本当を言うとね、
剣ちゃんは自分が何を買ってもらったのか思い出せなくて、
「ブロッコリーだよ」と嘘を言ったあと、ブロッコリーじゃないと言われると
「ブロッコリーは嘘です!本当は剣ちゃんは何も買ってもらってなかったんです。
剣ちゃんはいらない子だから!」と目に涙をためて叫んだんです。
そんな剣ちゃんだけ買ってあげないとか、絶対やらないんだけど、それだけ
剣ちゃんが自分の事を小さな存在だと思っているということだった。
それがあまりにも可哀そうで、切なくて、書けなかったんだけど、
書いておいたほうがいいかなと思って、書いておきます。
すごく自分を小さくて必要とされてないんじゃないかと、おびえてたんだなと思うと、
ちょっと切なくなります。
今日、私の部屋に入ると、剣ちゃんが一人でお絵かきをしていました。
慶ちゃんと剣ちゃんと忍ちゃんが手をつないで笑っている絵です
向かって左の慶ちゃんが一番大きくて、真ん中の剣ちゃんが一番小さくて、右の忍ちゃんが
中くらい。
そして剣ちゃんは真ん中で二人に手をつないでもらって、笑ってます。
その頭にはお姫様の王冠のティアラが描いてありました。
本当は、みんな同じくらいの大きさなんだよ。
でも、剣ちゃんの中では慶ちゃんがお父さんで、忍ちゃんがお母さんなんだなあと思いました。
「できたー!」
剣ちゃんが満足そうに絵をみていると、そこに慶ちゃんが来ます。
「なにやってんの」
剣ちゃんはあわてて絵を隠します。
「ねえねえ、何、何?みせてよ」
よっていって慶ちゃんは剣ちゃんの絵を取り上げます。
「かえしてよー、かえしてー」
剣ちゃんが涙目になります。
「あ、ないちゃったの?ごめんねー、お詫びに慶ちゃんがパパさんになってあげるよ!」
慶ちゃんがそういうと、ポン!と煙が起こって慶ちゃんのいつも来ている中国風の服が
黒のタキシードになりました。そして、口元におひげをたくわえて、
片目だけに丸メガネをかけて、金の懐中時計をポケットに入れています。
どんなお父さんのイメージだよ。
「あなただけに良い恰好はさせないわよ!」
忍ちゃんの声がします。そちらを向くと、忍ちゃんが
16世紀頃のヨーロッパの貴婦人みたいな恰好をしています。
「これがママよ!」
「どこのママだよ、ていうか、それ誰の仮装なの?」
「あら、ママといえば、マリア・テレジアに決まっているじゃない」
忍ちゃんは胸を張って答えた。
慶ちゃんは剣ちゃんの左に、忍ちゃんは剣ちゃんの右に行って手をつなぎました。
すると、空中に19世紀頃の古い写真機が現れて、写真機が「はい、チーズ」と
しゃべりました。
「裂けるチーズ!」「ほろほろチーズ!」「カマンベール!」
三人そろって叫びながら写真をとりましたとさ。
剣ちゃんはとてもうれしそうでした。
めでたし、めでたし。
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頭の中とはいえ
こういう子たちといつも一緒にいると
毎日楽しいでしょうね(^^)