今日は久々に母と買い物に行った。
夕方で魚の棚商店街がぎりぎりあいている時間帯だ。
日頃は夜になってからスーパーに行くのだが、今日は
まだ市場が開いていたので市場に行く。
市場の八百屋では、店を閉める時間帯とあって、イチゴが割り引きで売っていた。
ひのしずく、2パックで700円これはけっこう安い。
これを2パック買った。すると忍ちゃんと剣ちゃんが出てきてタッチした。
「慶タンは我慢するよ!」
慶ちゃんが言った。最近、慶ちゃんがヒイキされていると言われて、ちょっと気にしてるようだった。
そのあとミカンをふたかご買った。スーパーではそれぞれビニール袋に入れて別々にしているが
八百屋さんは青いビニールのザルにミカンを入れていて、こちらが買うとそれを
ビニールの袋に一緒に入れてくれる。1かご600円で2つで1200円。
けっこうな値段だ。
「やったー!慶タン大富豪だよ!我慢したかいがあったよ!」
慶ちゃんは目を丸くしてすごく喜んでいるそぶりをしたが、
本当はイチゴがほしいんだと思う。精霊たち一番イチゴが好きだし。
ちょっと慶ちゃんが不憫になった。
そのあと、市場も閉まってしまって日も暮れたので、いつも通りスーパーにレッツゴー!
スーパーに行ってみると、めずらしく紅ほっぺが398円で売っていた。
「紅ほっぺだよ!紅ほっぺ!」
慶ちゃんが興奮して指をさして剣ちゃんの肩をバンバン叩く。でも剣ちゃんはなぜかシュンとしている。
「だめだよ~だって、もうイチゴ買っちゃったもん、剣ちゃんはイチゴもらっちゃったから、もう買ってもらうの
無理だよ」
なんだか可哀想だったので、剣ちゃんにイチゴを買ってあげた。
私は買い物かごにイチゴを入れる。
「わーい!これで三柱全員イチゴがもらえるね!」
そう言って慶ちゃんが笑顔でイチゴに走り寄る。
そして、剣ちゃんと目が合う。
「あ」
慶ちゃんが立ち止まる。
「いっけなーい、これ剣ちゃんのだったね」
そう言って慶ちゃんが笑顔で頭をかく。
「いいよ、だって慶ちゃん、イチゴもらってないでしょ、私はもうイチゴもらったから」
元気なく剣ちゃんが言う。
すると慶ちゃんが胸を張る。
「何言ってんだよ!慶タンはミカン富豪だよっ!八百屋さんで買ってもらった山盛りのミカンをもらって
大満足なんだよ!このミカンは誰にもわたさん!」
「え、じゃあ、紅ほっぺもらってもいいの」
剣ちゃんがすこしおどおどした感じで慶ちゃんを見る。
「もちろんだよ!」
慶ちゃんが笑顔で言った。
「ありがとう!」
剣ちゃんは満面の笑みを浮かべて紅ほっぺにタッチした。
私はそっと慶ちゃんによっていき、その頭をなでてあげた。
慶ちゃんは私を見て、にっこりと笑った。
その後、慶ちゃんと忍ちゃんには雪印クリームチーズ、二個オマケ付きを買ってあげた。
慶ちゃんと忍ちゃんは喜んでいた。
あとは晩ご飯のお総菜だ。
高野豆腐と炒り卵のあえものと筑前煮を買う。高野豆腐は忍ちゃんがもらい、筑前煮は剣ちゃんがもらった。
「あれ見て!」慶ちゃんが目を丸く見開いて指をさす。
そこには照り輝くナスの煮付けがおいてあった。
慶ちゃんたちがうちに来た頃、はにかみながらこれをほしがったものだった。
「テントウムシさんだよ!」慶ちゃんが言った。
「そうだね、テントウムシさんだね」
私が言った。
このスーパーのナスの煮付けはいったん油で揚げたあとで煮付けにしているので、
ナスの表面に光沢があって、照り照りと光っているのだ。だから慶ちゃんはこれをはじめて見たとき
「テントウムシさんだ!」と言ってすごく喜んでいたんだった。
なんか、ものすごく懐かしい気分になって涙が出そうになった。
本当に、本当に、この子たちとは長いつきあいになってしまったなあ。
もちろん買ってあげた。
「やったー!大好き!」そういいながら慶ちゃんは私に抱きついてきた。
「あんただけずるいわよ!」そう言って忍ちゃんが抱きついてきた。
「私も!」そう言って剣ちゃんが足にしがみついてきた。
「みんな大好きだよ」
そういいながら私は三柱ともだっこして頭をなでてあげた。
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