真夜中に事務処理作業をしていると、ドンドンと壁をたたくおとがします。
「どん!」となってからしばらくして、また「どん!」いったい何だろうか、
もしかしてポルターガイストだろうかと不審に思っていました。
すると慶ちゃんたちが出てきて言いました。
「今日は大雪だから屋根から雪が落ちる音だよ!幽霊じゃないよ!怖くないよ!」
といいました。
私の住む地方は気候温暖でめったに雪は降りません。しかし、この日にかぎって、
年に一度あるかないかの大寒波が到来したのです。
窓の外を見てみると薄暗い外の風景に部屋の明かりが照り返し、一面の雪景色でした。
「こわくないよ!」こわくないよ!」と慶ちゃんは私を励まそうとしますが、いつもはすでに
慶ちゃんたちは寝ている時間です。
うつらうつらしながら必死に起きています。
私をはげまそうとしたのでしょう。
「歌を歌って眠気をさまそうよ!」剣ちゃんが言いました。
「まったく、めんどうね」忍ちゃんが言いました。
「お化けなんて居ないさ!お化けなんて嘘さ!寝ぼけた人が見間違えただけさっ!」
慶ちゃんが大声で歌いだすと、剣ちゃんと忍ちゃんも一緒に歌いだしました。
忍ちゃんはちょっと嫌々な感じです。
なんか、いとおしいような感じがしたので、私は冷蔵庫まで行ってイチゴを三個もってきました。
「きょーっ!」とイチゴをみるなり慶ちゃんは喜びの声をあげました。
慶ちゃんから順番に私の体に憑依させ、一人ぶんずつイチゴを食べさせました。
慶ちゃん、忍ちゃん、剣ちゃん。そして剣ちゃんが出て行ったあと、また慶ちゃんが体に入ってきました。
「もう寝なきゃだめだよ。」私が言うと、慶ちゃんは「すぱげっち!すぱげっち!」と叫びはじめました。
そういえば、今日、スーパーでお惣菜の198円のナポリタンスパゲティーを買ってきたのでした。
慶ちゃんはこれが大好きです。
今日だけは特別です。
慶ちゃんを憑依させたまま、お惣菜のナポリタンスパゲティーをレンジでチンして食べました。
スパゲティーを食べているうちに、服にスパゲティーソースがついてしまいました。
「チッ」私が舌打ちをすると慶ちゃんが「服にスパゲティーソースが付くのとケンカは江戸の華だよっ!」
と言いました。
ちょっと違うような気がします。
「はははっ」と剣ちゃんが笑います。
「くっだらな~いい。」と忍ちゃんがうすら笑いを浮かべていました。
「さあ、もう寝ようね」私が言うと、慶ちゃんはニコニコ笑いながら消えていきました。
剣ちゃんはお辞儀をして、忍ちゃんは「ふん」と言ってそっぽを向きながら消えていきました。
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