「スイカ-!」
スーパーに行って最初にスイカを買ったら、勢いよく慶ちゃんがスイカに飛びついた。
次に桃を買ったら、慶ちゃんが素早く桃のところに言って
「この桃は剣ちゃんのね」と言った。
いつも剣ちゃんはゆっくりしていて桃がとれないので、慶ちゃんが気をつかったようだ。
桃を取られた忍ちゃんだったが「別にいいわよ」と落ち着いている。
剣ちゃんはいつも貰えないので、気をつかったようだ。
次に、私は三ツ矢サイダーを買った。
「あ、これ、剣ちゃんの」
ジュース類はいつも剣ちゃんのものだから剣ちゃんがいそいで手を出す。
「だめよ」
忍ちゃんが冷静に遮る。
剣ちゃんはびっくりしたように忍ちゃんを見る。
「だって、剣ちゃんはもう桃を貰ってしまったでしょ。次は私の順番よ」
忍ちゃんが冷静に言った。
「でも……」
剣ちゃんが口ごもる。
「だったら、桃とサイダー交換してあげてもいいわよ」
「いやだ!桃は特別だもん!」
剣ちゃんは一生懸命首を横にふった。
「じゃあこれ私のね」
忍ちゃんはサイダーを貰った。
剣ちゃん涙目。
「ねえねえ、忍ちゃん、そのサイダー、スイカと交換しない?」
慶ちゃんが言った。
「あら、スイカってあなた大好きじゃない、サイダーとか別にスキじゃないでしょ」
忍ちゃんが言った。
「でも、いいんだよ、サイダーと交換したいんだよ」
「ならいいわよ、私も別にサイダー好きなわけじゃないし」
忍ちゃんはそう言ってサイダーとスイカを交換した。
「剣ちゃん、あとで、剣ちゃんが何かいいものもらったらサイダーと交換してあげるからね」
慶ちゃんが剣ちゃんに言った。
「うん」
剣ちゃんはうなづいて涙をふいた。
そのあと、私は父親に頼まれていたヨーロピアンアイスを買った。
「はい、順番で慶ちゃんのね」
そう言って慶ちゃんは素早くヨーロピアンアイスにタッチした。
「ちょ、ヨーロッパって言ったら私でしょ!」
忍ちゃんが怒っていった。
「じゃあ、スイカと交換してよ!」
慶ちゃんが言った。
「ちっ、ひとの足下をみるわね」
そう言って忍ちゃんはスイカとヨーロピアンアイスを交換した。
その交換作業をしている横で私は北海道アイスバーを買い物かごに入れる。
二柱が話し合いをしている横で剣ちゃんがこっそりと北海道アイスバーにタッチする。
そして北海道アイスバーを高らかと持ち上げて叫ぶ。
「慶ちゃん、サイダーと交換して!」
「わかったよ!」
慶ちゃんはうなずいた。
こうして、剣ちゃんはいつも通りサイダーを手に入れたのだった。
「でっかいどーほっかいどー!」
と叫びながら慶ちゃんは喜びの踊りを踊った。
そのあと、69円でヨーロピアンカフェオレの缶コーヒーが売っていたので2本買う。これは
剣ちゃんが貰った。
そのあと、父がほしがっていた梅干しのおにぎりを2個買う。
梅干しのおにぎりは慶ちゃんも剣ちゃんもほしがらないので、
忍ちゃんがこれを貰う。
あと、ナスの揚げびたしを久しぶりに買うと慶ちゃんが
「わーい!テントウムシさんだ-!」
と叫んだ。
ナスを油であげた光沢がテントウムシみたいで慶ちゃんはこれがスキだ。
慶ちゃんの言葉をついで、剣ちゃんが「サンダー!」と叫んだ。
すると慶ちゃんが「たたかえサンダー!今こそサンダー!GOGOゆくーぞ二段へんしんー!」
と歌いながら変な踊りを踊っていた。
「あ、そうだ、そういえば剣ちゃんのお供物が一つたりないね」
私がそう言うと、
「缶コーヒー二つもらったからいいよー!」と言った。
欲のない子だねえ。
私は笑ながら剣ちゃんの頭をなでた。
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