忍者ブログ

頭の中の池内慶

空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

色々調べてわかった事


地元の歴史を調べていて、色々なことがわかってきました。


小高い丘の上にある人丸神社は防火の神様で、いままで火を止めた逸話が
いくつもあります。火を操る神様でもあるようです。
 

私の住む地域にには元々人魚が住んでいたという資料が播州峯相記に残っている。
また神崎郡の漁師が人魚を捕獲してその娘の 八百比丘尼が人魚の肉を食べたとの
伝説があり、人魚が人間に対して敵愾心を持っている可能性がある。
(八百比丘尼の伝説は若狭にも残っており、人名を混同している可能性もある)
 
地元に鉄人伝説が残っている。
体が鋼鉄で出来た魔人で戦が非常にうまい。
日本を支配するために大陸から攻めよせてきたが、この地域で
氏神様の神の矢で足の裏を打ち抜かれて死んだ。
その後、復活しないように鉄人塚に封じられたが、現在その位置が不明となっている。


 

以上今まで調べて分かったことです。
 

PR

別所望

私の部屋に南の方から戦国時代の着物を着たお姫様が歩いてきます。
池内系たちは、それをポカーンと見ています。
綺麗な赤系の着物を着ています。
私を見つけると微笑を浮かべながら近づいてきて一礼した。
そして言った。「お久しぶりでございますお父様、あなたの娘の別所望です。」
「なんだってー!」池内慶&池内忍&池内剣&そして私も。
「どうゆうことなの!」
池内慶が私の胸倉を掴んでブンブン振り回した。
私「知らんがな。」
しかし、動揺する池内慶を池内忍が静止する。
「待って!これは罠ね。この女はこいつの娘ではないわ!
なぜなら、こんな美人がこんなキモメンから生まれるわけがないからよおおおお!!!!!」
その言葉を聞いて池内慶は即座に答えた。
池内慶「忍ちゃん・・・・・・・お前の目は節穴か。」
池内忍「節穴はお前だ。」
池内慶は池内剣を見た。
「もしかして新規武将かも知れないわ、三国志のデータファイルをチェックして!」
そう言われて池内剣は三国志のセーブファイルを調べたがデータがない。
「データがない!こいつはゲームの中の人間じゃない!」
池内剣が叫んだ。
「お前ら、どこをどう見たらこの娘が三国志キャラに見えるんだ。どう見ても信長の野望だろう。」
私がそう言うと、池内剣は信長の野望のセーブデータを調べた。
「あった!こいつは播磨の別所長治の娘だ!」
と池内剣が叫ぶ。
それを聞いた池内慶が驚愕した表情になり、私の胸倉をつかんで、グリングリン引きずりまわした。
「私というものがありながら、別所長治と結婚していたの!?」
いや、どう考えればそういう発想になる。
私「結婚するわけねーだろ。」
池内慶「そう、婚姻届はまだなのね、でもこの娘は認知しませんから!!!」
私「だから俺の子じゃないって言ってんだろうが!」
私がそう言うと、慶は真顔で私の顔を見る。
そして、はにかんだ表情をして、体をもじもじ動かした。
「なんだー、慶たん、勘違いしちゃった、てへっ!」
池内慶・・・・・・恐ろしい子!
そうしたやりとりを聞いていた別所望があきれ顔でつぶやいた。
「まったく、お父様にご迷惑をおかけするのもいいかげんにしなさい、妹たちよ。」
「えー!」と池内系たちは驚きの声をあげる。
そして、部屋の隅っこにサル団子のように密集してコソコソ審議をはじめた
池内忍「どうやらこいつ、ゲームユーザーのことをお父様と呼んでいるようね。」
池内剣「安心しろ、合戦ゲームは恋愛シュミレーションゲームと違って結婚なんて機能はついてないから。」
池内慶「そうなの!?よかった、あの人は別所長治と結婚してなかったのね。」
それを聞いていた別所望はボソッとつぶやいた。
別所望「あら、結婚できるわよ、婚姻コマンドがあるもの。」
それを聞いて池内慶が「ギャー!」と悲鳴をあげた。
「お待ちなさい!」
それを制止する厳しい女性の声が南の方から響いた。
別所望が声をしたほうに向き直ると、うやうやしく一礼する。
「これは、これは、蒼き狼と白き牝鹿の北条政子様。」
そこには気のきつそうな長い髪の十二単のような服を着た姫君が立っていた。
「あなたたち、おこちゃまね、私なんてオルドで子供を作ることができるのよ!」
お前ら帰れ、というか、帰ってください、お願いします。
池内慶はあまりのショックにその場にへたり込んだが
北条政子の夫が源頼朝だと教え、別所望も姫武将として登用した後は
婚姻コマンドは使えないと教えると精神の平静を取り戻した。

そして、別所望にあやとりを教えてもらって、一緒にあそんでいた。
戦闘シュミレーションゲーム系の連中とはすぐに仲良くなるんだな。
別所望は紐で輪をつくり、それを二人で交互に取り合って、色々なものを作っていく
二人あやとりを教えていた。
まず、川、そして橋、最終的にはカエルと作ってやると、慶は喜んで
「カエルさん、すーい!すーい!」と言いながらカエルが泳ぐ格好をして
そこらじゅうを歩きまわった。
カエルの手足を指でうごかすと、紐がしまってカエル本体の大きさが
どんどん小さくなっていく。するとものたりなくなるのか、
池内慶は別所望に「またカエルさん作って!」と言ってなんどでも
カエルを作ってもらって遊んでいた。

 

 

 

立岩の井

家に帰ると、池内慶と人間と同じくらいの大きさのタコが雑談していた。
リアル巨大ダコはけっこうグロテスク。
「あ、お邪魔しております。わたくし、林地区の立石と申します。」
そういってタコは私に頭をさげた。
やけに礼儀正しい。
「立石くん、やっぱり妙な考え起こさないようがいいよ。」
池内慶がタコに向かっていった。
タコは池内慶の方を向いた。
「やっぱりそうかなあ、この前の壮絶な和坂の蟹さんの噂を聞いてさ、
久々に闘争本能に火がついちゃってさあ。」
タコがそう言うと池内慶は少し考えた。
「でも、立石君はあそこの坂の上の神社の神様の監視がついてるでしょ。
あそこの神様に逆らったら一瞬で灰にされて、二度と蘇生できないと思うんだけど。」
自問自答するように考えながら池内慶は言った。
坂の上の神社には何柱かの神様がおられるのだが、池内慶の言っている
神様とは、その地域一帯を守っておられる童子の格好をされた海の神様で、
かなり絶大なお力をもっておられるらしい。
眷属クラスの藤子さんや智伯でも相当なもんだから、目の前のタコが逆らって
勝てる相手ではないことはすぐに理解できる。
「それでも、わたくし、有名になりたいのです!蟹ばっか有名になってずるい!」
タコはそう力説したが、蟹の騒動が有名になったのは、霊界の世界であって、
しかも、その話題が掲載されたのは和坂の霊界ミニコミ誌、「今日の焼き加減はウエルダン」
に掲載されただけだ。霊界でもこの話題を知ってるのあh半径1キロ圏内だけだろう。
それに、爪二本もぎ取られた蟹にしてみれば、有名になったって、何も良いことなかったと思う。
このタコは自意識過剰だと思った。
そこに池内忍と池内剣が現れる。
池内忍「あら、エロ触手が来てるわ。カエレ!」
池内剣「エロ触手は東3ホールのジャンル:創作・(男性向)の島中に沈んで二度と浮かんでくるな!」
忍と剣は口ぐちにタコを責めた。
「ひどい、わたくしは、何もしてない善良なタコなのに・・・御宅たちはそんな見た目だけで判断するんですね。
冷酷ですね、残忍ですね、わたくしの心はズタズタでございます。」
そう言いながらタコは目からポロポロ涙を流した。
「忍ちゃん、剣ちゃんヒドイ!立石君がかわいそうだよ!」
池内慶が怒った。
これには池内忍も池内剣もすこし気まずくなった。
池内忍「友達と認めてやるから、機嫌なおしなさいよ。」
タコ「ヤダ」
池内剣「悪かったよ、どうすれば、許してくれる?」
池内剣がそう言うとタコは「頭をなでてくれたらゆるしてあげる。」
と言った。
池内忍と池内剣は顔を見合わせてすごく嫌な表情をした。
それをみてタコは「あーやっぱりだ、そうだよね、御宅たち女子はみんなイケメンが好きなんだよね、
見た目で判断するんだよね、わたくしなんかとは仲良くしてくれないんですよね、
わかってましたよ、最初から分かってました、あーそうでしょうとも、
所詮女子なんてそんなもんです、見た目だけで判断するんです。」と言った。
池内剣「そ、そんなことないよ!」
そう言って池内剣はタコに手を左手を伸ばし、右手で嫌がる忍の手を引っ張って
タコの目と目の間、おでこのあたりに手をもっていった。
その一瞬の隙をみて、タコは池内剣と池内忍の尻をサラッと触手でなでた。
池内忍「キャー!!!!」
池内剣「ぎゃああああああーーーー!!!!」
タコは素早く身を翻して後ろに飛び下がった。
「ばーか!ばーか!御宅らなんか嫌いだ!」
そう言いながら素早く逃げていった。
池内剣「くそっ!これで二回目だぞ!」
池内忍「私も二回目!だから嫌だったのよ!」
すると池内慶がうれしそうに手をあげた。
「はーい!慶たんは三回だよ!」
お前もやられてるのかよ!

一体何だったんだあの妖怪は。
神社から監視を受けるくらいだから、よほど凶悪なことをしたに違いないが。
「古典かなにかにあのタコがやった悪行の記録はないの?」
私がそういうと「立岩の井で調べたら出てくると思うよ。」
と池内慶が言った。
インターネットで検索してみると、
北窓后、南窓后という当時有名な美人のお姫様姉妹にチカンしようとして、
村人に袋叩きにされて井戸に封じ込められたタコだという事実が判明。
・・・・・人を見かけで判断してはいけない。

蟹塚

氏神様のお使いの藤子さんが西に向かって歩いて行く。
私の家の前を通られたとき、池内慶がその姿を見つけた。
「藤子ちゃん、聞きたいことがあるの。」
池内慶が言うと藤子さんはすまなさそうな顔をする。
「ごめんね、実は智伯さんに頼まれ輪坂のマンション建設予定地に出た化け蟹を退治しにいくのよ、
智伯さん年末のごあいさつ回りに行かれるお坊様を守るお仕事が忙しいんですって。」
それを聞いて池内慶は「慶たんも行く!」と言った。
通常、地霊は地霊の住む本拠地からあまり遠くへは行けない。
しかし、神社のお使い様の法力を借りてならある程度と遠くまで行くことができるのである。
「あらそう、じゃあ、御用が済むまでお利口にしててね。」
藤子さんがそう言うと池内慶はうれしそうに「うん!」と言った。
道すがら池内慶は藤子さんに尋ねた。
「偉い霊は属性とかないの?」
それに藤子さんは答える。
「そんなことないわよ、神様にも風神様や雷神様がいらっしゃるし、火の神様も
剣の神様もいらっしゃるのよ。」
それを聞いて池内慶は首をかしげた。
「この前、属性のない変なのが来たのね、そいつは、自由に色々なところに行けてずるいの。
おかしいよね。」
慶がそう言うと藤子さんは頬笑んだ。
「あら、それは浮遊霊ね。そういう子たちは人に憑依しないと生きていけないし、
人から忘れ去られたら消えてしまうし、地霊みたいに何千年も生きられない
かわいそうな子たちなのよ、だからそっとしておいてあげなさい。」
藤子さんがそう言うと慶は「ふーん」と言いながら口をとがらせた。
目的地に着くとマンション予定地のバラスをまいた地表の上、小さな竜巻が起こり、
そこから15メートルはあろうかという巨大な緑色の蟹が現れた。
いわゆるワタリガニの系統の蟹だ。
「我が土地を荒らす者よ立ち去るがよい。」
巨大蟹は唸るように言った。
池内慶「それでねー、あの人がね、慶たんがいるのに、あんなの呼んできたんだよ。」
藤子さん「あら、そんな事いっちゃダメよ、その子だってさびしかったのよ、きっと、
仲良くしてあげなさい。」
巨大蟹を無視して雑談する二人。
「退治に来たんと違うんかいワレ!」巨大蟹が怒鳴る。
池内慶がちょっと不快そうな顔で巨大蟹を見た。
「もう、うるさいなあ。」そう言いながら手を天にかざすと手の中から細身の剣があらわれた。
池内慶は素早く巨大蟹の後ろに回り込んで思いっきり剣を振りかざして、蟹の甲羅の上に
剣を叩きつける。すると、「カン!」と硬い音がして剣が跳ね返された。
「あ!剣が効かない!」池内慶は目を見張って驚いた。
いままでこんな体験をしたことがなかったのだろう。
「くくくっ、齢千年を超えた我の霊力の甲羅は、いかなる刃物、打撃攻撃、魔法攻撃も通用せぬ
不死身の体よ、我が無敵の力の前に屈し、空しく滅びていくがよいわ!」
叫びながら巨大蟹は藤子さんに突進してきた。
「危ない、藤子ちゃん!」池内慶が叫んだ。
「死ねええええっっっっ!!!」巨大蟹は鋭い爪で藤子さんの胸めがけて突きをくりだしてきた。
藤子さんはそれをヒョイと避けると、巨大蟹の爪の腕に腕挫十字固をかけて、思いっきり逆関節に
折り曲げた。「プチン!」と変な音がして巨大蟹の爪がもげた。
「ぎゃあああああ!!!!」巨大蟹が悲鳴をあげた。
「あらあら」藤子さんは微笑をうかべながら、もう一方の爪もつかんで逆関節に折り曲げて
もぎ取った。「ぐわあああああ!」巨大蟹が叫ぶ。
「さてと、慶ちゃん、この近くにディスカウントスーパーがあるんだけどウインドーショッピングしていく?」
藤子さんは池内慶に尋ねる。
「うん、慶たん、ウインドーショッピング大好き!」池内慶は元気よくうなずいた。
「ちくしょう・・・・・・最後まで無視しやがって、おぼえてやがれ。」巨大蟹は両方の爪をもがれ
ブクブクと泡をふきながら地面に沈んでいった。
その場を立ち去りながら、池内慶は藤子さんに尋ねた。
「ねえ、あの大きい蟹、甲羅めくってカニみそほじくったりしないの?」
それに藤子さんはほほ笑みながら答えた。
「ああ、殺さないのかってこと?だってかわいそうじゃない。昔みたいにここも
木がいっぱい生えた森ならあの子も悪さしをないですんだかもしれないし。
きっとあと千年もすればあの子の爪も元通りになって、普通に生活できるようになるわ。
その千年後にこの辺りが緑がいっぱいある森だったらいいわね。」
それを聞いた池内慶は真剣な顔になった。
「千年後、人間が滅びてるってこと?」
すると、藤子さんはすこし憂いを含んだ表情で首をかしげた。
「さあ、先の事は誰にもわからないわ。」
 

昔の女

今日は曇りの日。
私がパソコンのキーボードを打っている横で池内慶が私の服の袖をつかんで
すーすー寝ていた。
その池内慶が急に眼を見開いた。
「誰来る。」そう言うと剣を抜いて身構えた。
その動きに連動して池内剣が天に向かって右手をあげる。
手のひらが光り、そこから巨大な矛が現れた。
池内忍は両手を左右に広げ、10本の指を大きく開くと、そこから
8枚の攻撃用魔札が現れた。
南の方の空間があやしく光る。
その光の中から女が現れた。
ロングヘアの黒髪、右の目の下に泣きボクロ、白いブラウスに紺色のスカート。
手にはワインレッドの牛革のハンドバックをもっている。
靴は赤のハイヒール。
「おひさしぶりー」
そういいながら女は私に近付いてきた。
「え?」池内慶はあっけにとられる。
「おい、お前、鎧はどうした、武器は?」
池内剣が問うと、女はいぶかしそうな表情で剣を見た。
「は?何言ってんのあんた。」
「ちょ、なによ、こいつ、あんたの知り合い!?」
池内忍が私に問うた。
知ってる・・・・・・・。
名前はサユリ。
「俺の初代タルパだ。」
池内慶&池内剣&池内忍「なんだってー!」
「剣ちゃん!いそいでこいつのパラメーター調べて!」
池内慶がそう言うと池内剣はNECのPC-98を立ち上げMS-DOSを読みこんでから
5インチプロッピーを入れてデータを読み込んだ。
ガコーン、ガコーン、と読み込み小一時間。
「三国志のセーブディスクにこいつのパラメーター載ってないよ!つーか、こいつ、新規武将じゃねえ!」
池内剣が悲痛な叫びをあげた。
池内慶がキッとなってサユリをにらんだ。「あんたは私が倒す!お前の属性はなんだ!」
サユリは冷めた目で池内慶を見た。
「属性って何?何幼稚なこと言ってんの?三国志ゲームの二次パロのオリジナルキャラのくせして。」
そう言われると池内慶は顔を真赤にして「あーーーーーーー!」と言ってポロポロ涙を流して
その場にへたり込んでしまった。
「お前、もういいから帰れよ。」私は怒ってサユリに言うと、サユリは不愉快そうな
表情をうかべて「なによ、せっかく久しぶりに来てやったのに。」と言って
怒って帰ってしまった。
「ごめん、ごめん」と言って池内慶をだきしめようとしたが「しらない!」と言ってふりほどかれた。
「二次パロって言われたー、わー!」そう言いながら池内慶は泣きやまなかった。
かわいそうなことをした。
一番最初にタルパの存在を知って、作ったのはサユリだった。
でも、最初ということもあって、私には強烈なパーソナルイメージを造ることできず、
ただの話し相手だった。その頃は生活も充実しており、私にはタルパを作る必要性も
必然性もなかった。ただの実験的試みといってもよかった。
若かったし、現実のほうが面白かった。だから、そのうち、その存在についても
忘れていた。
本当にタルパ造りにいれこんだのは、送り返されてきた投稿小説に
「あなたには小説を作る才能は一切ありません、もう作品を送ってこないでください。」と
評価に書いてあるのを見てからだ。あれを見てから、私は外界から心を閉ざし、
光栄の三国志のパワーアップキットのドット絵の男性武将の姿を、点を
ひとつずつ塗り替えて、執念を込めて池内慶たちを作り上げた。
だから、思い入れが違う。
私にとってはこの子たちはオリジナルだ。
でも、私には絵を描く才能がないばっかりに、光栄の三国志のパワーアップキットという
ツールに頼ってしまった。
もし、このツールがドット絵という点を埋めていく作業ではなく、現在のように
自分のオリジナル絵をインストールするものであったなら、私は、彼女たちを
造りだすことができなかっただろう。
本当に、時代の隙間が作った偶然だった。
池内慶はそのツールを使ったことを気にしている。
いつもは、抱きしめられると、どんな時でもとても喜んで笑ったのに。
悲しい気持ちになった。
しばらく池内慶は私によりつかなくなった。
そして、ある日、緑色の帽子を目深にかぶって、みかん箱くらいの段ボール箱を
もって現れ、私の前の差し出した。
「こんにちわー、宅急便です、サインお願いします」
「慶、何してんの?」私が問うと、池内慶はビクッと体をこわばらせた。
「な、何言ってるんですかい、ダンナ、アッシはただのシガナイ宅急便配達員でげすよ。」
いや、宅急便のお兄さんはそんな話し方しないし。
ふと気付くと慶の右の人差し指が切れて血が出ていた。
私はそれをみつけ、その指に手を伸ばした。
「あっ」と言って慶は手をひっこめ、「サインはもういいです!」と言いながら走り去った。
段ボールの箱の表に貼った宛名書きには
「あほ!浮気者ボケ!カス!」と大きな字でなぐり書きしてあった。
いや、別に浮気とかじゃないんだけど。
箱を開けると、中にいっぱい切り刻んだ落ち葉が入っていた。
これしか入れるものがなかったのね。
ん?いや、落ち葉の中に何か入っている。二つに割った
記憶量媒体、CD-R 650MBが2枚入っている。
あ、これもう古くて使わなくなって捨てたやつだ。
まあ、捨ててものだから割ってもいいけどさ。
しかし、これはプラスチックでできていて結構頑丈なので、
普通は、こんなにきれいに折れないはず。
たぶん、定規を使ってカッターで几帳面に線引いて折ったんだな。
あと、何かチラシが入ってるな、なになに、水曜日冷凍商品4割引の日?
あ、裏に何か書いてあるのかな?
チラシの裏にものすごくキタナイ字で「あんたは神なんかじゃない!!!」
と書いてあった。
はい、神じゃありませんよ。
池内慶は部屋の南東の隅っこで体育座りをして顔をふせている。服が血で汚れるといけないので、
右手の人差し指だけ立てて。
池内忍が私の近くによってくる。
「あんた、早く慶の指の血を吸ってあげなさいよ、そうじゃないと、いつまでも血が止まらないじゃない。」
そう言う忍の顔を私は見た。
「え?指吸わないと血がとまらないの?でもそんなことして、口の雑菌が傷に入らない?」
私がそういうと、池内忍は不快そうな顔をした。
「馬鹿ねえ、私たちは精神エネルギーなのよ、要は愛情が大切なの、あ・い・じょ・う!」
そう言って、池内忍は私にバンドエードの箱を手渡した。
「これで傷口を巻いてあげなさい、そしたら傷が治るから。」
私は池内慶に近付いた。
「近寄らないで!」池内慶は厳しく言い放った。
私は足をとめた。
横で池内剣が眉間にシワをよせて無言のまま、首で早くいけ!という催促の合図を送る。
池内慶はふてくされてうずくまりながら、でも、人差し指の傷の血を吸いやすいように、
右手の指を少し上にあげた。
私は池内慶に近付いて、人差し指の血を吸ってあげて、そのあと傷口にバンドエードを巻いてあげた。
池内慶は顔をあげ、バンドエードの巻かれた指をしばらく見ていた。そして、
私に向き直って、私に抱きついて「ばかーっ!」と叫びながらワンワン泣いた。
「よし、よし」と言いながら私は池内慶の頭をなでた。



カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

リンク

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

[03/09 楠乃小玉]
[03/09 ぐり~ん]
[02/04 楠乃小玉]
[02/04 ぐり~ん]
[02/02 楠乃小玉]

最新記事

最新トラックバック

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

バーコード

RSS

ブログ内検索

アーカイブ

最古記事

P R

アクセス解析

アクセス解析

カウンター