夢の中に池内慶が出てきて一緒に霊界まで行ってきました。
私と池内慶と、そして非常に太った神様の御眷属がナビゲートについてくれました。
神様の格好は、クリーム色のタオル地の長そでのトレーナーにしたは紺のジーンズです。
3人で霊界の入り口まできました。
暗い闇の中に楕円形の光が浮いている。
その中に3人で自転車で入っていくと、急に明るい光につつまれました。
周囲を見回してみると、
最初は普通の人たちの雑踏。たぶん、死んだ人たちだと思うんですが服装も普通で、
ざわざわと歩いています。男性や女性、若い人から中年のひと。
家電量販店が沢山あって、頭の上をちょっと古びた線路が通っていて、
わりと早い感覚で電車が通過します。
わりと雰囲気は下世話で派手派手しい感じで、つねにざわざわしています。
そうした雑踏を抜けていくと、坂道があります。
自転車でもわりと登ることのできるゆるい坂がしばらく続きます。
ああ、これが噂に聞く黄泉平坂かと思いました。
これが延々と続きます。
池内慶を見ると、かなり息が切れていました。
太った神様の御眷属は、スイスイ平気で上にあがっていきます。
修羅界では無敵の池内慶ですが、さすがに通常霊界から上級霊界に
上がる途中の坂となると霊的にきついらしい。
私は池内慶よりも少し楽にあがれますが、それでもけっこう息が切れてきました。
ああ、こうやって霊界へいく道が決められるのかと思いました。
もっと何か裁判官のような閻魔様がおられて、罪状を並べたてられるのかと
思いましたが、たぶんそれは、坂をまったく登れない人が地獄につれていかれた
あとの話なんだろうなと思いました。
しばらく息をきらしながら坂を自転車で上り続けましたが、目の前に大きなコンクリートで作られた
駅があったので、そこで足をついてしまいました。
駅の横に喫茶店があり、ガラスのショーケースの中にはロウでできたクリームパフェの模型が
飾ってありました。クリームパフェの上にはうさぎさんの耳の形に皮を残したリンゴが3つ、
飾ってありました。
「つかれた、もう限界だ、ここで休もうよ。」
私が言うと池内慶が「うん!休もう!休もう!」と言いました。
太った神様の眷属はすこし眉をひそめましたが、そのまま私たちについていきました。
中に入ると、そこは壁一面に黄色い竹が敷き詰めた和風のお店で、
机といすも黄色い竹でできていて、竹のイスには縮緬の紺に白の模様がついた座布団が敷いてありました。
お店ではこちらが何も注文しなくても盛りソバが出てきました。
池内慶が「お足が痛い痛い」といってさすっているので、
私は一生懸命池内慶の足を揉みほぐしてあげました。
そばを食べながら太った神様の眷属は「ぼかあねえ、君たちがもっと高いところを目指しているのかと思ったよ。ちょっと失望したなあ。」と言いました。
そして、そばをひとすすりすると、消えてしまいました。
喫茶店を見ると、駅の前にあった坂が消えていました。
自転車もありません。
しかたないので駅の改札を通りました。
ふと後ろを見ると池内慶がいません。
ああ、池内慶はこっちに入ってこれないんだと思うと、少ししまったと思う気持ちと
可愛そうな気持ちになりましたが、池内慶の住んでいる修羅界にはいけません。
前に一度、少しだけ修羅界を覗いたことがありますが、それはもう嫌な世界でした。
池内慶は喜んでいましたけど、脅しやだまし討ち、口先で奇麗事を言って、相手を信用させて
後ろから襲うとか、もう通常の神経ではやってられません。
池内慶はそういう駆け引きも合わせて修羅界が好きみたいですが、私は心がすさんで息が
詰まるような気がして、到底、あそこのとどまることはできませんでした。
だから、ここからは人間界の冥界に一人で進まなければなりません。
駅の構内は白い大理石にマーブル模様が入った円柱形の柱がいくつも立っていて、
床もつるつるの大理石です。そこを、人々が滑るように黙って音もなく歩いていきます。駅を
出ると駅前の二か所に大量の苔むした墓石が密集した地域が二か所ありました。
駅前の繁華街のど真ん中にそんなものがあってちょっと怖いかなと思ったけど、
「お前の先祖の松平家の一門や家来衆のお墓だから怖くないよ」とお墓から声がしました。
それで安心してその横を通っていくと1メートルあるかないかの細いツルツルの赤黒い
光沢のある大理石の坂にでくわしました。
上を見ると10メートルくらい先が行き止まりになっていて、白い看板で道が封鎖されていて
漢字で万民天下と書いてありました。
しかたがないので、そこを横に跳び下りました。
右手側を見るとまるで海のような大河が流れているのが遠景に見えました。
「ああ、あれが三途の川か。」と思いました。
右すこし斜め上を見るとそこには白い看板に黒い大きな字で「汐浜駅」と駅名が書いてありました。
上を見上げると天井があって、鉄の棒に鉄球を突き刺したものが蜘蛛の巣のように張り巡らせたものが
上にありました。
前を見ると巨大スクリーンがあって、そこに白塗りで黒に赤とオレンジの蝶柄の着物を着たお姉さんが
金色に月と盃の描いた扇子を持って舞っている映像が映し出されていました。
人々は黙々と歩いています。
この世界に入ってくるときに見た雑踏の世界とは違い、みんな黙っています。
不思議なことにこの世界の人たちは全員上着が白でした。全員の服装は白に袴です。
袴の色は色とりどりで、赤や緑、黒など様々です。
「白は死に装束である」と頭の上から声がしました。
スクリーンのある方向へ行くには、ここもすこし緩やかな坂になっており、
それをしらばく行くと左手に大きな大理石の門がありました。
これは赤に黒のまだら模様がある巨大な門で15メートルくらいの高さがあるでしょうか。
四角柱のシンプルな作りです。
そこを通ろうとすると、その横にある高さ1メートル30センチくらいな入り口から
何か見えない手で袖口を引っ張られました。
気がつくと私も白い着物に袴をはいています。
袴は紺だったかな。
白に粒粒の黒の斑点のある御影石の門の中に白木造りの門が大量に並べてあります。
たぶん、鳥居かな、並び方は伏見稲荷にある鳥居のようなエキゾチックな感じで奥まで
続いています。
下は白木のスノコです。
みんなが入っていく入り口と違い、えらく間口が狭いなあと思いながら、
お辞儀をしないと中に入れない入り口の背の低さなので
私は頭をさげてお辞儀しながらその中に入りましした。
すると、ふっと意識が薄れ、目がさめました。
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面白いですね。
神様のご眷属がトレーナーとジーパン
っていうのが笑えた。
(「ぼかあねえ」という口調も(笑))
髪の毛もみずらとかじゃなくて
普通の髪型でしょうか。
なんで眷属ってわかるんですか?
楠乃さんが呼ばれた小さい門は
まだ死ぬ予定じゃない人が
下界に帰る出口だったのでしょうかね。