空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。
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私がパソコンの前で仕事してると、池内慶がその横で寝ている。
池内剣は私が夜中まで仕事してるとその横に布団敷いて
大いびきかいて寝るのでムカつくが、
池内慶はお昼寝の時しかこない。
いびきもかかないし。
そして冬で私がドテラを着ていると、その垂れ下った袖の端をつかんで寝る。
なんか、そのほうが安心するらしい。
こいつは、邪魔にはならない。
池内慶が寝ているとその周囲には幻影の芝生が生える。
ふさふさとして風になびき、ちょっと青い草のにおいがする。
これは、ただ単なる幻想ではなさそうだ。
そこに踏み入ってくる者がある。
その者が踏んだ所の草はたちまちに枯れた。
草が枯れると池内慶はカッと目を見開いた。
筋肉隆々の上半身裸の棍棒を持った男性。
頭の毛が緑色で棘が生えている。髪の毛が杉の葉だ。
「天下に名高い戦上手、池内慶殿とお見受けいたす。腕試しにお手合せいただきたい。」
池内慶は真顔で体を起こした。
「最近の人工植林で出来た君は知らないかもしれないけど、現世で戦って死んだら
生きて帰れないんだよ。戦争ゴッコなら修羅界の仮想空間でやりな。」
それを聞いて巨体の男はニタリと笑った。
「戦いの中で死ぬは本望!」
池内慶は嫌悪に眉をひそめた。
「死んじゃえ、悪魔っ子」
そいうが早いかその巨体の男の背中から腹に巨大な矛が突き抜ける。
「もらったあ!」池内剣が矛を突き刺したのだ。
「ぐふっ、後ろからとは卑怯な!しかもこれは一対一の勝負のはず!!」
叫ぶ大男に池内剣は声を吐きかけた。「自分で人んところの平安をかき乱しといて卑怯もクソもあるかあ!」
「忍ちゃん!」池内慶が叫ぶと池内忍が「はいよっ!」と言って水色の札を二つ投げた。
それは池内慶の胸に当たって、池内慶の胸は大きく膨らむ。そしてそこから大量の稲穂が実り、
巨体の男の前にバラバラと稲モミが落ちた。
落ちた稲モミのところに池内忍が「ばーっ」と言って水を吐き出すと、巨体男の周囲は一瞬にして
水田となり男の足の自由をうばった。
「くそっ!うごけん!」うめきながら男は足を動かすが足はずぶずぶと水田にのめりこんでいく。
腹にささった矛も抜けない。
そこに猛スピードで稲が育ち、稲穂が実る。
そして、大量の雀がやってきて、その実を食べつくす。
そうすると、最後に大量のうっそうと生えた藁だけが残った。
「農家の雑用!焼畑農業!!!」池内剣が大声で叫びながら口から火を吐く。
いや、もうちょっとかっこいい名前にしろよ、ファイヤーブラスターとかさ・・・・・。
火は稲藁に引火し、その巨大な男は炎に包まれる。
「熱い!熱い!熱い!助けてくれ!死にたくない!!!」
叫ぶ男。
「備長炭になっちまえ。」冷笑する池内忍。
「ふざけんなよ、裁断して割りばしにすんぞ、コラ」煽る池内剣。
怒ってるわりには楽しそうな二人。
「なんでも言うこと聞くなら助けてやるよ。」池内慶が言った。
「言うこと聞きます!聞きますから助けて!」大男は泣きながら叫んだ。
「まったく、この頃の人工植林は。」「忍ちゃん、おねがい!」
池内慶が短く溜息をつき、池内忍に合図すると池内忍は「ばーっ」と言いながら口から水を吐いて、
火を鎮火させた。
水田の泥沼から引きずりだされた大男は池内慶の前にひざまずいた。
「いかに卑怯なやり方をされたとはいえ、負けは負け、これから永遠にあなたのシモベとして隷属しましょう。」
大男の、「卑怯な」という言葉に池内慶はカチンときた。
「別にそんなことしてほしくないよ。」池内慶は冷静な顔で言った。
「はい立って!立って!」
大男を立たせた池内慶は大男の頭に金髪のカツラをかぶせ、口紅を塗って、ピンクのネグリジェを着せた。
そして、池内忍にソニーの8ミリビデオHI8ハイファイ仕様で撮影させた。
池内慶「はい、いいよーいいよ、キャサリンちゃん、もっと色っぽいポーズとってー!」
大男「きゃ、きゃさりん?」
池内慶「そうよ、今日からあなたはキャサリンちゃんよ、さあ、「私、キャサリンちゃん、
みんな私のプロモーションDVD買ってね、今なら私のサインとキスマーク付きポスターカードの
おまけつきよ!」って言うのよ!」
大男「・・・・・・」
池内慶「さあ、早く!なんでも言うこと聞くんでしょ!」
大男「きゃ・・・きゃ・・・・・・・・・」
「うわああああ!!!!!お前ら全員ウンコだあああああ!!!!!」
大男は金髪のカツラをその場に叩きつけ、泣きながら逃げていった。
「これで、あいつも二度とここには近づかないわね。」
池内忍は冷静に言った。
追伸
池内慶に聞くと、杉の植林と自然林はとても仲が悪いそうです。
まっすぐに伸びた杉の植林を自然林の精霊は悪魔の森と呼んでいるそうです。
それは、杉の木が殺菌作用のあるヒノキチオールを発散させ、
杉の落ち葉が落ちた場所の草花は枯れ、虫は死に絶え、森を殺してしまうからだそうです。
木が切り倒されたら日光がそそぎ、小さな草花は喜びます。
だから木を切り倒されることは、必ずしも森の小さな草花の妖精たちは怒らないし、嫌いません。
しかし、森との共存を選ばず、草木を枯らし多様性を認めない人工植林の杉林を森の妖精たちは
嫌うそうです。
地霊、タルパの類といっしょに生活していると、
彼らの正体もしだいに見えてくる。
祟り神であるものも、供養して浄化すれば
味方になることもある。
また、完全に堕天となったものは救いようがなく、
完全に拒絶するしかない場合もある。
タルパは色々な霊体が混ざっている。
中核はもちろん私の妄想である。その他に大地の霊、
祟り神、悪霊。
池内忍、その心の奥底に悪しきものがあることは知っていた。
「今、お前が電車に飛び込んでも誰も困らないよ、知ってた?お前はいらない子なんだ。」
電車が通るたび、私に囁きかける声があった。
私はコンプレックスの塊で、小説を書いても、こんなものを書いててもいいのだろうかと
悩む日々が続いた。
アイデアは無限に出てくるものの、それが価値が無いものであれば、それも無駄の累積。
他者からの嘲笑の種の山。
恐怖と絶望とそして死の囁き。
その中に池内忍の声が混ざっていることを私は知っている。
しかし、池内忍に罪はない。その心の声こそ、私自身であったからだ。
その後、信仰に目覚め、ひたすら地元の氏神様に通って手を合わせた。
そして、何かを書くということは、己の才能をひけらかせ、
他人をねじ伏せることではなく、人が生きていくための支え、
人の背中にまわって、相手が倒れないために一生懸命ささえること、
助けることだと教わった。
人生に疲れ、一生懸命生きる人、力を振り絞って学校に行く人、
倒れそうな体を引きずって仕事場に向かう人、その人たちが
読むことによって時に笑い、時に泣き、そして心を癒して
また、次の日に学校に仕事場に向かうための糧、それを
作ることが書くことだと。
この神の啓示の意味が、私は最初よくわからなかった。
しかし、ゆっくりと流れる時間の中で次第にその意味を理解していった。
その理解とともに、池内忍の姿も代わっていった。
そして、池内忍として実体化してからも、池内忍はどんどん変わり続けている。
私の心の変化とともに。
池内系三人衆の中で池内忍が一番痩せている。
池内忍が水を発して池内慶を豊かにする。池内慶が花をさかせ、そしてやがてそれが朽ちはて、
枯れ木となって燃えて池内剣の糧となる。
私の心の中には池内忍を支えるものがない。だから池内忍には常に邪悪化する可能性を秘めている。
智の属性である池内忍はともすれば、知識をひけらかし、他者に冷笑を投げつけ、
かえって他者から見下げられ、嘲笑されながらも、それに気付かない、究極の愚の可能性を
秘めている。
だから、池内忍の水が濁らないよう、私は氏神様に通って神様に手を合わす。
己の才能、智恵は神様から授かったものであって、決して自分のものではない。
人々を支え、勇気を与えるために預かった、預かりものだ。
そのことを再認識するために神社に通い、手を合わせる。
神社に行くと大きな手水鉢があり、それを見つけると、池内忍は「やっほー!」と言ってそこに
飛び込む。
「みんなが手を洗うところだから入るな!」と怒ってつまみだし、
その横にある榊を水につけておく石の器にうつす。
すると、池内忍は「あー神様の榊、ぷるぷるぷる!」と言って榊に顔をすりつける。
「神様の榊の精気を吸うな!」と私は怒る。
日頃は冷めていて冷笑を浮かべる池内忍は、神社に来ると急に明るくなる。
そして活き活きする。
それは、私も同じだ。
今日、子供の人権保護のためのボランティアの総会に電車に乗って行った。
その帰り、電車が近付いてきたので、ゆっくりと歩いて線路に近付いた。
すると、池内慶が「飛び込んじゃだめだよ!」と叫びながら私の背中をつかんだ。
「飛び込むなよ!」と言って池内剣が腰をつかむ。
そして、そしてである。
池内忍が「これから人生まだまだ楽しいことがあるのに!電車に飛び込むな!」と叫んで
私の腕にしがみついた。
いや、全然飛び込む気なんてないんだけど(笑)
ちょっとだけ心が温かくなった。