慶ちゃんはいつも適当な事を言う。
その大部分はあてにならない。
自分の出身も、玄慶塚に埋められていたというものから、小牧山大精霊の娘だという話まで
色々だ。
だから、色々な話を聞いても聞き流している。
しかし、今回はかなり話が詳細だったので記録にとどめておくことにした。
それは、日清戦争が集結し、日本と清との間で終戦協定が結ばれるときのことだという。
清は日本に敗戦し、条約をむすばされたあと、清の役人に日本の軍人の一人が
「長崎の時の仕返しだ」と言って暴行をくわえたらしい。
実際にそんな事件があったかどうか分からないし、歴史の本にも載ってないみたいなので、
慶ちゃんが適当な事を言ってるだけかもしれないし、思い違いかもしれない。
それで、その清の役人がケガをしたのだが、その場に居合せた中島さんという
お医者さんが、その清の役人を看護してあげて、治療してあげたそうだ。
それに清の役人は大層感激して、先祖伝来の貴重な精霊の入った仏像をその中島さんに
あげたそうだ。その精霊こそ慶ちゃんだと言う。
その精霊の入った仏像は明石のお寺に寄付されたが、そこが宗派が違うということで、
仏壇に供えてくれなかったので、逃げ出して、稲爪神社に住み着いたという。
それ以来、明石でうろうろしていたと言っている。
やけに話が具体的なので記憶に残った。
まあ、大部分は嘘の話だと思うけど。
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