空想ファンタジーブログです。
私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。
[
56]
[
57]
[
58]
[
59]
[
60]
[
61]
[
62]
[
63]
[
64]
[
65]
[
66]
×[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
地霊たちは本来戦いを好むものではないそうです。
修羅界での戦いはあくまでもゴッコ遊びで、仮想空間で死んでも
ゴッコが終われば復活できます。
しかし、現世での戦いにおける死は魂の消滅。
魂は消滅し、四散し、地に沈みます。
地霊の場合は何百年、何千年後に蘇生することも可能ですが、
目がさめたときには、かつて愛した、そして遊んでじゃれあった
人間たちの姿はそこにはありません。
それは人間たちの営みを見守りともに生きてきた地霊たちにとって
最大の悲しみです。
また、タルパにとってはモザイクのように寄せ集められた魂は
バラバラに解体され、たとえ蘇生したとしてもまったくの別人格に
なってしまいます。
修羅に至っては修羅界に転げ落ち、二度と同じ姿では現世に
這い上がってくることはできません。
だから、現世での殺し合いを非常に嫌い、無思慮に争いを
起こすものを嫌います。
そして、どうしてもその調和を乱そうとするものは抹殺します。
それでも霊たちの中には争いを起こそうとするものがあります。
ある者は無知によって、ある者は奢りによってそのリスクを理解せず、
相手を滅ぼすことはあっても自分が滅ぶことは無いと確信しています。
しかし、仮想空間で多くの死、破滅、騙し討ちを経験している
修羅に変化したことのある輩たちは、戦いに絶対は無いことを
熟知しています。
だからこそ、戦いを嫌い、できることなら回避しようとし、
どうしても戦わねばならないときは、徹底して合理的に
戦います。
正々堂々、卑怯などの精神はありません。
また戦いに美学を求めません。
戦いに美など無いからです。
だから、本当の戦いの勝敗の結論はほんの一瞬でつきます。
そこに戦いを楽しむ精神はありません。
PR
部屋で雑用をしていると天のほうから神々しい光が現れた。
その光はだんだん大きくなってそこから左右に真白は翼が広がった。
そして、光の中から真白な布のローブをまとった、真白の髪で金色の目の美しい
女性があらわれた。だんだん近づいてくる。
かなり大きい1メートル180cmくらいかな。
「我が名はミカエル、そなたの願いを叶えよう。」
やさしく歌うような声でその精霊らしき者は語った。
「あ、言っちゃった、あー、やばいよ、やばいよー、天使の名前自称しちゃったりして、
ばれたら袋叩きだよ、あっちけいの聖霊って怒ったら無茶苦茶怖いのに。」
私は心の中で思った。
だいたい、最初から人間の前に大天使が現れるわけがないという予備知識は持っていた。
つまり、こいつは偽物である。
そんな事を思いながらその偽天使をずーっと見ていた。
「さあ、ひざまずいて祈りなさい。そして願いを言いなさい。」
天使はまた声を発した。
「あ、こっちの思考をよめてない。これは100%偽物確定だわ。しかも
天使は現世利益、欲望や賭博、私利私欲に関する願いは叶えてはいけないはず。」
そう思いながらずっと偽天使をながめていた。
「さあ、ひざまずきなさい、そして願うのです。あなたの願いを。」
パコッ!と偽天使の後頭部で軽い音がした。
「イタッ!」軽いリアクションをしながら偽天使が後ろを振り向いた。
手に神社の神主さんが持っているような「笏」(しゃく)を持った智伯が立っていた。
偽天使は身長180cmはあろうかという巨体なので、智伯は浮いている。
智伯は無表情でいった。「名を名乗るがよい。」
すこし気おくれした偽天使ではあったが、すぐに姿勢をただし、胸を張って言った。
「我こそは大天使ミカエ・・・」「あ!?」智伯が語気を荒げてそこに言葉を挟んできた。
智伯は無表情に偽天使を見据えている。
「名を名乗れ。」
偽天使の顔面は蒼白になり、あからさまに脂汗が流れてきた。
「わ、我こそは大天使みか、みか・・・・三河の河童でごぜえやす!」
そういって、偽大天使はその場に土下座して床に額をこすりつけた。
すると大天使の姿はみるみるうちに濃い緑色に黒いピーナツ型の斑点がたくさんある
人間より少し小さな河童の姿になった。
「零落したとはいえ、河神の眷属が何を卑しいことをしておる。」
智伯が問うと河童は平伏したまま答えた。
「元はと言えば人間どもが護岸工事と称して河原を埋め立て、ことごとく
蒲の原を薙ぎ倒し、殺しつくして我らの居場所を奪ったが原因、我らが
その人間どもの思念を吸い取ったとて、お叱りを受ける道理がわかりませぬ。」
少し、智伯が答えるまでに間があった。
「・・・困っておるのはそなただけではない。何処も聖地を追われ地をさまよいながらも、
己が使命を果たさんと日夜精進しておる。行いを改めるがよい。」
智伯がそう言うと、河童はなおさらに身をかがめ、「ははーっ」と答えた。
「時に河童よ、そなた我と面識があろう、ほれ、出雲での神在月の会合じゃ、
たしか、そち、あの時はやっと崇拝者が現れた、これで今後は念に困って
ひもじい思いをすることもないと喜んでおったではないか。」
智伯の問に河童は厳しい表情で顔を上げた。
「そのことでございます。「ミコミコたんの大天使ブログ・エクストラVIP」のうp主、ミコミコたんは、
最初こそわたくしを崇め奉っておりましたが、そのうち現世利益を願いだし、
最近ではマクドナルドの席が空いているように、わたくしに席を取っておけと
命令するのでございますよ!かりにもこの大天使ミカエル様に対して!!!!」
智伯が冷静に言葉を返した「ミカエルではなくて三河の河童であろう。」
河童は「ハイ」と言って頭をさげた。
「それで怒って、その人間を見捨てて去ってきたと申すか、さぞ、その人間も
今頃は困りはて、後悔しておろうな。」
智伯が同情と慈愛の表情をみせると河童はニタリと薄ら笑いを浮かべた。
「クックックッ、今頃はあの愚かなる人間めは、嘆き悲しみ、身もだえしてブログも
閉鎖しておることでございましょう、愚かなる人間には良き薬になったことでしょう。」
ダラダラと話が続いてつまらないので、私はノートパソコンを起動して、その大天使に化けた
河童が常駐していたという「ミコミコたんの大天使ブログ・エクストラVIP」をグーグルで
検索して調べた。
すぐに見つかった。
すげえ、1日3千ヒット。
ちょっと内容を読んでみる。
「あれ?このブログ、まだ大天使ミカエルが居ることになってるよ。」
私がそう言うと河童の体がビクッ、と小刻みに揺れた。
「しかも大天使ミカエルの法力が入った六角水晶ペンダントの通信販売してる。
悪霊退散シールとセットで15万6千円だって、」
私の言葉を聞きながら河童の体が2度、ビクビクッ!と引き吊った。
智伯の表情がみるみるうちに冷酷な侮蔑の表情に変っていく。
「そち、堕天したのか?」
河童は体を小さくふるわせ、何度もゴリゴリと床に頭を擦りつけながら叫んだ!
「決して!決してそのような!わたくしは、人間にそのような霊感商法はやらせておりませぬ!
わたくしの名前を騙り、かの人間が勝手にやったことでございまするううううううう!!!!!!」
河童は体を小刻みに震わせながら、滔々と涙を流した。
「・・・・・怖い、人間怖い・・・・最低だ。」
智伯は無表情で河童を見ている。
「そちの心に嘘はない。そちは利用されただけのようじゃの、これに懲りて、素性を騙って
人間をだますでないぞ。」
智伯がそう言うと、かっぱは床にはいつくばったまま「はぃ」と小さな声で言った。
「それでは、早々に三河に帰るがよい。これ、そこの人間、この者は三河に帰るだけの
思念の持ち合わせがない。そなたが愛情を持って抱きしめてやって思念を与えてやれ。」
智伯は私に向かって命令してきやがった。
私は河童を見た。
ヌトヌトしている。
しかも、あまりにショックだったのか地面にクターと這いつくばって、カエルの死がいみたいで気持ち悪い。
愛情をもって抱きしめるなんて嫌だ。
でも、ちょっと可哀想なので頭を手でなでてやることにした。
私が河童の頭に手を伸ばそうとすると河童は冷静な声で「おい、気易く頭の皿にさわんな。」と言って
手を払いのけてきた。
この腐れ河童が!
それを見て智伯が「今のは人間が悪い、完璧にお前が悪い、河童にとって皿は命だからな。」
を真顔で言ってきた。
オイオイ、私が悪者扱いか。
非常に不愉快ではあったが、このキモイ河童の幻影がいつまでも部屋に居座るのが気持ちが悪いので、
しかたなく河童を背中から抱きしめてやった。
甲羅のぬめぬめ感がなんとも気持ち悪い。
すると、河童は起き上がり、とぼとぼと帰っていった。
小声で「けっ、しけた念派よこしやがって。」とかぼやいている。
2度と来るな。
次の日、風邪をひいた。鼻水がずるずる出る。
喉も痛い。
でも、仕事休むわけにもいかないので、ティッシュで鼻水をかみながら仕事を続けた。
ああ、散々な目にあったよ。
日々の生活の平安と幸福に感謝して、神社にお礼を言うために参拝に行く。
神社へ行く道すがらに水色の着物を着た女性がしゃがみ込んで地面を見ていた。
よーく見ると体が透けている。
やばい、霊だぞ霊。
しかも水色の服を着ている。きっと池内忍と同じ系統の地霊に違いない。
相手にならないのほうがいい。無視だ無視。
目の前を無視して通り過ぎようとすると、案の定声をかけてくる。
「もしもし、お兄さん、あなたに人生のビックチャンスをさしあげましょう。」
ほら来た。
無視、無視。
無視して通り過ぎていくと、その水色の霊体は少し考え事をしてから大声で叫んだ。
「あ!お兄さん、直木賞受賞の運気を落としましたよ!」
私は反射的に後ろを振り返った。
「え!直木賞!どこ!どこ!俺、直木賞取れるの!?」
それを見て水色の霊は「ぷっ」とふきだす。
やっぱりたちの悪い霊だ。
無視、無視。
「あ!こんなところに芥川賞を取れるチャンスが!」
水色の霊が叫ぶと、悲しいかな私はパブロフの犬のごとく
反射的に振り返ってしまった。
水色の霊の指さす方向、アスファルトに地面の上には黄金に輝く犬のウンコが落ちていた。
「この黄金の犬のウンコを食べれば、あなたは地位と名誉と栄光が得られるのよ。」
水色の霊はそう言う。
「いや、どう考えたって嘘だろ、だってそんなもん食う奴いねーよ。」
私がそう言うと、水色の霊はわが意を得たりとばかりに目を輝かせた。
「そうよ!そうなのよ!誰もやらない事、誰も勇気がなくてできないこと、
わかっていてもできない背徳な行為!だからこそ、あえて、
その誰もやらないことをやった者こそ真の勇者たりえるのよ!」
その水色の霊の言葉に、少しだけ体がゆらぎかけた自分が情けない。
でも、黄金といっても所詮犬のウンコだからな。
そこまでして栄光なんてほしくねえや。
「そのブドウは酸っぱいんだ!だから俺はそんなもの食わねえよ!」
私は黄金のウンコを指さしてタンカを切った。
「いや、ブドウじゃなくてウンコだから、黄金のウ・ン・コ」
水色の霊はすかさず突っ込みを入れた。
だめだ、だめだ、こいつのペースに惑わされたらいけない。
「そんなウンコ、食ってあげないんだからね!フン!」
そういって私は目を閉じ、耳を手で塞いて
「見猿!言わ猿!聞か猿!」と唱えながらその場を走り去った。
家に帰って、すごく憂鬱な気持ちになっていると池内慶がやってきて私の顔を覗き込んだ。
「だいじょうぶ~?」
池内慶に道で出会った奴のことを聞いてみた。
「江匿罠(こうとくみん)だよそいつ、よくインテリの大学教授とか偉い文芸評論家の先生に憑依してるよ。」
と池内慶は言った。
なんだ、文芸界の偉い先生に憑依してるのか・・・・。ならあの黄金の犬のウンコを食えば、
俺は地位と名声と栄誉が・・・・、いや、食わない、食わないって、そこまでして地位と名声と栄誉なんて。
「ねえ、何泣いてるの?」池内慶が聞いてきた。
泣いてなんかいないやい!
そのあと、池内慶は言葉をつづけた。
「もしかしてさ、その黄金の犬のウンコ食べたら、偉い文芸評論家の先生は認めてくれるかもしれないけど、
その他数百万人の人たちはドン引きすると思うよ。」
その池内慶の言葉を聞いて、私は自分の目からウロコが落ちて地面に落ちて割れる音を聞いた。
そうだ、そうだよね、みんなドン引きするよね。
「そんな事しなくても、みんなと楽しく暮らしてればいいよね。」
私がそう言うと、池内慶は「そうだよ、今のままの自分でいいんだよ、素の自分のままでいいんだよ。」
と言って頭をなでてくれた。
なんだか少しホッとした。
寝床に入っても眠れぬ日々が続く中、夜中の3時。
ふと、空中に黒い影がういていた。
背筋がゾッとした。
「吐き出してしまいなさい。」
声がした。
智伯だった。
「心の中にあるものを吐きだしてしまいなさい、そうすれば楽になるから。」
智伯は言葉をつづけた。
「恐怖や苦しみが増してゆく。それは、相手の得体が知れないからだ。そして、
それは、実は相手ではなくて、自分の不安の種なのだ。
自分では絶対に面白いと思う作品を書いて、出版までの時間を待つ間、
いったい読者がどんな反応をするだろうか、もしかして、全然面白くないと
言うのではないだろうかと不安で苦しくてたまらなくなるだろ?
それは、読者の反応がどうなるか分からないからだ。予測できないからだ。
だからこそ、その不安の正体が、そなたのパーソナルイメージの死の闇とつながったのだ。
人はなぜ死を恐れるか。それはすなあち、死の正体がわからないからだ。」
「人は病気を嫌う。風邪を嫌う、虫歯をきらう。痛い、くるしい。でも恐怖におののかない。
なぜなら、その苦しみは以前体験しており、痛みや苦しみの尺度が分かっているから
耐えられるのだ。しかし、死の先はわからない。だから恐ろしい。」
「ならば、死の正体を教えよう。」
智伯がそう言うので私は身を乗り出した。
「人は死ねば土くれ、何も感じず、何も聞こえぬ。熱くも寒くもない。そこで時が止まる。
よって、一生懸命働いて充実してきた人は、たとえ一時は病気で苦しんできても、
日々後悔なく生活していた時間で時が止まるので、死後も充実した気持ちで時が止まる。
自殺は苦しい現実から逃れるために死をえらぶので、苦しい現実のままで時が止まり、
永遠に苦しみから逃れられない。
人を騙し、殺し、苦しめたいと願い、また、そうして生きてきた者は、人をむさぼりたくて、
人を苦しめたい欲望に渇望しながら、そこで時が止まる。時が止まると動けないから、
人を苦しめることができない、人を不幸に陥れる快楽、人を騙して得をする喜びを
永遠に味わうことができず、渇望に永遠に苦しみ続ける。
そのようなそれぞれの心が永遠の時の中で止まるのだ。我ら眷属や神の使いの
目にとまり、この世に転生するその時までな。
だから、池内慶は、そなたに一生懸命働け、後悔なく人生を送れと指示を出したのだ。
そなた、それが理解できておらぬだろう。」
智伯はそう言ってにっこりと笑った。
たしかに池内慶がなんとかカンガルーとかチラシの裏に書いていたときには、私はこいつは
馬鹿じゃなかろうかと思った。
そうか、一生延命毎日を後悔なく生活していれば、たとえ、突然の事故で死んでも、病気で
苦しい思いをして死んでも、その後悔なく充実して生きた足跡で時が止まり、
永遠の充実がえられるんだ。そうなんだ。
だから、精一杯生きろと言ったんだ。
知ってしまえばなんということはない。
私はそう思った。
その思いを智伯は読みとる。
「そうであろう、それだけのことだ、実際にその実体をしってみれば、実に気にすることもない
たわいものないことなのだ、だからもう、苦しみもがくのはやめろ。そしてゆっくり眠れ。」
そう言って智伯は消えていった。
「こんにちわ~、はじめまして。」
ボブの黒髪の女性が愛想をふりまく。
目は真赤で黒い服に赤と緑の二筋のラインの入っている。
腰には金色の柄に銀色の草模様の入った鞘の西洋風の剣をさしているが、特徴は
手に大きなズタ袋をもっていることだ。
「このたび、お仲間に加えていただいた松岡炎です。」
そう言いながら頭をさげる。
「よく来たねえ、私や良は火使いの連中には手が出せないもんだから、
あんたみたいな火使いが来てくれたらたすかるわ、火対火だと、あとは
武力の実力勝負だからねえ。」松岡覇はそう言いながら片手に持った巨大なハンマーを
軽々とくるりと回した。
それを横で松岡狼が黙ってみている。
「こいつも凄腕の火使いだ。分からない事があったら聞いてくれ、もっとも、同じ火でも
武器が違うんだから自分のやりやすい戦い方でやってもらっていいんだよ。」
松岡覇は機嫌よくそう説明した。
「・・・・・・よろしく」松岡狼がつぶやくように言った。
「よろしくお願いします。」松岡炎は頭をさげた。
松岡系たちが語らっていると南の方からミシッ、ミシッと音が聞こえてくる。
「ん?」怪訝な表情で松岡覇がそちらを見ると黒いシルエットの中心に人影がある。
体からは無数の花が生えている。
「ん?池内慶か?今新人を歓迎してるんだ、あとで遊んでやるからあっち行ってろ!」
しかし、その体から無数の暗黒の花を咲かせた影は黙って近づいてくる。
「しつこいぞ、池内け・・・・」
松岡覇は殺気を感じた。
「てめえ、木だろ?
木の分際で鉄と火の私たちを殺しに来たのかい?どこのバカだい、帰り打ちにしてやんよ!」
が叫ぶと松岡炎がズタ袋の口をあける。そこから巨大な火柱があがり、一瞬にしてその影を
火に飲み込んだ。
「熱い!熱い!熱い!死ぬ!死ぬーっ!!!」叫びながら影は転がりまわった。
そして口から「べ!べ!べっ!」と種を吐き出した。
「種だ!ひとつ残らず焼き殺せ!」松岡覇が松岡狼を見ると、
松岡狼は素早くその影が吐き出した種に正確に火の玉を命中させていき、すべて燃やした。
「とどめだー!」叫びながら松岡覇が火だるまになって暴れる影にハンマーを振り下ろした。
その影はメキッと音を立ててつぶれた。
「チョロいもんだねえ!ハハハ」松岡覇はご機嫌で笑った。
しかし、巨大ハンマーを地面に振り下ろしたときに悪い予感がする。
「ジャリッ」という音とともにざらついた感覚が手に伝わる。
「木?・・・・・いや、木じゃない・・・・土だああああ!」慌てて松岡覇が叫ぶが早いか、
その砂はまるで液体のように素早く地面をはって、松岡炎の袋の中に入った。
松岡は自分の足元に散らばった花を拾い上げた。
それは、砂漠のバラと呼ばれる硫酸バリウムという鉱物の結晶体だった。
松岡狼が種だと思って焼いたのはただの石ころだった。
「チッ、やられた!」松岡覇は舌打ちをした。
すこし間があった。
松岡系たちが終わったか、と思ってすこし気を許したとたん、
松岡炎の袋から巨大な手が二本素早く飛び出してきて松岡炎と松岡狼をつかんだ。
「うわっつ!」叫ぶ松岡炎。松岡狼ももがくが動きがとれない。
松岡炎と松岡狼のエネルギーを吸収してその手は肥大化していった。
どうすることもできない松岡覇。
完全に松岡炎と松岡狼が動かなくなると、
その大きな手は二人を松岡覇に投げつけた。
「うわっ!」松岡覇は本能的にそこを飛びのいて、二人は地面にガツンと音をたてて落ちる。
すると、その巨大な手は一つに融合し、等身大の人型の影になった。
そして、その腹から巨大な血走った眼がクパーッと開いた。
「お前は、友人を捨てて逃げた。炎で自分の顔が歪むのが怖かったんだ。
お前は、自分の美しさを守るために友達を捨てた。汚い!汚い!汚い!」
その影は松岡覇に語りかけてきた。
「そんな、違う!私は義の元に生まれた者!決して友を見捨てはしない!」
影はどんどん松岡覇にせまってくる。
「ならば、目の前に転がっているものは何だ?おまえは汚いものか?」
松岡覇の目から涙が流れ落ちる。
「ちがう、私は・・・・汚くない、ただ、どうしよううもなくて・・・」
その影の腹のところにある血走った眼がより一層開き、そこから血が
したたりおちる。
「そうだろう?おまえは汚くない、力が及ばなかっただけだ。我を崇拝せよ、
現世利益を求めよ、そして、崇高なる我の栄光の教義を世に広めるのだ。
さすればお前に永遠の力を与えよう。」
松岡覇は目からボロボロと涙を流し中らひざまづく。
「ああ、くやしい・・・・・もっと強くなればこんな屈辱的な思いをせずに済んだのに。」
黒い影はいっそう松岡覇に近付く。
「さあ、誓いなさい、永遠に我が信徒となり、布教をつづけると。」
その、松岡覇と黒い影の狭間に巨大な真っ黒なオノがブウンと唸りをあげて振り下ろされた。
松岡覇の体を覆って余りある30メートルはある巨大な斧だ。
その斧の柄を松岡良が片手でヒョイと持ち上げた。
影は素早くとびのくと、意識を失っている松岡炎と松岡狼の頭をつかんで、
松岡良に投げつけた。
松岡良はそれを軽くかわす。
「避けたなあ、お前は友を見捨てたのだ。」
影はうめいた。
「それで?」
松岡良は無表情に答えた。
黒い影はすぐさま巨大な手に姿を変えて松岡良をつかみにかかった。
それを松岡良は容易くテニスボールでも打ち返すように巨大な斧で
はじき返した。
はじかれた黒い腕は唸りをあげならら猛スピードで空の彼方まで飛ばされていって消えてしまった。
松岡良はその斧をコンコンと二回叩くと斧は大豆くらいの大きさになった。
松岡良はそれを耳に入れると松岡覇のところまで歩いて行った。
「大丈夫か?」
松岡覇は頭を振る「あ?ああ・・・」
松岡良は意識を失っている松岡狼と松岡炎に目を移す。
「こいつらも、ほっておけば目を覚ます。気にするな。」
そう言って松岡良はどこかへ歩いていった。