空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。
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氏神様にお参りに行った帰りのこと、神社の境内にたたずむ藤子さんを発見。
「妹様にお願いして、黒石神社の知名度を?」
それを聞いて日頃はいつもにこやかな藤子さんが眉をひそめた。
「お願いだよ~。」池内慶が言った。
藤子さんは困り顔になった。
「あなたたちいは分からないでしょうけど、神界にも色々と事情があるのよ、
とくに私は花の精霊と言っても妹様とは縁遠いから、桜の精霊のあの子に頼んでみたら?」
そう言って藤子さんは神社のご社殿の近くに立つ少し細い桜の木に目をやった。
藤子さんより若い木であるが春には美しく立派な桜の花が咲く。
その桜の木を凝視していると、その下で桜の花びらの模様の着物を着た黒髪の毛の長い
平安貴族の姫様のような女性がうかびあがってきた。
女性は漆塗りのふみ机の上に巻物を広げ、そこに墨で達筆の字を書つづっている。
その後ろには茶色いジャケットに白のブラウスを着た女性が立っていた。
おそらく木の精霊だろう。
「小桜先生、早く原稿お願いしますよ、恋愛小桜絵巻落としちゃうと、私が編集長に怒られちゃうんですよお。」
なにやら、そんなことを言っている。
「それは難儀どすなあ、そないに急かされたら、何も書けへんようになってしまいます。」
桜の精霊はか細い声で言った。
「急かすなんてとんでもありません、先生の作品を霊界のファンの皆さんが待ち焦がれているという
だけのことなんです。先生、大人気ですよ!」
木の精霊らしき女性がそうおだてると、桜の精霊は薄い笑いを見せて、
急に筆のペースが速くなり、一気に巻物を最後まで書き上げた。
「ほら、完成した、ウチは褒められて育つ子なんどすえ。」
墨でかきあげた巻物を手渡されてニッコリ笑う木の精霊。
「ありがとうございます!小桜先生にはいつもお世話になっております!」
すると桜の精霊もニッコリ笑った。
「いいえ、ウチこそ、このような若輩の桜の精霊をご贔屓いただきまして、
心から感謝しとるんどすえ、御社の為なら何でもさせていただきますえ。」
それを聞いて気を良くした木の精霊はつい口をすべらせた。
「ありがとうございます!でしたらこの巻物に書いた原稿をワードに入力して、ついでに
誤字、脱字のチェックもお願いできますか?」
それを聞いた桜の精霊の顔が無表情になる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、なんか
文を書く気力が急速に失われてしもたどす、次の連載を書き続ける自信が無くなったどす。」
それを聞いて木の精霊は凍りついた「小桜せんせーーーーー!!!!!」
霊界の人気ライター
花小桜
好きなこと
歯の浮くようなお世辞を言ってもらうこと。
嫌いなこと
面倒くさい事務処理
確定申告の計算
税金控除の領収書のおよび経費申請の帳簿記録作業
性格
ガラスのハート
私が自分の部屋に戻ってくると池内忍が小悪魔agehaを読んでいた。
私の視線を感じると、それを隠して、VOGUEを読み始めた。
わざと表紙が私に見えるようにアピールしながら体の姿勢を変えて読んでいる。
どうも彼女の中でVOGUEがステータスらしくて、私と視線が合うといつもVOGUE
を読んでいることをアピールする。
その点、池内慶は屈託がない。
一緒に遊ぼうとねだるので、今日はWebゲームのにじゃんねるをやって一緒に遊んだ。
池内慶は喜んでいた。
その後ろで別所望が珍しそうにパソコンのディスプレイを眺めていた。
北条政子は帰ったけど、こいつは帰らない。
つうか、北条政子も本物の北条政子じゃなくて、ゲーム上の幻想タルパだけど。
池内慶はご機嫌だったが、南のほうから何か精神エネルギーが近づいてくる気配がする。
池内慶は身構えた。
この頃、急に色々なものが来るようになった。
どこかにセキュリティーホールが出来ているのか?
女性がゆっくりと歩いてきた。
身長180センチくらいの長身。
緑色の長髪に茶色いの肌の色、頬に線のペインティングをしている。
その色は上から赤白緑黄色である。
服装は緑と白のツートンカラーの天女服で、
背中に周囲を黄銅の雲型で縁取りした鏡を背負っている。
「悪い娘(こ)はおらんかー!」「悪い娘はおらんかー!」
と声をあげながらこちらに歩いてきた。
そして私と目が合うと「あ!」と声をあげて指をさした。
池内慶が私の顔を見る。「知り合い?」
私「全然知らない。」
それを聞いた緑髪の女は頬をふくらませて、不満そうに言った。
「なによ、私の上にねっころがって、気持ちいいなあって言ったくせに!」
それを聞いて池内慶が私の髪の毛を両手でワシ掴みにした。
「一体これはどういう事かしら?」
もう、何度もいいかげんにしてくれ。お前らわざとやってるだろ。
「このようなキモメンがモテるはずがない!これは天狗じゃ!天狗の仕業じゃ!」
池内忍が大声で叫んだ。
「はいはい、なんでも俺が悪いんでしょ、景気が悪いのも、インフルエンザが流行るのも
俺のせい。」私はあきらめの境地の達してつぶやいた。
「あんた何者?どこから来たの?属性は?」
池内慶が緑髪の女を睨みながら言った。
「蒜山から来たのよ、あの人が買ってくれたから、ここまで付いてきたの。」
緑髪の女は私を指さしてそう言った。
「アンタって人は!!!」池内慶は私の胸倉をつかんでねじりあげる。
「げほっ!だから違うって・・・・。」そこまで言って私は
小学校の林間学校で行った蒜山高原の事を思い出した。
「ちょ、ちょっと待って!」私はそう言って、池内慶に手を離してもらって、
押入れの中の段ボール箱をひっくり返した。そして、観光地のペナントや
寛永通宝型のペンダント、目が飛び出すダルマのキーホルダーなどを掘り出した。そして、
一番奥の方に見つけた!
丸太に茶色のペンキを塗って口の部分だけ切り口を入れたような無造作な作りの妖怪のお土産を。
「粋呑だ!」
私がそう言うと、その緑髪の女、粋呑は大きくうなずいた。
「そうよ、私は大地の精霊粋呑、あの人は、蒜山高原の牧草地に寝転がって、
気持ちいいなあって誉めてくれたの、それに私のシンボルのお土産を気に入って買ってくれたわ、
だからお礼にあの人の悪因縁を食べてあげる。」
そう言うと粋呑は口を大きく2メートルくらい開けると、いきなり池内忍に噛みかかった。
池内忍はあわてて飛びのいた。
「何するのよ!私はこの男に幸運をもたらす善の精霊よ!いままでこの男の心を癒すことしか言ってこなかったわ!」
池内忍がそう言うと、粋呑は「おかしいなあ」と言いながら背中に背負った鏡を持ちだしてきて
私を照らした。
すると「池内忍が「今、お前が電車に飛び込んでも誰も困らないよ、知ってた?お前はいらない子なんだ。」と言った、
傷ついた。」という言葉が浮かび上がった。
「ちょ、ちょっと待って!それは昔のこと!今は絶対死なないでって思ってるわよ!助けて!」
池内忍は悲痛な叫びを上げた。
「一度言った言葉は二度と戻らない。あなたは私の胃袋の中で後悔しながら溶けていきなさい。」
そう言いながら粋呑は大きく口をあけた。
「ここは私にまかせて!」
意外なことに別所望が叫んだ。そして、粋呑の口の中に生焼けの小さなホットケーキを投げ込んだ。
「うっぷ!」ほんの小さなホットケーキだったが、それを飲んだ粋呑は少し顔をしかめた。
いったい、どこからそんなもの持ってきたんだ。
そう思って別所望の方を見ると、あれは!
なんと、アサヒ玩具のママレンジじゃないか!
嫌な思いでを思い出した。
あれは小学生の頃、私には大金持ちの建設会社の社長の息子の友達がいて、
そこの妹が私のことが大のお気に入りだった。
私が友達の家に行くと、いつも「はい、あなた、めしあがれ。」と言って
朝日玩具のママレンジでホットケーキを作ってくれて、食べさせてくれた。
生焼けで、粉っぽかったが、その気持ちが嬉しくて、「おいしいよ。」と言って
ほめてあげていた。しかし、あるとき、東京からの転校生の女の子が一緒に
友達の家に遊びに来て、私がその子の事を「さすが東京の子は垢ぬけててカッコいいね。」
と言った。それを聞いていた友人の妹は「何よ!私がイモ臭いって言うの!」と言って
怒って泣いて部屋に駆け込んでしまった。それ以後、その妹は二度と私の前に
顔を出さなくなった。
一体、何が悪かったのかわけがわからなかった。
あれは!あの恐怖のママレンジではないか!!!!
「うえー、これは重い、ものすごく胸やけする、しかもほろ苦い。」
そう言いながら粋呑は胸をおさえてその場にしゃがみ込んだ。
そうだ、思い出に浸っている場合じゃない、こいつを撃退するのが先だ。
私「いいぞ望!あと2、3枚そのホットケーキを焼いてあいつの口に放り込めば、あいつは降参するぞ!」
私は叫んだ。
それに対して別所望は言った。「だめよ、これは電源の火力がものすごく弱いから、1枚焼くのに1時間はかかるの!」
それを聞いて、あの友人の妹は1時間もかけてホットケーキを焼いてくれていたのかと思うと、
余計に気が重くなった。
ちなみにその妹は、後に大金持ちと結婚して幸せにくらしましたとさ、めでたし、めでたし
「よかったね!!!!!!!!!!!!」
粋呑が体を起こしはじめる。
「よくも変なもの食べさせてくれたわね。」
怒気を含んだ声で粋呑はそう言った。
それを見て池内忍は焦る。
「ちょ、なんとかしなさいよ!こいつのやる気を挫くために何か蒜山で不愉快なことが
無かったか思い出しなさいよ!そして、こいつをへこますのよ!」
池内忍にそう言われて小学校の林間学校で行った蒜山旅行を思い出す。
たしか・・・・・・みんなで鉄板焼きをすることになっていて、私はサラダオイルを持っていく
係りだったのに、サラダオイルを忘れて仲間から白い目で見られたんだった。
それから、私は生焼けでも肉が食べられたが、友人はものすごく火が通ってないと食べられないので、
火が通る前に私が肉を食べてしまい「お前さ、自分だけ肉を独り占めするために、無理に生の肉食うなよな。」
と言われたことを思い出した。「そんなつもりじゃなかったんだー!」
私はへこんで戦意喪失してその場で寝込んでしまった。
池内忍「あんたがやる気を挫いてどうするのよ!!」
池内慶が「べべべ!」と口から種を吐き、粋呑の口の中に送りこんだ。
粋呑はそれをゴクンと飲み込んだ。すると、みるみる背中から牧草が生え、おいしげってきた。
「ああ、体の養分が吸い取られて力がなくなる。」そう言いながら粋呑はその場にひざまずいた。
「ピーッ!」粋呑は指笛を吹く。
すると、無数の茶色いジャージー牛がどこからともなく走り寄ってきた。そして、粋呑の背中に生えた
牧草を食べつくした。すると粋呑は元気を取り戻し、木の箱の上に座り、
ジャージー牛の乳の横にすわって、バケツにジャージー牛の乳をしぼりだした。
そして、バケツ一杯溜ったジャージー牛の乳を豪快に飲み干した。
「蒜山ジャージー牛乳飲んで復活!」
そう叫んで粋呑は元気になった。
「あなた、土系みたいだけど、何で草系の攻撃が効かないの?」
池内慶はたずねた。
それに対して粋呑は答えた。
「それは、蒜山が牧草地帯で、牧草は大地のお友達だからよ!」
それに対して池内慶は口で「ガーン!」と擬音をだした。
池内慶は粋呑に走り寄って手をにぎった。
「お友達だったんだね!!!」
そして嬉しそうにたずねた。
「蒜山ってどんなお花があるの?」
それを聞いて、粋呑はニッコリと笑った。
「それはね、リンドウ、ワレモコウ、カワラナデシコ、色々な花があるのよ、
蒜山はとくにお花が多いの。」
そして、二人は手をつないで、お花の話をしながら、笑いながら、どっかに行ってしまった。
池内忍だけは冷や汗をびっしょりかいていた。
池内忍「命拾いした・・・・・・。」