父と一緒にスーパーに買い物に行った。
イチゴのあきひめが398円で売っていたので1パック買った、けっこう安かった。
「当然、これは私のものね」
イチゴの中でも章姫が大好物の忍ちゃんがこれはもらった。
「いいもん!慶タンはもっといいものもらうもん!」
そう言っていると、白菜の安売りに出くわした。4・1玉68円。父はそれを二つ買い物籠に居れた。
「白菜は嫌だよ!白菜はフルーツじゃないよ!」
慶ちゃんは叫んだ。
そのあと、父はフルーツトマトをカゴに居れる。
「これは慶タンがもらった!」
フルーツトマトに慶ちゃんが手をつける。
「またもや私がボッチなの!ボッチなの?」
剣ちゃんが焦る。でも、父はそのすぐあと、フジッコのお豆さんを買い物籠に居れる。
「やったー!私の定番だー!」剣ちゃんが喜ぶ。
しばらく行くと、魚売り場に到着する。この時期、明石ではいかなごの稚魚である新子があがる。
その釜揚げが売っていた。
父はそれを買った。
「魚の死体がいっぱいだよ、ぎゃー!」慶ちゃんが叫ぶ。
まあ死体だけど。
そのあと、私はカップヌードルシーフード味を買い物籠に入れる。
「こんなの、いらんよ!」
そう言って慶ちゃんはカップヌードルを外に出そうとする。
「だめだよ、これで茶碗蒸しつくるんだか」
私がそう言うと慶ちゃんは目を丸くした。
「カップヌードルで茶碗蒸しつくるの?できるの?」
「できるさ」
私は答えた。
実は昨日の夜、芸人の貧乏料理特集をテレビでやっていて、そこで優勝したのが
カップヌードルシーフードの食べたあとの残り汁と卵を混ぜて電子レンジでチンすると
茶碗蒸しになるというものだった。それを試すために、カップヌードルを買ったのだ。
「すごいよー!みたいよー」
慶ちゃんは喜んだ。
そのあと父はロールパンを買った。
古いロールパンが2割引きで売っていたからだ。
それは慶ちゃんがもらった。
あといちごジャムパンを二つ。
これは忍ちゃんと剣ちゃんがもらった。
父はそのあと、バニラアイスクリームのパックを買った。
父はバニラアイスが好物なのだ。
「これはセレブの私がいただくわ」
忍ちゃんがアイスにタッチ。
「大変だよ!慶タンたちはお菓子もらえないの?ボッチなの?ボッチなの?」
叫びながら慶ちゃんが踊る。
「困ったよ!困ったよ!」
剣ちゃんも一緒に踊る。
その時、父は天津甘栗をカゴにいれた。
「慶タンがこれもらった!」
そう言って慶ちゃんが甘栗にタッチした。
「こまったよ!剣ちゃんはまたボッチなの!?」
剣ちゃんが叫ぶ。すると、父は今度はぼんち揚げに目をやる。
今、ぼんち揚げは10%増量セール中だった。
ぼんち揚げは慶ちゃんの好物である。
「慶ちゃん、これもらい!」
慶ちゃんはぼんち揚げにタッチする。
「ずるいよ!慶ちゃん二つもずるいよ!」
剣ちゃんが怒る。
「じゃあ、これあげる。」
慶ちゃんは剣ちゃんに甘栗をあげた。
「いいの?ぼんち揚げより甘栗高いよ?」
剣ちゃんが目を丸くして言った。
「慶タンは揚げたのが好きだから、栗はあげるよ!これが男の生き様ってもんだい、てやんでい!」
慶ちゃんはタンカを切った。
「あんた、女だけどね」
すかさず忍ちゃんがツッコミを入れた。
そのあと、父はお菓子売り場を回って、いつも通り乳ボウロを買う。
これも父の好物なのだ。
「当然、これは私のね」
忍ちゃんが乳ボーロを貰う。これも忍ちゃんの好物だ。
そのあと、父は揚げタコ焼きを買った。
「わーい、揚げ物だー!」
慶ちゃんが喜んでそれを貰う。
父はそのままレジに向かう。
「え、もう終わり、剣ちゃんだけ本当に買ってもらえないの、おしまいなの」
剣ちゃんがちょっと涙目になる。
突然のイレギュラーで剣ちゃんはオロオロするが、父はそのままレジにならんでしまった。
そこで、本当は介入しないんだけど、私はこっそり、レジ横のウマイカをカゴに入れてあげて、
剣ちゃんを見た。
「これ、剣ちゃんのだよ」
「あ、ありがとう!」
剣ちゃんが喜んで私に抱きついてきた。
屈託のない笑顔だった。
日頃、慶ちゃんをかわいがりがちになっていたので、
剣ちゃんに喜んでもらってよかった。
それを横で、ちょっと不機嫌層に黙って忍ちゃんが見ている。
「忍ちゃんも大好きだよ」
そう言って忍ちゃんを抱っこした。
「やめなさいよ、うっとうしい」
そう言って忍ちゃんは両手で私の顔を押しのける。でも、本当はまんざらでもない感じだ。
「慶タンも抱っこ!」
そう言って慶ちゃんが飛びついてきたので、
私は「はいはい」と言って慶ちゃんを抱っこしてあげた。
最後は三柱あわせてみんなで抱っこ。
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