父と一緒に買い物に行って桃を買いました。
慶ちゃんと剣ちゃんがその桃の両脇に並んで
「忍ちゃんどうぞ~」と言って忍ちゃんに桃を譲った。
「あら、そう」と言いながら忍ちゃんは少し顔を蒸気させた。
まんざらでもないようだ。
前は剣ちゃんが桃を貰い、その前は慶ちゃんがもらったので、今度は忍ちゃんにゆずったようだ。
桃は精霊たちにとって特別な食べ物らしい。
そのあと、慶ちゃんはチーズのボーノを買ってもらった。
「スルメイカの一夜干しの薄い味がする」と慶ちゃんが言ってるチーズだ。
最初食べたとき、なんのことはないチーズだと思ってたけど、慶ちゃんにそう言われてから、
なんか弾力がある歯触りが癖になってしまった。
そのあと、リンゴジュースとオレンジジュースを買って、
そのあと、父がアイスクリームを買った。
ヨーロピアンアイスは忍ちゃんがもらって、北海道アイスバーは慶ちゃんが貰おうとしたら、
横から剣ちゃんがそれを欲しそうに見ていた。
慶ちゃんは剣ちゃんを見る。
「剣ちゃんアイスほしい?」
「うん」
「じゃあ、オレンジジュースと交換してあげるよ!」
「わーい」
剣ちゃんは喜んで北海道アイスバーをもらった。
「慶ちゃんアイスなくていいの?」
私が聞くと慶ちゃんは「慶タンはよい子だからゆずってあげるよ!」
と言った。
そのあと、父はカルピスアイスを買って、これは慶ちゃんのものになった。
「ねえ、本当はカルピスアイスよりも北海道アイスのほうがスキじゃないの?」
私は慶ちゃんに耳打ちした。
慶ちゃんは私の耳元でささやいた。
「本当は北海道アイスのほうがスキだけど、それを言ったら剣ちゃんが気にするから内緒だよ」
いい子や。
そのあと、梅のおにぎりを父が2個買って、こえは忍ちゃんのものになった。
慶ちゃんも剣ちゃんも梅はあんまり好きじゃないみたいだう。
そのあと、6品入りおかずセットを父が買って、これは順番で自動的に剣ちゃんのものになった
んだけど、剣ちゃんは渋い顔をしている。
おかず6品の中に酢蛸が入っているのだ。
「これ嫌い」
剣ちゃんは言った。
「あとで何かいいものと交換してあげるよ」
慶ちゃんが耳打ちした。
そのあと、慶ちゃんは半額シールの貼ったシャケ弁当をもらって、
両手に木製ハンガーをかけて、頭に黄色い安全ヘルメットをかぶって
『ハンガーくー!ハンガーくうー!」と言いながらハンガーをぐるぐる回した。
慶ちゃんは剣ちゃんを見る。
でもあんまりシャケ弁当はほしくないみたいだった。
父はそのあと、かき揚げの天ぷらを買った。
「天ぷらは油だから火の燃料になるよ。」
慶ちゃんが言った。
「そうだね、これにするよ」
剣ちゃんは納得して6品おかずセットの権利を放棄して、
かき揚げの天ぷらを貰った。
買い物が終わると父は薬局に入っていく。
そこで父は袋にウエハースとラムネ菓子を入れて出てきた。
慶ちゃんたちが一番スキそうなお菓子だ。
でも2つしかない。
「みんなでたべるといいよ!」
慶ちゃんが叫んだ。
「ありがとう!」
剣ちゃんはラムネ菓子をもらった」
「私はウエハースがいいわ。だって上品ですもの」
慶ちゃんは我慢しているけど、ちょっと涙目になっていた。
私は慶ちゃんの頭をなでた。
慶ちゃんは私を見て笑おうとしたけど笑えなくて、口をとがらして目を潤ませていた。
「慶タンは犠牲になったのだ!」とおちょけて叫んだが、笑い顔になることができなかったので、
冗談にうなってなかった。
「また今度何か買ってあげるね」
私はそう言って慶ちゃんに笑いかけた。
そうしてみんな家に帰ると、剣ちゃんと忍ちゃんはいそいで父の買ってきたお菓子の袋に
走っていって、剣ちゃんはラムネ菓子をとって、忍ちゃんはウエハースをとった。
慶ちゃんは口をとがらして黙っている。しかし、何かに気づいたようで、
あわててお菓子の袋のところに走っていった。
そして、お菓子に袋に潜り込むと、中から粟おこしをとりだした。
「粟おこし、慶タンの!」
慶ちゃんは高らかとその粟おこしを頭上にかかげた。
「えいどりあーん!」
剣ちゃんが叫んだ。
「コロンビア!」
忍ちゃんが叫んだ。
「粟おこし!」
慶ちゃんがさけんだ。
よほど、うれしかったんだろう。
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