父親が心臓を悪くして市民病院に入院する。
自転車で着替えの服をもっていくために城傍の柳並木の道を通って
病院に向かう。
自転車に乗っているときは池内系が出てきたことは無かったんだが、
御田家長屋門の横を通りかかったとき、背中から池内慶が飛び出してきて
「衛宮家だ!」と叫んだ。
何か勘違いしているらしい。
「ここは御田家長屋門といってね、御田信長の叔父の御田信康の子孫が住んでいる家だよ。」
と教えてやった。
「ふーん、その人魔法使えるの?」
池内慶が聞いた。
「使えるわけないだろ。」
私がそう言うと池内慶は不可解な表情をしていた。
池内慶は時々不可解なことを言うが、私たち人間にとっては
意味不明なことが多い。
おそらく、どこかの幻想世界で見た風景を思い出しているのだろう。
しばらくして父の病気も治り、家に帰ってきた。
御田家長屋門前はめったに通ることはないが、あの前を通るとき、
時間が逆行したような不思議な感覚を覚える。
池内慶の言葉に惑わされてしまったかな。
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