慶ちゃんたちはあいかわらずイチゴ大好きです。
今の時期は安くでイチゴが沢山手に入るので、大喜びです。
一昨日は慶ちゃんと剣ちゃんがイチゴパックをもらいました。
昨日は忍ちゃんが貰いました。今日は父と一緒にお買い物です。
父がイチゴパック一つ買ったら慶ちゃんが手を出そうとしました。
「だめよ」忍ちゃんが言いました。
「なんでだよ!昨日忍ちゃんもらったじゃない!」
「だってあなた、イチゴパック二つもらうときは、どさくさにまぎれて、必ず1個もらうじゃない。あなたの
いちご貰う率は異常に高いのよ、ここは剣ちゃんにゆずりなさい」
「はーい」
慶ちゃんはちょっと不満そうだった。そのあと、慶ちゃんはデコポンを貰いました。忍ちゃんはお気に入りに
キリーのクリームチーズを貰いました。
そのあと、父がミルクアイスパックを買い物籠に入れる。
「あ、これは私がもらうわ」
素早く忍ちゃんがイチゴアイスを貰ってしまう。
「ずるいよ!慶タンイチゴもらってないから、いいもの欲しいよ!アイスほしいよ!」
「何言ってるの、私だってイチゴもらってないんだからアイスほしいわよ」
「だって忍ちゃん昨日イチゴもらったじゃない」
「昨日は昨日よ」
「だって、その前に慶タンがいっぱいもらったから、今日はイチゴ諦めなさいって言ったじゃん」
「それは確率の問題よ、確率として慶ちゃんはイチゴ貰う率が高いからイチゴ貰う率が低い私が
アイスを貰うのは大自然の掟なのよ!」
「ぴょーっ!」
慶ちゃんの頭と耳から湯気が噴き出す。
「はっけよーいのこったー!」
慶たんは頭の上にお相撲さんのちょんまげをつけて忍ちゃんにくみつき、うっちゃって、忍ちゃんを投げ飛ばした。
「きゃっ!何するのよっ!」
忍ちゃんは激怒する。
「慶ちゃん山の勝ち~」
剣ちゃんが行司の格好をして、賞金として勝手にミルクアイスを慶ちゃんにあげてしまう。
「何やってんのよ、あんたたち!」
激怒する忍ちゃん。
「これも自然の摂理だよ、ほほほ」
慶ちゃんは笑ってごまかす。
「まったくもう、そんな子に育てた憶えはありませんよ!」
忍ちゃんは叱責する。
「忍ちゃんに育ててもらったおぼえはないよ!」
慶ちゃんが言う。
「あよい!よい!よよいのよい!」
慶ちゃんと忍ちゃんが一緒に踊る。
「は~ポン!」
二柱揃って柏手を打って、一件落着。
ここらへんの精霊の手打ちのやり方ははく意味がわからない。
つぎに私が牛乳を籠に入れる。
「はいはい、慶ちゃんはそんなに乳製品がすきなら牛乳でももらっときなさい。はいはい、おっぱいがいっぱいよ」
「牛乳はおやつにははいらないよ」
慶ちゃんは不満顔だ。
「いいのよ、天空のはるかかなた、マゼラン星雲にでは牛乳がおやつかもしれないじゃない。実際、
アイスがおやつならその先祖である牛乳がおやつではないというのは、詭弁にすぎないのよっ!」
忍ちゃんが胸をはっていった。
「よくわからないけどアイスもらったから、こでいいや」
慶ちゃんは妥協した。
次にコーヒー牛乳を入れるとこれは剣ちゃんが貰った。
「ほらごらんなさい、剣ちゃんは何の文句も言わずにコーヒー牛乳を貰ったわよ!」
「コーヒー牛乳はおやつだよ!だって甘いもん!」
「あら、じゃあサトウキビから作る味の素はおやつなわけね」
「味の素は甘くないよ!」
「私は起源論の話をしているのよ。コーヒー牛乳と牛乳の差異と機嫌について。はい、ここ重要よ、テストに出ます」
「めんどくさいからもういいや」
慶ちゃんはあっさり話を放棄した。
その次、父が卵入りロールパンを買った。順番的にこれは忍ちゃんのものになった。
なんだか納得いかないわね。
忍ちゃんは不満顔だ。
次に父はチョコレート二つを買い、私がホワイトチョコレート一つを買った。
ホワイトチョコは忍ちゃんが貰った。
チョコレートは慶ちゃんと剣ちゃんがもらって、いつもどおり、チョコをバタバタ上下にふって遊んだ。
慶ちゃんはとくにこの遊びが好きだ。何が面白いのかわからないけど。
そして、次に父はビスコを買った。
「もらった」
素早く忍ちゃんがビスコを貰ってしまった。
「あ、剣ちゃんビスコほしい!」
剣ちゃんがビスコに飛びつこうとする。
「何してるのよ、あなたイチゴもらったでしょ!ビスコがほしかったらイチゴと交換よ!」
「えー剣ちゃんイチゴもビスコもほしい」
「あなたイチゴもらったんだから我慢しなさい!」
「わーん!ビスコ欲しい―!ビスコ―!」
剣ちゃんは泣いてしまった。
「泣いてもあげなーい」
「ほしいよーほしいよー!」
剣ちゃんはぽろぽろ涙を流して泣いた。
「まったくもう、だだっこなんだから、うるさいからやるわよ」
ツンデレ忍ちゃんは剣ちゃんにビスコをあげた。
「わーい!」
剣ちゃんの機嫌はすぐに直った。
そのあとぐつ、父が、オブラートにつつんだ、甘いゼリーお菓子を買った。
「あ、剣ちゃんこれほしい!」
剣ちゃんが飛びつく。
「何いってるの、あんた、さっきビスコとったじゃない」
忍ちゃんが怒る。
「じゃあ、ビスコと交換でいい」
「なによ、あれだけビスコほしがったじゃない!」
「だって剣ちゃんは甘いお菓子が一番すきなんだもーん!」
「まったくどうゆう教育を受けたのかしら、教頭先生!おたくの学校はどういう教育方針ざます!」
忍ちゃんが慶ちゃんに怒鳴った。
「そうおっしゃられましても、PTA会長、剣さんはお宅様のお子様ですし、最低限の礼儀作法は
お宅様で教育していただかないと」
慶ちゃんは背広を着た格好でぺこぺこ頭をさげる。
「何ざます!大切なお子様を預かる学校がそんな態度でどうするざます!こうなったら
教育委員会に訴えるざます!」
「そ、それだけはごかんべんを、これ以上査定が下がると夏のボーナスが減額されてしまいますーっ!」
「ボーナスがなによ!ナスがママ、キュウリがパパとはこれいかに!」
「ちゃんちゃん」
落ちがついたところで慶ちゃんと忍ちゃんはポーズをとった。
そうやって三文芝居をしている間に父はレジに向かってしまった。
「ちょ、ちょっとまってよ!また慶タンのおやつがないよ!」
慶ちゃんがあわてる。
父はレジを済ましてしまった。
レジをすました段階で端数になった最後のおやつは貰えないルールになっている。
不公正にならないために、最近そういうルールが慶ちゃんたちの間でさだめられたのだ。
「わーん」
忍ちゃんと剣ちゃんが泣いてしまった。
忍ちゃんが泣くことはめずらしい。今日はアイスも貰えなかったし、ビスコが最後の希望だったんだろう。
そのまま父は近くの薬局に入る。そして出てくる。
父の肩に慶ちゃんたつかまっている。慶ちゃんはニコニコしている。
「ぼんたんアメもらったよー!」
慶ちゃんはボンタンアメを買ってもらったようだ。
これで、忍ちゃんと剣ちゃんのおやつも復活だ。
「やったわ!」
「やっほー!」
忍ちゃんと剣ちゃんは喜んで踊りを踊った。
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