久しぶりに父と一緒に買い物に行った。
今日はレジ横に特価セールのチョコレートが78円で売っていたのでそれを買う。
いつもは100円のチョコレートだ。
通常、イチゴの前を通っていくのだが、最近スーパーのイチゴは高いので八百屋さんで買っている。
その事を知っているので、慶ちゃんは素早くチョコレートにタッチする。
「これ慶タンのね!いいよね、いいよね」
慶ちゃんは忍ちゃんと剣ちゃんを見る。
「いいわよ」
「いいよー」
その直後、私は売れ残りで古くなった野菜の特価セールのトレイを見る。
そこには通常389円のイチゴが289円で売っていた。しかも、けっこう粒が大きくておいしそうだ。
「このイチゴやすいよー」
私がそう言うと、父はそのイチゴをカゴに入れた。
それはさがほのかだった。
「むひょー!さがほのかだよ!さがほのかは慶タンのだね」
「お待ちなさい」
忍ちゃんが慶ちゃんの手をつかむ。
「あなた、さっきチョコレートもらったわよね。順番では私か剣ちゃんの番よ」
「だってー!さがほのかは慶ちゃんの好物のイチゴだよ、章姫の時は忍ちゃんにゆずってあげてるじゃない」
「そのときも、ちゃんと順番は守ってるでしょ。イチゴがほしかったら、先にチョコレートをもらうべきじゃなかったわね」
「だってー、イチゴは八百屋さんで買うと思った……」
「タッチ」
慶ちゃんと忍ちゃんが言い争っているうちに剣ちゃんがイチゴにタッチした。
慶ちゃん「……」
忍ちゃん「……」
「タッチ!」
満面の笑みで剣ちゃんが叫んだ。
「あんた!いいかげんにしなさいよ!なに勝手にイチゴとってんのよ!」
「早い者勝ちだよ~」
忍ちゃんの激怒も全然意に介さない剣ちゃんであった。
そのあと、プリプリ怒っている忍ちゃんのためにクリームチーズを買ってあげた。
この前までキリーのクリームチーズが188円の激安で売ってたんだけど、
今日は雪印と同じ238円だった。
今日は雪印を買う。
そのあと、父はお惣菜売り場に行って、梅とたらこのおにぎりを買う。
たらこのおにぎりは剣ちゃんがもらう。忍ちゃんは慶ちゃんを見る。
「梅のおにぎりいる?」
慶ちゃんは首を横にふる。
「いらん」
たこ焼きやスルメを貰うのが好きなのが慶ちゃんであるように梅のおにぎりを
貰うのは忍ちゃんに決まっていた。他の2柱は梅のおにぎりは酸っぱいから、あまり好きではない。
「まったく、この酸っぱさがおいしいんじゃない、おこちゃまねえ」
あきれ顔をしながら忍ちゃんはおにぎりを貰った。
その後、父はお菓子売り場に行って、マシュマロを買った。
「わーい、マシュマロゲットだぜ!」
剣ちゃんがマシュマロを貰った。
「ちょっと待ちなさい。マシュマロは私がもらうものでしょ。だってマシュマロは私の好物じゃない」
「そんなもん、順番だよー」
剣ちゃんが言った。
「そうだ、そうだー!」
慶ちゃんも後ろで飛び跳ねながら言う。
「そんな事がゆるされるわけないでしょ!私の梅おにぎりと交換しなさい!」
忍ちゃんが剣ちゃんに梅おにぎりをさしだす。
「やだ」
剣ちゃん即答。
「あら、あなた、フランス王室を敵に回すとはいい度胸ね!」
忍ちゃんは胸を張って言い放った。
「忍ちゃんはフランス王室とは何の関係もありませ~ん」
慶ちゃんが突っ込みを入れる。
「こんな不条理、許されないわよ!」
忍ちゃんが叫ぶ。
「慶タンだって我慢したんだから、忍ちゃんも我慢しなよ!」
慶ちゃんが叫んだ。
忍ちゃんしょぼーん。
次に父はパン売り場に行く。
いつも高級イチゴジャムパンを買っているのだ。
「今日もジャムパン買うんでしょ」
私がそう言うと父はすこし眉をしかめた。
「いいや、もうジャムパンは食べ過ぎでほしくないよ、飽きちゃった。別のパンを買おう」
そう言って父は十勝レーズンパンを買った。
「十勝-!十勝-!」
慶ちゃんが喜んで飛び跳ねる。
慶ちゃんは北海道ものの食べ物がけっこう好きなのだ。
でも、その高級レーズンパンに手を伸ばしかけて忍ちゃんの方を見る。
忍ちゃんはふてくされて、体育座りをしている。
慶ちゃんは剣ちゃんの所に行って、剣ちゃんと相談する。
そして二柱でレーズンパンをもって忍ちゃんの所に行く。
「これ慶タンたちからのプレゼント!」
忍ちゃんは顔をあげる。
「あ、ありがとう」
ちょっとだけ鼻の頭をあからめてお礼を言った。
そのあと、甘栗を買ってそれは慶ちゃんが貰った。
お菓子売り場に行って父が八つ橋を探す。
八つ橋は父の好物で父が八つ橋を買うたびに
慶ちゃんたちは京西陣の織物問屋ゴッコをして遊んでいたので
楽しみにしていたのだ。でも、今日は八つ橋は売ってなかった。
慶ちゃんたちは京商人の格好に着替えて、寸劇をする準備をしていたが、
それがなかったのでがっかりしていたようだ。
北海道牛乳アイスバーを買った。これは剣ちゃんが貰った。
剣ちゃんはそれを忍ちゃんの所にもっていく。
「忍ちゃん、北海道アイスバー好きだったよね。
パンと交換してあげようか」
「え、でも、このパンは二柱からいただいたものだから、交換するとか失礼でできないわ」
「気にしなくていいよ-!いいよー!」
慶ちゃんが叫んだ。
「そう、それじゃ、ありがとう。本当に気をつかってくれてありがとうね」
忍ちゃんの機嫌は完全に直った。
「じゃあ、その十勝のパン、慶タンの甘栗と換えて!」
慶ちゃんが甘栗を差し出す。
「いいよー!」
剣ちゃんは慶ちゃんに十勝レーズンパンを渡した。
「でっかいどー!」
慶ちゃんが叫ぶ。
「北海どー!」
忍ちゃんが叫ぶ。
「天津ーっ!」
剣ちゃんが天津甘栗を持ち上げて叫んだ。
そのあと、父は地上の薬局に行って、ラムネ菓子を買った。
「宣言!私は梅おにぎりを貰う権利を放棄します」
忍ちゃんがそう言って梅おにぎりを貰う権利を放棄してラムネを貰った。
「その手があったかー!」
笑いならが慶ちゃんが飛び跳ねる。
「ずるい~!」
剣ちゃんが飛び跳ねた。
二柱ともそれほど怒っていないみたいだ。
「みんなで帰ってイチゴたべようね~」
私がそう言うと三柱とも笑顔で私の顔を見た。
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