「ファーストキッス!?」
池内系たちが部屋の隅っこに猿団子のように密集して何か話している。
「そうよ、私不良になったから、さっさとファーストキッスすましちゃおうと思って。」
池内忍がそんな事を言っている。
「でも、俺たちの事が見える男って、あそこに居るキモメンだけだぜ。」
そう言いながら池内剣がチラッとこっちを見る。
「うーん、あの人の唇は慶たんのものだけど、忍ちゃんのファーストキッスのために、
特別に貸してあげる!」とか池内慶が言っている。
いやお前とキスしたことねーし。
「あー、キモイわ、あんなのとキスするの、でも、不良になるためには
我慢して苦痛に耐えなきゃね。」とか池内忍が言っている。
池内忍が決意したような表情で私のところに来た。
「あんたはキモいけど、私が不良になるためにキスしてあげるわ、ありがたく思いなさい!」
そう言うので「まだキスしたことないの?」と私が尋ねると、池内忍は顔を赤面さめて
ぶわっと目に涙を浮かべ、池内剣のところに走っていった。
「キモメンがいじめる~!」
それを聞いて池内慶が怒る。
「何言ってるの!?忍ちゃんはまだ1千4百56歳の少女なのに、キスなんてしてるわけないでしょ!」
池内忍に泣いてすがられた池内剣も私のほうをにらんでいる。
「本当にお前は常識がないな、1千4百歳の少女とキスしたら児童ポルノ禁止法違反で逮捕
投獄されてもおかしくない年齢だぜ!」
どんな年齢のの児童だよ。
「お前らもキスしたことないの?」と聞いてみると、
二人とも声をそろえて言った「あるわけないじゃない!」
日ごろは修羅界に行って、地獄の亡者どもとなぶり殺しにしてる連中が言う言葉か。
ちなみに、池内剣が1千6百33歳で池内慶が1千8百21歳だという。
池内慶が一番年上だと!?
「絶対無理!あのキモメンとキスするなんて絶対に無理!!」
池内忍が拒絶するような口調で叫んだ。
いやだれもやってくれなんて言ってねーし。
「そうだ!自分の好きなキャラクターになってもらって、キスすればいいんだよ!」
池内剣が言う。
「擬人化ね!」閃いたように池内忍は池内剣を見た。
池内慶「山手線の佇んでいる隣のホームに強引に体をねじ込んでくる京浜東北線とか!?」
池内剣&池内忍「あんたは黙ってなさい!!」
池内慶「はーい。」
池内忍はしばらく熟慮していた。
そして考えた末に「伊達政宗様がいいわ!」と言った。
長らく生きた連中だけに、歴史上の人物とも直接あったことがるのか。
わたしは、そのことに少し感心した。
「じゃあ、お前、伊達政宗役な、」池内剣が言った。
「それじゃあ、私は片倉小十郎をやるわね。」池内忍はそう言うと私のところまで
歩いてきた。
そして、ひざをついてこちらに両手を向けて顔をそむけ、拒絶の表情をした。
「殿!おやめくだされ、そのようなこと!小十郎はそのような軽い男ではございませぬ!」
ん?なんかよくわからないが伊達政宗を演じればいいのか?でも
伊達政宗なんて会ったことないしな、ここは、適当に時代劇風の人物を演じるしかないよな。
そう思って、私はなんとなく、それっぽいことを言ってみた。
「ふふふ、よいではないか、小十郎。」
私がそう言うと池内忍は激怒した表情で私を見た。それと同時に
「政宗様はそんな事言わない!!!」と怒鳴りながら思いっきり私の頬を殴りつけた。
私は反動でひっくりかえって、ただ唖然とするだけだった。
「わーん!キモメンの変態!イケズ!人でなし!」池内忍は泣き叫びながら走って
逃げて行った。
「い・・・いや、そんなこと言われても俺は伊達政宗に会ったことないし、なんて言えばいいんだよ。」
そう言うと、池内慶と池内剣が声をそろえて言った。
「ヘイ!レッツ、パーリー!!!」
そんなこと言うかああああああああ!!!!!!!
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