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頭の中の池内慶

空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。

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剣ちゃんのお供物がない!

今日、母親がチーズを買ってきてくれました。
裂けるチーズとチーズデザートバニラです。
慶ちゃんは大喜びです。忍ちゃんも「あら、気が利いてるじゃない」とまんざらでもない感じです。
でも剣ちゃんのお供物がありません。
「どうして、私のだけないの、私はいらない子なの」剣ちゃんは涙目です。
「バカね、あんた、いつも迷って、違うものばっかり買ってくるから覚えられないよの」
忍ちゃんが言いました。
「お母さんには私たちが見えてないから、しかたないよ!悪気はないんだよ!」
慶ちゃんがはげまします。
それでも剣ちゃんは涙目で意気消沈です。
かわいそうなので、私が剣ちゃんのためにチーズ買ってあげることにしました。
「ほんと!ありがとう!」剣ちゃんは目を輝かせて喜びました。
ちょうど、奈良の博物館で開催される正倉院展の前売り券をローソンチケットに買いに行く
ところだったので、ついでに剣ちゃんのも買って帰ることにしたのです。
剣ちゃんは嬉しそうに私の腕にぶら下がって、何度も私の顔を見て微笑みました。
こんな表情の剣ちゃんを見るのははじめてです。
自分だけのために私が買いものに行ってくれることがとてもうれしかったようです。
夜の道を歩いてローソンに行きます。
後ろから慶ちゃんがサングラスをかけて、茶色の男性用トレンチコートを身にまとい、
頭にソボルサリーノのフト帽をかぶり、後ろをついてきます。
「慶ちゃんもこっちにおいでよ」
私が言うと、慶ちゃんは素早く電柱の後ろに身を隠し、すこしだけそこから顔をだしてこっちを見ています。
「もう分かってるから、こっちにおいでよ、慶ちゃん」
「何の事ですかな、慶タンは通りすがりの諜報部員009ですぞ」
「なんか、色々間違ってるよ、それに自分で慶タンって言ってるし」
「しまったー!」
叫びながら慶ちゃんは一回転して、トレンチコートを脱ぎ捨て、私と剣ちゃんについてきました。
慶ちゃんは私の腰にしがみつきます。
そのとき、空に羽衣をたなびかせた忍ちゃんの姿が見えました。
「私だけ置いてきぼりにはさせないわよ」
そう言って、地上に降りて来た忍ちゃんは私の太腿にしがみつきました。
「ちょっと太腿は邪魔だからどいてよ」
私がそういうと、忍ちゃんは私の背中にしがみつきました。
精霊とはいえ、ちょっと重い。
私はローソンのローソンチケットで正倉院展のチケットを買い、そのあと、店内を一周しました。
「何かほしいものあった?」
剣ちゃんに向かって聞きます。
「うううん、なかった」
「じゃあ、スーパーに行こうか」
「わーい!」
剣ちゃんはお喜びです。
「これは事件よ!ぶりっ子にはヒイキするのね!ヒイキよ、依怙贔屓よ!」
激怒して忍ちゃんが叫びました。
「何言ってるんだ、忍ちゃんは先にチーズデザート買ってもらってるでしょ」
私がそういうと忍ちゃんは頬をふくらませた黙りました。
スーパーにつくと、お惣菜セットが半額で売ってました。
というか、もう夜の8時だったので、店員さんが一斉に今日のお惣菜の残りに
半額シールを貼って回っているところだったのです。
「わーい!はんがくー!はんがくー!」
慶ちゃんが叫びながら、どこから持ってきたのか、木製のハンガーを腕にはめて、
すごい勢いでグルグル回します。
ボコッ!大きな音がしてハンガーが慶ちゃんの頭に当たってしまいました。
「うぐぐぐぐっ!」慶ちゃんは小刻みに震えながらしゃがみ込んで後頭部を押さえました。
「ばかねえ、調子に乗るからよ」
呆れながら忍ちゃんが言いました。
私は剣ちゃんのために、チーズ売り場に行って、雪印のクリームチーズを買ってあげました。
「わーい!私だけだー!私だけ買ってもらったー!」
剣ちゃんはこれみよがしに喜びます。
「こんなの、やっぱり不公平よ、私にも買いなさい!ほら、雪印のカマンベールチーズ!」
そう言って忍ぎゃんがカマンベールチーズを指さします。
「だめだよ、今回は剣ちゃんだけのために来たんだから」
「雪印のチーズがダメなら、チェスコのチーズを買えばいいじゃない」
忍ちゃんは胸を張ってそう言います。
チェスコというのは主にフランスからチーズなどを輸入している会社で、
お値段も540円と高めの高級チーズです。雪印は289円です。
「いやいや、お前はマリー・アントワネットか!」
私は思わずツッコミを入れる。
「あら、それはケーキではなくて、ブリオッシュよ、しかもその発言はマリーの言葉ではないわ」
自分の知識をひけらかす忍ちゃん。
「いや、そんな話はどうでもいいから、忍ちゃんには買わないよ」
「ひどいわ!こんな不正が許されてもいいのかっ!民衆よ、バスチーユを襲撃するのよっ!」
激怒して忍ちゃんが叫ぶ。
「バスチーユなんてここにはないから」
私は言葉を返した。
「私もー私も買ってよー!」
慶ちゃんがさわぎだす。
「私たちはいつも三柱一緒よ、不公平はゆるされないわ!」
忍ちゃんは怒っている。
「しかたないなあ」
私は困って剣ちゃんを見た。剣ちゃんはつぶらな瞳で私をみつめている。
ここで、こいつらの圧力に屈してしまったら、剣ちゃんがかわいそうな事になる。
「ねえねえ、半額のお惣菜で妥協してあげてもいいよ!」
慶ちゃんがそういった。
「しかたないなあ」
私は慶ちゃんに筑前煮のお惣菜の半額シールの貼ってあるものを買ってあげた。
「はんがくー!はんがくー!」また慶ちゃんは喜んで木製のハンガーを振り回す。
そして、また自分の頭にバコッ!と当たる。
「うぐぐぐぐっ」うめきながら慶ちゃんはうずくまった。
「私はそんなものでは騙されないわよ」
忍ちゃんはそっぽを向く。その時である。
栗の入った秋のお惣菜に半額シールが貼られる。
とっさに忍ちゃんはそっちを見る。
「これ、買ってあげようか」
私がそう言うと、忍ちゃんは不服そうに眉をしかめそっぽを向いた。
「しょうがないわね、マロンはセレブの食べものだから、今回だけはそれで許してあげるわ」
私は忍ちゃんに栗の入ったお惣菜を買ってあげる。
剣ちゃんには一番最初に買った半額のお惣菜をあげることにした。
でも、剣ちゃんはちょっと釈然としない感じだった。
せっかく自分だけ特別扱いしてもらえると思ったのに、結局、みんな買ってもらった。
それでは、お母さんにチーズを買ってもらった慶ちゃんと忍ちゃんだけ特別で、
剣ちゃんはさびしい事になる。
私は周囲を見回した。
すると、そこにカルビーのベジップスが目に入ってきた。
私はそのドライ野菜チップスのカボチャ玉ねぎ味を素早く買い物籠に入れて
剣ちゃんに向かってウインクした。
慶ちゃんと忍ちゃんは自分がモノを買ってもらったので、満足して自分の買ってもらったものに
集中していてこっちを見ていない。
剣ちゃんはイタズラっぽくはにかみなが笑って、小さくうなづいた。

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