今日も父とスーパーに買い物に行ってきました。
最近は慶ちゃんたちも父になついてきて
「パパさーん!」と言って父の足にしがみついたりしている。
慶ちゃんはテンションあがって「ぱっぱしゃ~ん!」
と叫んでいる。
今日もしょっぱなはイチゴ売り場。
章姫が売っていたのを父が買った。
「章姫だから私のね」と言って忍ちゃんが手を出そうとするとその前に慶ちゃんが
立ちはだかる。
「まってよ!前も忍ちゃんが取ったじゃん。ずるいよ!」
いつもはそのあとに甘栗やお豆さんを父が買うけど、先日は父が甘栗やお豆さんを
かわなかったので警戒しているようだ。
「だって章姫は私のじゃない」
忍ちゃんはふくれる。
「そんなこと言ったって最近ずっと章姫じゃん、
みんなでジャンケンだよ、はい、ジャンケンポン!」
いいながら慶ちゃんは強引にジャンケンをする。
忍ちゃんは反射的にパーを出し、慶ちゃんはチョキを出した。
「やったー!カッター!」
慶ちゃんは喜ぶ。
「こんなのないよ、だって、だって章姫は私のお気に入りなのに」
忍ちゃんが涙ぐむ。
「に、忍ちゃん……?」
慶ちゃんは忍ちゃんの顔を覗き込む。
「もう、わかったよ!これ忍ちゃんにあげる!」
そう言って慶ちゃんは忍ちゃんにいちごの章姫をさしだした。
「あるがとう、ぐすん」
忍ちゃんは涙を拭いて機嫌をなおした。
そのあと父は甘栗の小さいパックを買った。
「はい、慶タンのでーす!」
慶ちゃんがタッチした。
次にお豆さん。
剣ちゃんがタッチ。
今回はいつもと同じパターンだ。
次に狐どん兵衛を見に行ったがこの前10円だったものが114円に値上がりしてたので買わなかった。
そのかわり、ミニどん兵衛を買った。
「ぼぼんがぼん!ぼぼんがぼん!」
慶ちゃんがミニどん兵衛を太鼓替わりに叩く。
そのうち、慶ちゃんがあるものに気付く。
「みて、38円コーヒーだよっ!」
コーヒーのミニ缶が38円で売っていた。
これは安い。
父はこれを3つ買った。
「わーいみんなおそろいだー!」
剣ちゃんが喜んだ。
三柱はみるみるうちに体を小さくして、その缶コーヒーのミニ缶の上で舞い踊った。
「モスラーヤモスラー
ドゥンガン カサクヤンインドゥ ムゥ」
また、何かわけのわからない歌を歌っている。
そのあと、チーズ売り場を通ったが、昨日買ってもらったばっかりなので、
「今日はかわないくてもいいよ」と私が父に言った。
毎日買ってもお金かかるばっかりだしね。まだ家に残ってるし。
そのあと、お菓子売り場の前に行くと、カントリードーナッツとキングドーナツが売っていた。
いつも通り、慶ちゃんが棚をよじのぼって王様の恰好をして「キングドーナッツ!」と叫ぶと
その横で剣ちゃんが「カントリードーナッツ!」とアメリカのジーンズとチェックのシャツを着た農夫の
恰好をして胸をはった。
その光景を忍ちゃんが茫然と見ている。
「馬鹿じゃないの」
そのあと、二割引きだったおにぎり弁当を買って、これは慶ちゃんが手に入れた。
そしてパン売り場の前に行くと、いつも父が買うイチゴジャムパンが売り切れていた。
しかたないのでその前を素通りしようとしたら、ランチパックの食パンにイチゴジャムとクリームをサンドした
パンが半額で売っていた。
「はんがくーはんがくー!」
慶ちゃんは叫びながら両手の腕のところでハンガーを回す。しかし、それを回しそこなって、ガツンと頭に当たる。
「いだだだだ~」
慶ちゃんは震えながら頭をかかえる
「馬鹿ねえ、前も同じことになったんだから、いいかげんやめなさいよ」
忍ちゃんが諭す。
「また剣ちゃんがボッチじゃんか!前も剣ちゃんがボッチだったのに、今回もボッチなんてゆるせないよ!」
気がつけば、今回も剣ちゃんが買ってもらってなかった。
やばい。
そうしているうちに、父はお菓子売り場に行く。
「ふん、また今日も買わないんでしょ、いつもどおりでしょ、剣ちゃんはいつもボッチなんです!そうなんです!」
剣ちゃんは頬をふくらませて怒っている。
しかし、今回、父はイチゴのピコラをカゴに入れた。
「うわっ!イチゴのピコラだ!」
剣ちゃんは目をかがやかせる。しかし、はっと我に返って慶ちゃんと忍ちゃんを見る。
ちょっときょどっている。
慶ちゃんは笑顔で首を縦に振る。
忍ちゃんも神妙な顔で首を縦に振る。
「いいの、もらっていいの、いいんだね、はいたーっち!」
そう言って剣ちゃんはイチゴのピコラにタッチした。
「やったー!かわいいお菓子ゲットだぜ!」
剣ちゃんは大喜びだ。
そのあと、父は何を思ったか、甘栗のお徳用パックを買った。
すでに小さな甘栗パックを買っているのに。
そのことを父に告げようとすると慶ちゃんが買いものカゴの中で「しーっ」と言っている。
そういえば、小さい甘栗パックは慶ちゃんのだった。
そしてそろっと大型甘栗パックに近づいてタッチをした。
その後、父はお菓子売り場を回って、88円のマシュマロをカゴに入れた。
「マシュマロはハイカラな西洋のお菓子だから私のね」
何の躊躇もなく、忍ちゃんがマシュマロにタッチする。
「あれ、また剣ちゃんがボッチなの?おかしくね?この前も私がボッチだったじゃん。
今回は私がボッチにならないよう、一番最初に私がタッチして当たり前じゃね?」
剣ちゃんは明らかに怒っている。
「まあ、そういう運命だったと思ってあきらめるんだね」
慶ちゃんが笑顔でいう。
「そんなのないよー!私軽く見られてるの?見られてるの?」
ピョンピョン飛び跳ねて剣ちゃんが怒る。
「そんなことないよー、ただ慶タンの好物の甘栗だったから先にとっちゃっただけだよー」
慶ちゃんは笑顔で言った。
「私もマシュマロはオーストリア貴族にお似合いだったから買っただけよ。」
忍ちゃんはオーストリア貴族じゃないけどな。
そのうち、父は売り場を回って、父は買い物カゴに揚げタコ焼きを入れた。
「何これ……」
剣ちゃんは目を丸くする。
「散々またされた結果がこれ?」
「そんなこといったら罰があたるよー」
慶ちゃんが剣ちゃんをたしなめる。
「慶ちゃん、揚げタコ焼き好きでしょ、栗のエコノミーパックと交換してよ」
「いやだよ、栗のエコノミーパックは大物すぎるよ、剣ちゃんはどん兵衛ミニカップでいいじゃん」
「なんだって~」
剣ちゃんの背中からメラメラ炎が立ち上がる。
やばい、剣ちゃんは本気で怒ったらヤバい子なのだ。
その時である。
「あれ見て!すごい事になってるよ!」
慶ちゃんが指をさす。
お店の人がおにぎり売り場のおにぎりに二割引きのシールを貼っている。そして、
二割引きだったおにぎり弁当には半額シールを貼っている。
「あれ見て、二割引きのおにぎり弁当に半額シール貼ってるよ」
私はこっそりと父に耳打ちした。
「あ、本当だ」
父はお弁当売り場に行って、カゴの中の二割引きのおにぎり弁当を売り場に戻し、
半額のおにぎり弁当をカゴに入れた。そのついでに梅のおにぎりと明太子おにぎりをカゴに入れた。
梅おにぎりは忍ちゃんがもらい、明太子おにぎりは慶ちゃんがもらった。
慶ちゃんはそれを剣ちゃんに差し出した。
「これと揚げタコ焼きを交換してあげるよ!」
「あ、うん、ありがとう」
剣ちゃんは少しおちついた。
これでみんな3柱分もらったわけだが、このまえ剣ちゃんは一人だけ数が足りなかったので、
今回、なにか余分に一つもらわなければ割に合わない。
そんなとき、父がわらびもちをカゴに入れた。
「あ」剣ちゃんがそれにさわろうとする。
それを横から慶ちゃんが素早くタッチ。
「あ、このわらびもちと栗のパック交換ね、栗がダブってることをパパさんに言ってあげて」
「あ分かったよ」
そう言って私は栗のお徳用パックと小さなパックがダブっていることを父に伝えた。それを聞いて、
父は小さな栗パックを売り場に戻した。
「むきーっ!剣ちゃんの邪魔をしたなー!」
起こって剣ちゃんが飛び跳ねる。
「いっぱい聞けて!いっぱいはなせーる!」
慶ちゃんは気にしないでNOVAウサギのキグルミを着て踊っている。
「なめんなよー!」
剣ちゃんが叫ぶ。
「舐めてないよー!」
慶ちゃんが叫ぶ。
その時である。
「あ、雛あられがあるなあ。」
父が雛あられに興味を示した。
さっきまで激怒していた剣ちゃんが素にもどってそっちを見る。
「あ、でもちょっと高いなあ」
父は手を伸ばしかけた雛あられから手をひっこめる。
剣ちゃんの表情がミルミル絶望の色に染め上げられていく。
「あ、隣に安いのがあるよ、48円だって」
私が指を指したのはアンパンマンの絵が描いてあるアンパンマン雛あられだった。
「あ、これ安いね」
そう言って父はアンパンマン雛あられをカゴに入れた。
剣ちゃんが一番好きなやつである。
剣ちゃんは茫然と立ち尽くす。
すこし、小刻みに体を震わせながら慶ちゃんのほうを見る。
慶ちゃんは笑顔で頷く。
その次に忍ちゃんを見る。
忍ちゃんも無表情にうなづく。
剣ちゃんは足をガクガク震えさせながら、一歩一歩ふみしめてアンパンマン雛あられに歩みよってゆく。
天空からロッキーのテーマが流れてくる。
剣ちゃんは震える手でアンパンマン雛あられを掴み天高くかざした。
「エイドリアーン!」
剣ちゃんは絶叫する。
「ロッキー!」叫びながら慶ちゃんが剣ちゃんに抱きつく。
「馬鹿ばっか」
忍ちゃんが覚めた声で言った。
そのあと、父はスーパーの上の薬局に行った。
そして盆たん飴を手にとった。
「あ、結局こうなるんだね、ここで前みたいにぼんたん飴を2個買うんでしょ。
今回も剣ちゃんは特別扱いに一個多くはもらえないんだ、結局、今回も平等になっちゃうんだね、
うれしさが半減しちゃう」
剣ちゃんが愚痴を言う。
「好きな雛あられ買ってもらったんだから、文句言うんじゃないわよ」
忍ちゃんが叱るが剣ちゃんは頬をふくらませている。
しかしである。父は盆たん飴を3個買った。
つまり、3柱に平等に配分。結果として、今回、剣ちゃんは雛あられを1つ余分にもらえたため、
剣ちゃんの特別扱い決定である。
「エイドアーン!」
また剣ちゃんが叫び天空高く拳を振り上げ、ガッツポーズをした。
「ロッキー!」
叫びながら慶ちゃんが剣ちゃんに抱きつく。
こうして、剣ちゃんはホクホク笑顔で帰りましたとさ。
PR
父と母と一緒に食事に行った。
父は天ぷらうどん、母はうどん定食、私はかつ丼定食をたのんだ。
慶ちゃんたちが出てきて剣ちゃんが私の背中に張り付いた。
それに続いて忍ちゃんが母の背中に慶ちゃんが父の背中に張り付いた。
三柱はずっと私たちが食事をするのを見ていた。
食事が終わって家に帰る道すがら慶ちゃんがご機嫌で歌いだした。
「子供だなんて~思おったら、大間違いよ~女の娘、二つの胸の~
ふくらみは~何で~もできーる~証拠なの~!」
昔のアニメ、魔女っ娘メグちゃんの主題歌だ。
「え、そうなんだ、じゃあ忍ちゃんは何にもできないの?」
何気なく剣ちゃんが言った。
「あ?あんた、暗に私が胸が小さいっていいたいの?バカなの?死ぬの?」
言いながら忍ちゃんは剣ちゃんの胸倉をつかんだ。
「やめてよ~やめてよ~」
剣ちゃんが暴れた。
三柱とも日頃は子供の恰好してるからみんな胸とかないんだけどね。
変化して大人体型になった時のことを言ってるんだろうと思った。
魔女っ娘メグちゃん
http://www.youtube.com/watch?v=zU-4NIDpMNc