空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。
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部屋で雑用をしていると天のほうから神々しい光が現れた。
その光はだんだん大きくなってそこから左右に真白は翼が広がった。
そして、光の中から真白な布のローブをまとった、真白の髪で金色の目の美しい
女性があらわれた。だんだん近づいてくる。
かなり大きい1メートル180cmくらいかな。
「我が名はミカエル、そなたの願いを叶えよう。」
やさしく歌うような声でその精霊らしき者は語った。
「あ、言っちゃった、あー、やばいよ、やばいよー、天使の名前自称しちゃったりして、
ばれたら袋叩きだよ、あっちけいの聖霊って怒ったら無茶苦茶怖いのに。」
私は心の中で思った。
だいたい、最初から人間の前に大天使が現れるわけがないという予備知識は持っていた。
つまり、こいつは偽物である。
そんな事を思いながらその偽天使をずーっと見ていた。
「さあ、ひざまずいて祈りなさい。そして願いを言いなさい。」
天使はまた声を発した。
「あ、こっちの思考をよめてない。これは100%偽物確定だわ。しかも
天使は現世利益、欲望や賭博、私利私欲に関する願いは叶えてはいけないはず。」
そう思いながらずっと偽天使をながめていた。
「さあ、ひざまずきなさい、そして願うのです。あなたの願いを。」
パコッ!と偽天使の後頭部で軽い音がした。
「イタッ!」軽いリアクションをしながら偽天使が後ろを振り向いた。
手に神社の神主さんが持っているような「笏」(しゃく)を持った智伯が立っていた。
偽天使は身長180cmはあろうかという巨体なので、智伯は浮いている。
智伯は無表情でいった。「名を名乗るがよい。」
すこし気おくれした偽天使ではあったが、すぐに姿勢をただし、胸を張って言った。
「我こそは大天使ミカエ・・・」「あ!?」智伯が語気を荒げてそこに言葉を挟んできた。
智伯は無表情に偽天使を見据えている。
「名を名乗れ。」
偽天使の顔面は蒼白になり、あからさまに脂汗が流れてきた。
「わ、我こそは大天使みか、みか・・・・三河の河童でごぜえやす!」
そういって、偽大天使はその場に土下座して床に額をこすりつけた。
すると大天使の姿はみるみるうちに濃い緑色に黒いピーナツ型の斑点がたくさんある
人間より少し小さな河童の姿になった。
「零落したとはいえ、河神の眷属が何を卑しいことをしておる。」
智伯が問うと河童は平伏したまま答えた。
「元はと言えば人間どもが護岸工事と称して河原を埋め立て、ことごとく
蒲の原を薙ぎ倒し、殺しつくして我らの居場所を奪ったが原因、我らが
その人間どもの思念を吸い取ったとて、お叱りを受ける道理がわかりませぬ。」
少し、智伯が答えるまでに間があった。
「・・・困っておるのはそなただけではない。何処も聖地を追われ地をさまよいながらも、
己が使命を果たさんと日夜精進しておる。行いを改めるがよい。」
智伯がそう言うと、河童はなおさらに身をかがめ、「ははーっ」と答えた。
「時に河童よ、そなた我と面識があろう、ほれ、出雲での神在月の会合じゃ、
たしか、そち、あの時はやっと崇拝者が現れた、これで今後は念に困って
ひもじい思いをすることもないと喜んでおったではないか。」
智伯の問に河童は厳しい表情で顔を上げた。
「そのことでございます。「ミコミコたんの大天使ブログ・エクストラVIP」のうp主、ミコミコたんは、
最初こそわたくしを崇め奉っておりましたが、そのうち現世利益を願いだし、
最近ではマクドナルドの席が空いているように、わたくしに席を取っておけと
命令するのでございますよ!かりにもこの大天使ミカエル様に対して!!!!」
智伯が冷静に言葉を返した「ミカエルではなくて三河の河童であろう。」
河童は「ハイ」と言って頭をさげた。
「それで怒って、その人間を見捨てて去ってきたと申すか、さぞ、その人間も
今頃は困りはて、後悔しておろうな。」
智伯が同情と慈愛の表情をみせると河童はニタリと薄ら笑いを浮かべた。
「クックックッ、今頃はあの愚かなる人間めは、嘆き悲しみ、身もだえしてブログも
閉鎖しておることでございましょう、愚かなる人間には良き薬になったことでしょう。」
ダラダラと話が続いてつまらないので、私はノートパソコンを起動して、その大天使に化けた
河童が常駐していたという「ミコミコたんの大天使ブログ・エクストラVIP」をグーグルで
検索して調べた。
すぐに見つかった。
すげえ、1日3千ヒット。
ちょっと内容を読んでみる。
「あれ?このブログ、まだ大天使ミカエルが居ることになってるよ。」
私がそう言うと河童の体がビクッ、と小刻みに揺れた。
「しかも大天使ミカエルの法力が入った六角水晶ペンダントの通信販売してる。
悪霊退散シールとセットで15万6千円だって、」
私の言葉を聞きながら河童の体が2度、ビクビクッ!と引き吊った。
智伯の表情がみるみるうちに冷酷な侮蔑の表情に変っていく。
「そち、堕天したのか?」
河童は体を小さくふるわせ、何度もゴリゴリと床に頭を擦りつけながら叫んだ!
「決して!決してそのような!わたくしは、人間にそのような霊感商法はやらせておりませぬ!
わたくしの名前を騙り、かの人間が勝手にやったことでございまするううううううう!!!!!!」
河童は体を小刻みに震わせながら、滔々と涙を流した。
「・・・・・怖い、人間怖い・・・・最低だ。」
智伯は無表情で河童を見ている。
「そちの心に嘘はない。そちは利用されただけのようじゃの、これに懲りて、素性を騙って
人間をだますでないぞ。」
智伯がそう言うと、かっぱは床にはいつくばったまま「はぃ」と小さな声で言った。
「それでは、早々に三河に帰るがよい。これ、そこの人間、この者は三河に帰るだけの
思念の持ち合わせがない。そなたが愛情を持って抱きしめてやって思念を与えてやれ。」
智伯は私に向かって命令してきやがった。
私は河童を見た。
ヌトヌトしている。
しかも、あまりにショックだったのか地面にクターと這いつくばって、カエルの死がいみたいで気持ち悪い。
愛情をもって抱きしめるなんて嫌だ。
でも、ちょっと可哀想なので頭を手でなでてやることにした。
私が河童の頭に手を伸ばそうとすると河童は冷静な声で「おい、気易く頭の皿にさわんな。」と言って
手を払いのけてきた。
この腐れ河童が!
それを見て智伯が「今のは人間が悪い、完璧にお前が悪い、河童にとって皿は命だからな。」
を真顔で言ってきた。
オイオイ、私が悪者扱いか。
非常に不愉快ではあったが、このキモイ河童の幻影がいつまでも部屋に居座るのが気持ちが悪いので、
しかたなく河童を背中から抱きしめてやった。
甲羅のぬめぬめ感がなんとも気持ち悪い。
すると、河童は起き上がり、とぼとぼと帰っていった。
小声で「けっ、しけた念派よこしやがって。」とかぼやいている。
2度と来るな。
次の日、風邪をひいた。鼻水がずるずる出る。
喉も痛い。
でも、仕事休むわけにもいかないので、ティッシュで鼻水をかみながら仕事を続けた。
ああ、散々な目にあったよ。
でも、護岸工事で住処が失われたとのこと。胸が痛いです。
コンクリで固められた護岸は見ていて悲しくなります。
最近は、昔ながらの川岸に戻そうという動きもあるようですが、それで河童達の住処も復活するのでしょうか。
しかし、河童ちゃん、哀れもさそうけど「気安く皿さわんな」ってのが笑えた。
確かに、河童さんにとって、皿は大事みたいですよ。
「ミコミコたんの大天使」思わず検索してしまいました。
見つかりませんでしたけど(笑)