家に帰ると、池内慶と人間と同じくらいの大きさのタコが雑談していた。
リアル巨大ダコはけっこうグロテスク。
「あ、お邪魔しております。わたくし、林地区の立石と申します。」
そういってタコは私に頭をさげた。
やけに礼儀正しい。
「立石くん、やっぱり妙な考え起こさないようがいいよ。」
池内慶がタコに向かっていった。
タコは池内慶の方を向いた。
「やっぱりそうかなあ、この前の壮絶な和坂の蟹さんの噂を聞いてさ、
久々に闘争本能に火がついちゃってさあ。」
タコがそう言うと池内慶は少し考えた。
「でも、立石君はあそこの坂の上の神社の神様の監視がついてるでしょ。
あそこの神様に逆らったら一瞬で灰にされて、二度と蘇生できないと思うんだけど。」
自問自答するように考えながら池内慶は言った。
坂の上の神社には何柱かの神様がおられるのだが、池内慶の言っている
神様とは、その地域一帯を守っておられる童子の格好をされた海の神様で、
かなり絶大なお力をもっておられるらしい。
眷属クラスの藤子さんや智伯でも相当なもんだから、目の前のタコが逆らって
勝てる相手ではないことはすぐに理解できる。
「それでも、わたくし、有名になりたいのです!蟹ばっか有名になってずるい!」
タコはそう力説したが、蟹の騒動が有名になったのは、霊界の世界であって、
しかも、その話題が掲載されたのは和坂の霊界ミニコミ誌、「今日の焼き加減はウエルダン」
に掲載されただけだ。霊界でもこの話題を知ってるのあh半径1キロ圏内だけだろう。
それに、爪二本もぎ取られた蟹にしてみれば、有名になったって、何も良いことなかったと思う。
このタコは自意識過剰だと思った。
そこに池内忍と池内剣が現れる。
池内忍「あら、エロ触手が来てるわ。カエレ!」
池内剣「エロ触手は東3ホールのジャンル:創作・(男性向)の島中に沈んで二度と浮かんでくるな!」
忍と剣は口ぐちにタコを責めた。
「ひどい、わたくしは、何もしてない善良なタコなのに・・・御宅たちはそんな見た目だけで判断するんですね。
冷酷ですね、残忍ですね、わたくしの心はズタズタでございます。」
そう言いながらタコは目からポロポロ涙を流した。
「忍ちゃん、剣ちゃんヒドイ!立石君がかわいそうだよ!」
池内慶が怒った。
これには池内忍も池内剣もすこし気まずくなった。
池内忍「友達と認めてやるから、機嫌なおしなさいよ。」
タコ「ヤダ」
池内剣「悪かったよ、どうすれば、許してくれる?」
池内剣がそう言うとタコは「頭をなでてくれたらゆるしてあげる。」
と言った。
池内忍と池内剣は顔を見合わせてすごく嫌な表情をした。
それをみてタコは「あーやっぱりだ、そうだよね、御宅たち女子はみんなイケメンが好きなんだよね、
見た目で判断するんだよね、わたくしなんかとは仲良くしてくれないんですよね、
わかってましたよ、最初から分かってました、あーそうでしょうとも、
所詮女子なんてそんなもんです、見た目だけで判断するんです。」と言った。
池内剣「そ、そんなことないよ!」
そう言って池内剣はタコに手を左手を伸ばし、右手で嫌がる忍の手を引っ張って
タコの目と目の間、おでこのあたりに手をもっていった。
その一瞬の隙をみて、タコは池内剣と池内忍の尻をサラッと触手でなでた。
池内忍「キャー!!!!」
池内剣「ぎゃああああああーーーー!!!!」
タコは素早く身を翻して後ろに飛び下がった。
「ばーか!ばーか!御宅らなんか嫌いだ!」
そう言いながら素早く逃げていった。
池内剣「くそっ!これで二回目だぞ!」
池内忍「私も二回目!だから嫌だったのよ!」
すると池内慶がうれしそうに手をあげた。
「はーい!慶たんは三回だよ!」
お前もやられてるのかよ!
一体何だったんだあの妖怪は。
神社から監視を受けるくらいだから、よほど凶悪なことをしたに違いないが。
「古典かなにかにあのタコがやった悪行の記録はないの?」
私がそういうと「立岩の井で調べたら出てくると思うよ。」
と池内慶が言った。
インターネットで検索してみると、
北窓后、南窓后という当時有名な美人のお姫様姉妹にチカンしようとして、
村人に袋叩きにされて井戸に封じ込められたタコだという事実が判明。
・・・・・人を見かけで判断してはいけない。
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常習ですね。
今度忍ちゃん剣ちゃんの前に現れたら
明石焼きにされそうですね(笑)