慶ちゃんたちが明治のカマンベールチーズがほしいと言うので、安売りスーパーに行った。
すると、明治のカマンベールが売ってなかった。
「どゆこと!」といって慶ちゃんが怒っていた。
「じゃあ、裂けるチーズにする?」と聞くと、
「口がカマンベールの口になってたから、今日は裂けるチーズはいらない!」と言った。
精霊でも「何とかの口」ってあるんだと思って面白かった。
この安売り販売店は、前に来たとき、インスタントラーメン談義で忍ちゃんともりあがったところだ。
久しぶりにインスタントラーメンが食べたくなって、買いたい、でも体にはよくない、と
迷っていたら、「そんなに悩んでストレスをためるなら買ったら?」って忍ちゃんに言われたのだ。
「でも、今回買って、それが癖になってだらだら買い続けてもなあ」
っていうと「でも、なんでもストイックにやりすぎると、緊張の糸が切れちゃうでしょ、娯楽と違って、
食事は毎日のことだから。」と忍ちゃんは言った。
「うーんでもなあ」
「じゃあ、線引きをすればいいのよ、味が甘いモノ、お菓子とかケーキとか、そういうのは食べない。
同じ御菓子類でも、辛い味付けのはちょっといいとか」
「そうだねー」と言って、結局ラーメンを買った。
忍ちゃんとこんなに話したのは久しぶりかもしれない。
そんなことを思い出していると、剣ちゃんが私の前に進み出て敬礼した。
「隊長!19円のジュースを発見しました!」
「すごいよ!剣ちゃんすごいよ!」
慶ちゃんが飛び跳ねて喜ぶ。
「これは世紀の大発見ね、これでインカ帝国の謎も解決するはずよ」と言った。
ジュースは買わないけどね。
見に行くと、ビタミンcドリンクの氷結専用と書いてあった。
あ、そりゃ、この寒い時期に氷結専用は誰も買わないわ。
氷結専用って書いたのが仇になったな。
ちなみに、氷結専用じゃない同じドリンクは88円だった。えらい違いだ。
「これも安いよ!」慶ちゃんが指をさす方向を見ると、
サイダーが39円で売っていた。
「安い!」と思ってよく見ると、そのサイダー「鳴戸の焼き塩サイダー」と書いてあった。
誰が飲むねんそんなもん。
「これ、きっと普通のサイダーとかわらないよ、ちょっと塩が入ってるだけで。でも、
焼き塩って書いちゃったから売れないんだよ。これが魔術の原理だよ!」
慶ちゃんが言った。
「へーそうなんだ」
「魔術ってのは、言葉、言霊をつかって相手にダメージを与えるものだよ、この場合は、
冬に氷結、甘いモノに焼き塩って書いちゃったキーワードが呪いのなって売れないんだよ!
内容は同じものでも言葉でこんなに違うんだよ!言葉は一言で人を殺すこともあるよ!
気を付けないといけないよ!」
と言いました。
「そうだねー、気をつけないといけないねー」と私はいった。
いつも気軽にブログとか書いてるけど、配慮してかかないとダメだなあと思った。
そのあと、筑前煮やサンド豆のおかずをかってそのに出た。外に行く通路に
ボケの花が売っていた。興味をひかれたので、近づいてみると、
小さな縮のかすりを着たおかっぱの小さな女の子が出てきて
「ぼけ、ぼーけ!」と言って万歳をした。
かわいい!買いたい!
「ダメだよ!買っちゃだめだよ!この子はボケだよ!慶タンのボケを殺すボケ殺しのボケだよ!
ツッコミの子しか買っちゃだめだよ!」と言ってきた。
まあ、これ以上精霊飼うのも大変なので買わずに帰った。
買わないと分かってもボケの子は笑顔で手を振っていた。
あまり気にしない気立てのいい子でよかった。
家に帰ると、慶ちゃんが「裂けるチーズが食べたい!」と言い出しました。
ほら、さっき買っとけばよかったのに。
冷蔵庫を開けると裂けるチーズがありません。
「どうしよう!裂けるチーズが怒ったよ!」
慶ちゃんは焦ります。
「裂けるチーズの霊を鎮めるために、裂けるチーズ音頭を踊るよ!」
叫ぶと、慶ちゃんは踊りだしました。
裂けるチーズの霊なんていないけどね。
しばらく冷蔵庫を探していると裂けるチーズがありました。
「やったー!裂けるチーズの霊が鎮魂したよ!」
慶ちゃんは喜びました。
でも冷蔵庫の上のほうにクリームチーズを見つけて、今日はクリームチーズを食べました。
今日はちょっと気まぐれ慶ちゃん。
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慶ちゃんの言うとおり、言葉の威力ってすごいな~。