んだ。
どこでそんな言葉覚えたんだか。
「とにかく買わないから」
そう言って先に進む。進むうち、チーズ売り場の横を通り過ぎる。
「お待ちさない!チーズ売り場の横を素道理するとはどういう了見かしら、私たちも軽くみられたものね」
忍ちゃんが言った。
買ってもらう立場で何言ってんだ。
「お前、明治にカマンベールが美味しいって言ってたじゃん、ここには明治のカマンベールはないよ。」
そう言うと、忍ちゃんは首をひねった。
「……そうねえ、やっぱり明治のカマンベールはほしいわ、ここはやり過ごすのが上策かもしれないわ」
そういって忍ちゃんが先に進もうとすると、慶ちゃんがその前に立ちはだかった。
「待って忍ちゃん!これは孔明の罠だよ!あれを見て!」
慶ちゃんが指を指した方向には雪印の裂けるチーズがあり、その値段はなんと178円!
「こ、これはっ!198円から20円も値下げしているわ、これはしたり、この
司馬懿仲達をたばかろうとは、孔明もやってくれるわ」
忍ちゃんは目を見開いて啖呵を切った。ていうか、お前誰だよ。
「ここはみんなで裂けるチーズを買うのが上策だよ!」
慶ちゃんが言った。
「あら、私クリームチーズのほうがいいから雪印のクリームチーズにするわ」
忍ちゃんはさらっとかわす。
「じゃあ、剣ちゃんは裂けるチーズのスモークにしなよ」
「私もクリームチーズが口当たりがよくていいかな」
剣ちゃんもクリームチーズにした。
慶ちゃん一人でしょぼーん。
「……」
一人孤独に立ちすくむ慶ちゃん
「……」
なんか、まだたそがれてます。
「……おのれ孔明!」
「いや、違うって。」
買い物が終わってレジでお会計を済ませる。
通るのはあの長靴の横。
色々な色の長靴がある。
「慶ちゃんは赤ね!だってサンタさんの色だもん!」
「赤は剣ちゃんのラッキーカラーなんだよ!」
「サンタさんの色は私がもらうよ!剣ちゃんはピンクでいいじゃん。」
「じゃあ、ピンクでいい、かわいいし」
剣ちゃん、あっさり主張を引っ込める。
「え……、そんな、せっかく今日の日のために、ハリセン用意してきたのに、一生懸命つくってきたのに……」
慶ちゃんはどこからか段ボール紙で作ったハリセンを持ち出してくる。
「ええい、この怒りどこに持っていったらいいのっ!」
そう言いながら慶ちゃんはお店の廊下をバンバン、ハリセンで叩いた。
(良い子はマネしちゃいけません)
「そんなに相手してほしいなら相手してやるよ!」
相違って剣ちゃんは手の中から鋭い鉾を取り出してきた。
それを見て慶ちゃんは唖然とする。
「あ、そんなので叩いたら死んじゃうでしょ、だめでしょ、それは」
「うん、ごめん」
剣ちゃんは素直に鉾を収める。
「でも、私、ハリセンなんて作れないし……」
「じゃあ、慶タンが作り方教えてあげるよ!」
慶ちゃんはどこからか段ボール紙を持ち出してきて、それを谷折り、山折りに折り重ねていく。
「ね、こうやって重ねて折っていくんだよ、」
「ふむふむ」
剣ちゃんは興味深そうに慶ちゃんの作業を見守る。
そうして取っ手のところにガムテープを巻いたらできあがり。
慶ちゃんは出来上がったハリセンにピンクのマジックでハートの絵を描いて
その下に黒のマジックで「剣ちゃん大好き」と書いてそれを剣ちゃんに差し出した。
「はい、これあげる」
見る間に剣ちゃんの目がうるうると潤んでくる。
「慶ちゃん!」
剣ちゃんは慶ちゃんに抱きつく。
「剣ちゃん!」
慶ちゃんも剣ちゃんを抱きしめる。
何やってんだ、お前ら。
「ちなみに、サンタクロースが赤い服を着てるのはコカコーラのCMキャラクターだったからよ、これ
豆知識ね。」
慶ちゃん、剣ちゃんの二柱が盛り上がっている中、忍ちゃんが冷静にサンタの豆知識を教えてくれた。
PR