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頭の中の池内慶

空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。

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森の神様

たまたまアニメ映画もののけ姫の話しになって、慶ちゃんに聞いてみた。
「でも、現代の科学万能の時代になったら、だいだら法師みたいな巨大な森の神様でも
戦車やミサイルでやっつけちゃうんじゃないの?」
「ははは、バカだな。森の神様は全然大きくないよ。森の神様は森の中で一番ちっちゃものに憑依するんだよ!
慶タンは人間よりも小っちゃいから人間よりも偉いんだよ!」
そう言って慶ちゃんは胸をはった。
「どれくらいちっちゃいの?」
「目に見えないくらいちっちゃいよ!」
「え~」
森の神様っていうのは通常、森に住む生き物の血液の中にあるウイルスの中に住んでいるんだそうだ。
それで、森を荒らす人間が入ってきたら呪って殺すんだって。
「でも、それだと森の生き物も死んじゃわないか?」
「森の生き物は殺さないで、侵入者だけ殺すんだよ!」
「そんな器用なことできるのかよ」
「できるよ!」
慶ちゃんは自信満々に言った。
「そういう森の神様は日本にもいるの?」
「だいぶ死んじゃったけど、またみしゃくじ様がいるよ!」
慶ちゃんが言った。
「みしゃくじ様ってどんな神様?」
「カエルさんの表面についたカビの中に住んでらっしゃるよ!森を荒らす者にくっついていって
呪うよ!」
「でも、呪われて誰か死んだとか何か異常があったって話全然聞かないなあ。」
「でも、ちゃんと呪ってるよ!呪ってるよ!」
慶ちゃんは一生懸命言いました。
「それは森を荒らさなければ何もされないんでしょ」
「そうだよ、良い子には優しい神様だよ」
「それじゃよかった」
慶ちゃんとそんな話をしました。

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これでいいのかな?

今日もスーパーに行ってきた。スーパーの入り口にいちごの章姫が394円で売っていて
慶ちゃんたちが喜んで大喜びしてる。
「安いよー!買いだよ!買い!値上がり間違いなしだよ!」
いや、あとあと値上がりしても売れるわけじゃねえし、腐っちゃうし、ていうか
その前に食べちゃうし。
「お金がないからかわない。この前クリスマスの長靴買ってあげたじゃん」
「それとこれとは話が別だよー!」
慶ちゃんが騒ぐ。
「買ってあげなさいよ大人げない」
溜息混じりに忍ちゃんが言う。
ていうか、お前がほしいだけだろ。
「ほしいな~、ほしいな~」
もじもじしながら剣ちゃんも言う。
お前、最近キャラ変わったな。前はツンツンだったのに。
しばらく歩いていると、定番のチーズ売り場へ。なんかもう、習慣になっている。
実は、その前に煮豆と蟹蒲鉾となめたけを買っていて、この子たちは
今日はチーズを買ってもらえないんじゃないかとおもったのか、
「慶タンはなめたけのビン買ってもらったんだよ。ビンだよ!ビン!」
「私は真っ赤な蟹蒲鉾買ってもらったんだよ!いいでしょ、真っ赤なんだよ!」
「私は黒い煮豆を買ってもらったわ。お正月のおせちに入っている高級なセレブご用達の食材よ」
と自慢合戦してる。別に、お前らのために買ってあげたわけじゃないけどな。
なんか、かわいそうになって、またチーズ売り場へ。
慶ちゃんは迷わず裂けるチーズ。
忍ちゃんには雪印ホワイトチーズ。
剣ちゃんに明治十勝のホロホロチーズを買ってあげようとしたとき、忍ちゃんが
QBBのチーズデザート贅沢ナッツを凝視しているのに気づく。
「あ、それ買ってあげようか」
私がそう言うと、忍ちゃんはとまどう。
「え、でも、甘いお菓子は健康に悪いから食べないことにしたんでしょ?
あなたには長生きしてほしいから、いいわ、我慢する。」
いつになくしおらしい事を言ってくる。
「いいよ、ご飯だって糖分だし、食べ過ぎなければ大丈夫だから」
そう言ってチーズデザートを買ってあげた。
「じゃあ、私は北海道ホワイトチーズもらうね!」
剣ちゃんが言った。
「ごめんねー、ごめんねー」
忍ちゃんは私の顔を見て切なそうな表情で何度も謝る。
何時も高圧的なのに、今日はどうしたんだろう。ちょっとかわいそうになった。
「大丈夫だって」
相違って微笑んでやった。
忍ちゃんはバツが悪そうに視線を下に落とした。
ちょっと元気が無さそうだったので、親にあげようと乳ボーロを買った。
「え、それも」忍ちゃんはちょっと驚いていた。
「ずるいよ!慶タンも!」
「私も~」
慶ちゃんや剣ちゃんが言ってくる。
「しょうがないなあ」
慶ちゃんには歌舞伎揚、剣ちゃんには無塩ナッツを買ってあげた。
慶ちゃんのと忍ちゃんのは88円だが無塩ナッツは298円だった。
「ちょ!剣ちゃんのナッツだけ不当に高いよ!日会税障壁だよ!」
そう言いながら慶ちゃんは勢い余って剣ちゃんの頭の兜をペチッと軽く叩いてしまった。
「ごめんね……」
すまなさそうに剣ちゃんがうつむく。
「あ、剣ちゃんはわるくないよ!ごめんね」
慶ちゃんは焦ってとりつくろおうとするが剣ちゃんは泣きそうな顔をする。
「ごめんね剣ちゃん、だいすきだよーっ!」
そう言いながら慶ちゃんは剣ちゃんに抱きついた。
「慶ちゃん大好き!」いいながら剣ちゃんも慶ちゃんをだきしめた。
「ちょ、ちょっとあんたたち!私はべつにあなたたちなんかに抱っこしてもらわなくても
何とも思ってないんだからね!勝手に二柱でラブラブしときなさいよっ!」
二柱の姿を見て忍ちゃんが少し顔を上気させて叫んだ。
「忍ちゃん!」
叫んで慶ちゃんと剣ちゃんが忍ちゃんに抱きつく。
「ふぅ、まったく、ほんとあなたたちって、お子ちゃまね」
困ったような、それでいて、少し安心したような表情で
忍ちゃんは短い溜息をついた。

そしてみんなで家路についた。
歩いている私の顔を慶ちゃんが凝視している。
「どうしたの」
慶ちゃんが言った。
私が何かうかぬ顔でもしてたんだろうか。
「いやね、毎回、毎回、ブログにスーパーであったことを書いてるけどさ、
これって、見てる人楽しいのかなって思って。ただ、毎日夕食の食材を買いにすーぱ-に行って、
チーズ買った時とかに慶ちゃんが出て来たことを書いてるだけじゃん。毎日毎日同じルート。
毎回、毎回、同じことの繰り返しじゃん。ちょっとサービスして創作の話しとか書いたほがいいのかなって
思って。」
「そんなことしちゃいけないよ!」
慶ちゃんは即答した。
「ありのままを、自分の目で見たこと、本当のことをそのまま書かないとダメだよ!
創作だと、アイデアが無くなったらもう書けないじゃん!そしたら、見てくれてるみんなとも
バイバイじゃん!そんなのダメだよ!慶タンたちはここにいるんだからっ!」
「うん、そうだね」
私は納得した。
創作で考えてると、アイデアを出さないといけないし、それが苦痛になったり、
追い詰められたりする原因にもなりかねない。
自分の目で見たまま書いてるなら、別にアイデアを考える必要もない。
だって、見たまま書いてるんだから。
そうだな、と思ったら少し気が楽になった。

パパさんと買い物

今日、久しぶりに父とスーパーに買い物に行った。
昨日剣ちゃんに210円に背下げしていた明治十勝スマートチーズを買ってあげたばかりだ。
慶ちゃんと剣ちゃんが「ほろほろ~」と言って喜んでいた。
このチーズは食べるとホロホロと崩れるので、慶ちゃんは面白がっている。
昨日買ってもらったばかりなので、さすがに剣ちゃんも忍ちゃんも「買って!」
といいにくそうだった。そこに慶ちゃんが「あんまり負担をかけるといけないから、チーズは
いいよ!」と言ったものだから他の二柱も黙ってしまった。
そうして、チーズ売り場を通り過ぎ、牛乳売り場に通りかかったとき、
特設売り場に裂けるチーズが178円で売っていた。
「今です!」そう言って慶ちゃんが私の前に立ちはだかった。
「は?」
「今です!」
そう言って特設売り場の裂けるチーズを慶ちゃんが指さす。
「裂けるチーズ買ってほしいの?」
慶ちゃんは首を縦に振る。
「あ、ずるいよ、慶ちゃんだけ!」
剣ちゃんが困惑する。
慶ちゃんたちは私にしか見えてないので、父はかまわず先に進んでいる。
「あーもう、時間がないから早くしてよ、慶ちゃんは裂けるチーズね、剣ちゃんもほしいもの
早く言わないと買わないよ。」
剣ちゃんは小さな体でぴょんぴょん跳ねながら特設売り場のチーズを覗く。
裂けるチーズとカマンベールチーズと丸ごとかたまりのチーズケーキ作り用のクリームチーズしかない。
「う~ん」剣ちゃんは悩んでしまった。
「もう時間がないから裂けるチーズスモークでいいよ!」
慶ちゃんが言った。
私も急いでいるので「はい、裂けるチーズスモークね」といって
スモークを買い物籠に入れた。
「あ!」剣ちゃんが驚きの声を上げたが、私に悪いと思ったのか口をつぐんだ。
「それでいいや」ちょっと不服そうだが剣ちゃんは承諾した。
「ふふふ、曹操、あなたはすでに私の手の内で踊らされているのですよ」
勝ち誇ったように慶ちゃんが言った。
「曹操じゃないやい!」
剣ちゃんが叫んだ。
まだ三国志ゴッコやってたんだ。
「私は言わずと知れたカマンベールチーズ……」
いいかけて忍ちゃんが目を見張る。
ついこの間まで255円に値下げしていたカマンベールが298円に値上がりしている。
「こ、これは!」
目を見張る忍ちゃん。
「はいはい、カマンベールね」
そう言って私がカマンベールチーズに手を伸ばすと、鋭い声で忍ちゃんがそれを制止した。
「お待ちなさい!私もベルサイユのバラと呼ばれた女。ここで民衆に屈するくらいなら
バスチーユの露と消える運命を選ぶわ!」
何言ってんだ、お前。
「どうすんだよ」
「フランダースの犬の絵が描いた森永ミルクにするわ。だってネロがかわいいもん」
そう言って忍ちゃんはビシッと森永ミルクを指さす。
「はいはい、ミルクね。」
そう言って私はミルク売り場の1リットル牛乳パックの日付が一番新しいのに手を伸ばした。
「なにやってるの!」
激怒する忍ちゃん。
「は?ちゃんと森永買ってるじゃん」
「それにはネロの絵が描いてないじゃない!」
忍ちゃんが指摘するようにアニメとのコラボ企画は終了したらしく、
新しい牛乳にはアニメのフランダースの犬の絵が描いてない。
成分表示が書いてあった。
「これでいいじゃん」
「ダメよ、ネロの書いた牛乳パックじゃないとダメなの!」
そう言って忍ちゃんは一生懸命牛乳パックを見回す。
すると、一つだけ低脂肪乳のパックの横にフランダースの犬のアニメが印刷したのがあった。
「これよ!これを買いなさい!」
忍ちゃんは必死に叫ぶ。
「えー低脂肪乳はあんまり好きじゃないなあ、濃厚なのが好きなのに」
すると慶ちゃんが横で「浮気濃厚~!」と叫んだ。
赤城乳業の濃厚ウマチョコミルクのCMネタである。
「はいはい」
とにかく、ここは穏便にすませるために、低脂肪乳をカゴの中に入れる。
そうして、急いで小走りに父に追いつくと、父はレジ近くのお菓子88円コーナーの方へ行った。
そこで、乳ボーロを買う。
私が健康のためにお菓子を買わなくなる前、乳ボーロは忍ちゃんにあげる定番商品だった。
「ほほほっ!私の勝ちのようねポリニャック伯夫人」
勝ち誇ったように忍ちゃんが叫んだ。
もう、何が何だかわかりません。
「忍ちゃんだけずるいよ!」
「慶タンもほしいよ!」
慶ちゃんと剣ちゃんがさわぎだす。
「はいはい。」
すでに父はレジに向かっていたので、私はレジ前にあった
カルビーのドライチップを二つ、適当にカゴに入れた。
「はい、二人のぶんね」
すると慶ちゃんが驚いたように目を見張る。
「それは剣ちゃんのお気に入りじゃん。なんで慶タンが剣ちゃんおお気に入りをもらうの!?」
「さっきは剣ちゃんが慶ちゃんのお気に入りの裂けるチーズで我慢したんだから、今度は
慶ちゃんが我慢しなさい」
すると慶ちゃんは歯を食いしばって拳を握りしめた。
「おのれ、また孔明にしてやられたのか……」
「だから、誰だよそれ、さっき自分が孔明ゴッコしてたんじゃないの?」
私が聞くと慶ちゃんが激しく首を横に振った。
「違うよ!周瑜だよ!」
「分かりずれー」
というか、三国志分からない人には何の事かわからないよ。


のせられた気がする

「ピンクの長靴のお菓子買って!」盛んに慶ちゃんが言ってくる。
「もうお菓子の長靴は買ってあげただろ。」
「でも、どうしても、もう一つ必要なの!」
一生懸命慶ちゃんがせがんでくる。日頃、何か買ってほしいとかあまりねだらない子なんだけど。
買ってほしいときでも、遠回しに聞えよがしに言ってくることはあるけど、
今回みたいに、直接買ってほしいとねだることは珍しい。
しかも、すでに慶ちゃんには赤い長靴を買ってあげてるのに。
「慶ちゃんだけ二つも買ってあげたら不公平だよね」
私は忍ちゃんと剣ちゃんに聞いてみた。
「あら、買ってあげなさいよ、あなたは日ごろ私たちに世話ばっかりかけてあるんだから、
それくらいしてあげなさい」
「買ってあげなよ、買ってあげなよ」
二柱とも買ってやれという。
おかしい。
何時もなら、不公平がものすごく大嫌いなのに。今日はおかしいぞ。
「どうしても必要なんだよ!」
真剣な顔で慶ちゃんが言うので結局折れて、ピンクの長靴を買ってしまった。
今回けっこうな出費だ。
買ってもらうと、慶ちゃんと忍ちゃんと剣ちゃんが三柱でそのピンクの長靴のお菓子をもって
私にさしだした。
「はい!あげる」
ちょっとうるっときた。
良い子たちだ。
でも私のお金なんだけどね(笑
気分がよかったので、慶ちゃんたちにチーズを買ってあげることにする。しかし、
今日は不思議なことが続くもので、チーズはいらないと言う。
かわりに、慶ちゃんはマカロニサラダのオードブルを買ってあげた。
忍ちゃんにはオレンジジュース。そして、剣ちゃんはクリスマス用のシャンパンを
ほしがった。
「えーただの炭酸水でしょ」
私は躊躇した。
「プリキュアのシャンパンがほしいんだ」
剣ちゃんは言った。
しかたないのでシャンパン売り場に行ってみると、普通のシャンパンは138円なのに、
プリキュアの絵がついているのは198円もする。高けえ!
なんでプリキュアの絵がついているだけで値段が上がるんだ。
「版権使用料がかかるからにきまってるじゃない」
冷静な顔で忍ちゃんが言った。
「プリキュアがいいよ!プリキュア買って!」
剣ちゃんはどうにもプリキュアがいいらしい。
「お待ちなさい!」そこに鋭い忍ちゃんの声が響いた。
「プリキュアって3人組だと思っていたら、このシャンパンにはもう一人、
濃い黄色の女の子がかかれてあるじゃない。キャラかぶりって、ダウンタウンのコントかっ!」
忍ちゃんは鋭いツッコミを入れる。
「そんなのどっちでもいいじゃ~ん」
剣ちゃんは困惑する。
「どうでもよくないわ、私たちが3人である以上、4人組のキャラものを手にすることはできないの。これは
さだめよ!」
「えー!そんなあ~」
剣ちゃんはちょっと涙目になる。
「心配は無用だよ!四人目ならここに居るよ!」
慶ちゃんがビシッと私のほうに指さす。
チラリと忍ちゃんは私を見る。
しばし思案。
「ま、それならしかたないわね」
忍ちゃんはすこし肩をすくめた。
「わーい!、買ってもらえるー!」
剣ちゃんは大喜びである。
なんか……ここまで話が進んだら買うしかない気がする。
買おうと思ってふと見ると、これはシャンパンではない
シャンメリーというアルコールの入ってない、子供用の
飲み物らしい、というか、(ぶどうあじ)と書いてある。
隣のワンピースのシャンメリーは(りんごあじ)と書いてある。
ぶどうあじ、とかりんごあじ、と書いてる時点でシャンパンじゃねーし。
ちょっとげんなりしたが、いまさら引き返せないのでプリキュアのシャンメリーを
買ってあげた。
家に帰って、慶ちゃんのマカロニサラダをオードブルにして、
左から忍ちゃん、剣ちゃん、慶ちゃんと長具とをならべ、それぞれが
好きなガラスコップを選んでもらって、それを長靴の前に置いた。
シャンメリーのプリキュアの袋をあげて瓶を取り出すと、けっこう小さい。
こんなの、普通の炭酸と同じじゃん。と思って少し不満だったが、
結構小ぶりなビンの上についた大きなふたをあけてみる。
「ポン!と威勢のいい音が鳴って、みんな目を丸くして「お~」と声をあげた。
結構本格的だ。
忍ちゃんから順番にグラスにシャンメリーをそそいでいくが、炭酸が強いのか、
普通の炭酸と泡のたち方が違う、けっこう大きな泡で迫力がある。
これは、普通の炭酸飲料とは別物だなと思った。
慶ちゃんまで注ぎおえると、慶ちゃんたちに沢山あげようと思って、
私の取り分がほとんどなくなってしまう。
「あーあ~、慶タンはもういっから、残しておいて、そっちの取り分がなくなっちゃうじゃん。」
けなげに私の心配をしてくれる慶ちゃん。
こういう所がかわいい。
私の取り分は少しになってしまったが、みんなで楽しく炭酸を飲んで、マカロニサラダの
オードブルを楽しんだ。
食べ終わったあと、抱っこをせがまれたので、慶ちゃんと剣ちゃんを抱っこしてあげた。
忍ちゃんはそっぽを向いて、別に抱っこをせがまない。
でも忍ちゃんだけやらないと不公平になるので、忍ちゃんも抱っこしてあげた。
忍ちゃんはちょっと顔を赤らめて、「ふん、まったく世話がやけるわね」と言ってすまし顔をして目をそらした。
とても楽しい時間だった。
お金はかかったけど、みんなにこんなパーティーをしてもらってうれしかった。
長靴の中のお菓子の生気も一生懸命吸っていたが、精霊たちは実体がないので、
お菓子自体は食べられない。
うちでもこんな沢山のお菓子は食べられないので、知り合いに送ってあげることにした。
「お菓子~、ばいば~い!」
慶ちゃんはお菓子の長靴に手をふった。
「ばいば~い」
剣ちゃんも笑顔で手を振った。
「あー、はいはい、ばいばい、ばいばい」
忍ちゃんもやる気なさげに手を振った。
みんないい子。

買わされてしまった……

とうとうクリスマス用のお菓子の入った長靴をかわされてしまった。
1個398円なり
慶ちゃんは最初、金属の鈴がついてないやつにしようかといってたのですが、
みんなと同じのがいいというので、慶ちゃんも金属の鈴がついたのにしました。
最初は、迷いなく忍ちゃんが青を選びます。
次は慶ちゃんと剣ちゃんが赤の取り合いになりそうになりましたが、
慶ちゃんが「赤はサンタさんの色だから慶タンのだよ!剣ちゃんはピンクにするんでしょ。」
と言って赤を手に取りました。
剣ちゃんはしばらく「う~ん」と悩んでいましたが、ふと緑色の長靴が目に付きました。
「あ、緑きれい」剣ちゃんはふとつぶやきます。
「じゃあ緑にすればいいじゃん」
慶ちゃんが言います。
「え、でも緑って草の色だよ、慶ちゃんの色じゃん」
「そんなの関係ないよ!キレイだと思ったもの、好きなものをとればいいんだよ!」
慶ちゃんが言います。
剣ちゃんはしばらく悩んだあと、ピンクではなく緑の長靴を選びました。
「緑とか私に似合うかなあ……」
剣ちゃんはちょっと人目を気にしている感じでした。
人目といっても私にしか見えませんが。
「カッコいいよ!大人の雰囲気だよ!」
「まあ、シックな感じでいいんじゃないかしら」
慶ちゃんも忍ちゃんも褒めます。
「えへへ」
剣ちゃんは照れてはにかみました。
長靴を買ったら、いつものチーズ売り場へ。
何時もどおりクリームチーズを買おうとすると、忍ちゃんが制止しました。
「お待ちなさい!あれをご覧!」
忍ちゃんが指さす方向に雪印カマンベールチーズがあります。
「何だよ、ただのカマンベールじゃん」
「値段をごらんなさい!」
忍ちゃんは目を見開いて啖呵を切る。
「ああ、割引価格で258円だね」
「ふっ」
私の言葉を鼻で笑う忍ちゃん。
「あなたの目は節穴かしら。あなたには見えていないようね、
普通のカマンベールと6ピース切り分けカマンベールが同じ値段だという真実が!」
何が真実だかよくわからないが、そういえば、丸ごとカマンベールと、
小分けに切ってそれぞれブルーのアルミ紙でくるんでいるカマンベールが同じ値段だ。
たしかに、アルミ紙で小分けに包んでいるほうがいつもは少し値段が高い。
中身の容量は同じなので、買うときはいつも丸ごとで、安い方を買うんだけど。
「今日は最初から切れてるカマンベールがお安いは、これは買うべき好機よ!」
「べつにどっちでもおなじじゃん」
「何言ってるの、切れてないほうは、包丁で切ったときに、包丁いnカマンベールがくっついて、
ちょっと損するじゃない!」
セ、セコイ。
「はいはい、わかりました」
私は6分割パッケージのカマンベールに手を伸ばす。
「ちょっと待って!今日はチーズホンデューの日だよ、みんなでホンデューを食べるよ!
550だから、みんなで食べたらそのほうがお得だよ!」
「は?何言ってるの、ホンデューは全然割引してないじゃない。カマンベール6ピースパックが
安いのは今日だけかもしれないのよ!私たちには時間がないの!」
「そんなの知らん」
忍ちゃんの精密な理論を一言で否定する慶ちゃん
「慶ちゃん……恐ろしい娘」
唖然とする忍ちゃん。
「それでも今日は絶対カマンベールなの!これだけは譲らないわよ!」
「じゃあ、慶タンもホンヂューを絶対ゆずらないよ!」
意地を張りあう二柱。
私は困り果てていたが、550円のチーズホンデューの横に110円の小型チーズホンデューが売っていた。
「慶ちゃん、これ買ってあげるから、一人で食べなよ。」
「うん、わかったそうする」
慶ちゃんは納得した。
「じゃあ、ホンデューに付けるフランスパンも買ってね」
慶ちゃんが言った。それを聞いて剣ちゃんが眉をひそめる。
「あー慶ちゃんだけ二つも買ってもらってずるーい!」
「何言ってんだよ!お鍋だって取っ手とお鍋で一体でしょ、ホンヂューだって、パンとチーズで一体なんだよ!」
剣ちゃんに反論する慶ちゃん。
「そんなことないよ、ティファールのお鍋は取っ手が採れるよ!」
それにまた再反論する剣ちゃん。
そこで忍ちゃんが急に歌いだした。
「取っ手がとれる~ティファール」
それに合わせて剣ちゃん慶ちゃんも歌う。
「取っ手がとれる~ティファール」
最期は三柱で
「取っ手がとれる~ティファール」
すっかりみんな仲直り。
最初、近所のお店屋さんでフランスパンを買おうとするが、一個二五〇円もするので、
駅前のパン専門店にプチフランスパンを買いに行くことにした。
行くと、プチフランスパン以外にも色々なミニパンが四〇円くらいの値段で売っている。
「みんなの分買ったら、平等になるよ!」
慶ちゃんがそう提案するので、剣ちゃんと忍ちゃんにもパンを買ってあげることにした。
慶ちゃんにはプチフランスパン、剣ちゃんにはクロワッサン、忍ちゃんにはコーンパン。
忍ちゃんのだけちょっとだけ高いです。
あとついでに自分もカツサンドを買った。
合計三三〇円
結局、二五〇円より高くなってしまった。
家に帰って部屋に三柱のための長靴を並べる。
喜んで鈴を触っている。
風もないのに、鈴がゆらゆら揺れていました。

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