父と一緒にスーパーへお買い物。
最初にオレンジ3個買いました。
そしてそれは仲良く慶ちゃんたちがひとつずつ貰いました。
そのあと、カマボコ売り場に行くと、いつも買っているかにかまぼこが無くなっていた。
代わりに別寅のちくわがその場所に売ってあった。
「べっとらー!」
慶ちゃんが叫びました。
なぜなら慶ちゃんはいつもテレビで別寅のコマーシャルを見てお気に入りだからです。
「海の資源にゃ~かぎりがーあるがーかまぼこづくりに~命を~かける~べっとら~!」
慶ちゃんがこぶしをきかせて歌っているので別寅かまぼこのちくわ4本入りセットを
買ってあげました。
「これ、もらい!」
慶ちゃんがそう言ってちくわにタッチしました。
「あれ、ちくわでもいいの?」
「これ、歌がたのしいからこれはいいの!」
私の問いに慶ちゃんが答えました。よくわからん理論だな。
そのあと、チーズ売り場に行きました。
「裂けるチーズがいいな~」
慶ちゃんが言いました。
「駄目よ、慶ちゃんは先にちくわもらったでしょ、だから次の順番はもらえないわよ」
忍ちゃんが言いました。
「えーじゃあ、ちくわいらない」
慶ちゃんはあっさりちくわを放棄して裂けるチーズをもらうことにしました。
そのあと父はアイス売り場に行きます。
そしてヨーロピアンコーンアイスとソーダバーの中にバニラアイスが入ったアイスを買いました。
ヨーロピアンは忍ちゃんがもらい、ソーダは剣ちゃんがもらいました。
どちらも好みのものをもらって大喜びでした。
そのあと、父は半額で売っていたおつとめ品のバタークロワッサンを買い、
それは忍ちゃんが貰う。
コーヒー牛乳は剣ちゃんが貰う。
そのあと、しばらく何も買わずに店内をうろうろしはじめました。
「次は何がもらえるのかな~」
慶ちゃんあ買い物かごの中でわくわくして待っています。
そのとき、忍ちゃんがカゴの中で放置された別寅のちくわをもちあげます。
「あーあ、慶ちゃんに見捨てられた別寅のちくわさんが泣いてるわよ~
えーん、えーん慶ちゃんにすてられたよ~」
忍ちゃんはこわいろをつかって、別寅かまぼこの袋に書いてある寅の漫画の近くに
顔を寄せて話します。
慶ちゃんはハッとして別寅のちくわのほうを見ます。
「そうなの!別寅のちくわさんさびしかったの!ごめんね、もらうよ!」
そう言って慶ちゃんは別寅のちくわを貰いました。
「ふっ、計画通り」
忍ちゃんが悪い顔でほくそえみます。
そのあと、父はいつも通りのパターンでお菓子売り場へ。
そこでいつもどおり、一番最初にホワイトマシュマロを買い、次は天津甘栗を買いました。
忍ちゃんは父の行動パターンを把握しているので、まんまと大好きなマシュマロを順番通り
ゲットしました。
天津甘栗は剣ちゃんが貰います。
「あ、慶タンぼっちなの?慶たんのはないの?」
慶ちゃんがそう言うので私はあわてて歌舞伎揚を買ってカゴの中に入れます。
「やったー!滑り込みセーフ!」
そう言って慶ちゃんは歌舞伎揚げの袋に抱きついて頬ずりします。
そうしてレジに向かいます。
「やったね、今日もみんな平等にもらいました」
満足げに慶ちゃんが言った。
そして地上へ。
すると父はそのまま地上にある薬局に入っていって、そこでラムネ菓子とウエハースを買ってきて
買い物部頃に入れた。
「順番だからね」そう言って剣ちゃんがラムネを貰う。
「ウエハースは上品だから私のね。」
そう言ってウエハースは忍ちゃんが貰う。
「え、え、慶タンのは無いの!慶たんぼっちなの?!」
慶ちゃんは涙目になります。
「ごめんね、慶ちゃん、また何か買ってきてあげるからね」
私は慶ちゃんを励ますが、慶ちゃんはしょんぼりしていた。
可哀想なので、家に帰った私は、こっそり近くのコンビニに行って牛乳を買ってきた。
これは、家の庭にある植木に葉についたアブラムシに散布すると葉の上に膜ができて
アブラムシが窒息死するので、農薬なしにアブラムシが駆除できるのだ。
これをまず、慶ちゃんにあげて、納得してもらおうとしたのだ。
しかし、家に帰ってきたら、精霊たちがぷんぷん怒っていた。
「どゆこと!」
剣ちゃんが叫ぶ。
何が起こったかと思って家に上がると、父が剥いたオレンジの中が黒く腐ったようになっていたのだ。
これじゃ食べられない。
「剣ちゃんのオレンジの中が真っ黒になってるよ!どゆことだよ!」
剣ちゃんは自分がもらったお供物の中が真っ黒になっていてカンカンに怒っているのだ。
「これは食べられないな、お店に持って行ったらかえてくれるかな。」
父がそういう。
「そうだね、一緒にいくよ」
一人で行ったら遠慮ぶかい父は相手に言い込められて我慢して帰ってきたらいけないので、
私がついていくことにした。
「そんなのしりませんよ」とか
店の人が言うかもしれないと思って、気負って行ったが、
お店の人はとても冷静に対処してくれた。
「すいませんでした」と普通に謝ってくれた。
それだけではなく、店長まで出て来て頭を下げたので父はそれで満足して
帰りそうになった。その袖を私がつかんで帰らせないようにして、
レシートを出して、オレンジを交換してくれるよう交渉する。
相手はすんなり承諾しただけではなく、店長の計らいで、おまけでオレンジをもう一つ貰った。
それで、私も父もご機嫌になってしまい、ルンルン気分で家に帰った。
「見て!見て!剣ちゃん綺麗なオレンジにかえてもらったよ!」
剣ちゃんは大喜びだ。
「いいな-剣ちゃん。慶タンは貰えなかったよ」
慶ちゃんは指をくわえて見ている。
そうだ。
私はオマケで貰ったオレンジを慶ちゃんにさしだす。
「これをあげるよ」
慶ちゃんは眼をまるくする。
「やったー!オレンジ二つも貰ったよ-!」
慶ちゃんは喜んで舞い踊ったあと、テンションがあがって二つのオレンジを両手にかかえて
私に見せにきた。
「巨乳おっぱい!」
「やめなさいっての」
私はたしなめた。
そして、私が買ってきた牛乳をこっそり冷蔵庫に隠した。
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