神社に行く。今日はえびす祭の最終日だ。
氏神様の藤に水をやっていると、ひさしぶりに花藤子さんがでてきて
「いつも藤の木に水をやってくださってありがとうございます」
と言って微笑を浮かべて一礼した。
そして消えて行った。
「あそうだ、今日はスーパーで流で遊ばなかったね」
慶ちゃんが言った。今日はスーパーでオモチャの龍を飛ばして遊ばなかったので、
外の横断歩道のところで遊ぼうとしたけど風がきつくて、とばされそうになって、
あわてて私の体のところまで持ってきて、私にしがみついて怖い思いをした慶ちゃんだった。
ここは神社の御領で結界が張ってあるから、外にはとばされないよ。
そういって、慶ちゃんは龍を取り出してきて剣ちゃん、忍ちゃんと一緒に神社の宮中で
龍に乗ってあそんだ。
すると、神社の中から緑色の風神様みたいな神社の眷属様がでてきて
「これ、こんなところで乗り物を乗り回してはいけない」といって龍をとって神社の中に
入ってしまった。
「慶タンの龍返してよ、わーん」慶ちゃんは泣いてしまいました。
「ううう、龍とられちゃったよう」剣ちゃんも泣いています。
忍ちゃんは何も言わずに鼻の頭を赤くして目に涙をためています。
しばらくすると、風神様みたいな神社の眷属様が出てきて、龍を返してくれた。
「かわいそうだから、今回は許してやることにする。もう乗り回すなよ」
「わかった!もう神社では乗らないよ!」
慶ちゃんが叫んだ。
「良かったね、慶ちゃん!龍がかえってきたよ」
剣ちゃんが喜んだ。
「ふう、心配させないでよね」
忍ちゃんがアンニュイな溜息をつく。
そのあと、御本社様と摂社のえびす神社とほかの摂社をお参りしたあと、
八幡様にお参りに行く。すると、神社の中で小さな竜巻のような突風が起こり、
白い砂が舞い上がって羽衣のようにヒラヒラと揺れながら海の方へ流れて行った。
「綺麗だねー」私は茫然とそれを見ていた。
「きっと風の神様が、かわいそうに思って、綺麗なの見せてくれたんだよ!」
慶ちゃんが言った。
「そうだねー」私が答えた。
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