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頭の中の池内慶

空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。

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FM文庫Jライトノベル新人賞

FM文庫Jライトノベル新人賞に「頭の中の池内慶」を公募小説として送りました。
中高生男子がメインターゲットのライトノベルのようですので、
主人公は高校一年生の男子にしました。
大幅に加筆しましたので、内容は別物になってしまっていますが、
小ネタ、ギャグは健在です。あらたに、池内慶の登場シーンとかでも
ギャグを入れましたので、もし佳作でも受賞して出版されることになったら、
楽しみにしておいてください。
もし、落選したら、どっかで出してくれるところがないか、出版社めぐりでもしますよ。
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蒜山遊び

臨時収入が入った池内系たちは自分たちで旅行に行くことを決めたらしい。
旅行といっても、池内系たちは私から離れることはできない。
私がかつて行ったことのある私の思い出の中にに入り込んでそこで遊ぶのだ。
池内慶が「蒜山に行きたい!」と言ったので、みんなで私の頭の中に入り込んでそこの
記憶の中にある蒜山に遊びに行った。
池内系たちが蒜山高原に降り立つと、小さなハエのようなものが寄ってきて、
池内系たちの体を刺した。
「いたっ!」池内忍は顔をしかめたが、さほど痛くはないようだった。
そこに粋呑が現れた。
「あらいらっしゃい。」すいとんは池内系たちにたかってる小さな虫をみとがめる。
「ちょっと!それブヨよ、気をつけなさい!」
そう言ううと大きく息を吸って、思いっきり息を吐き、突風を起こしてブヨの大群を
吹き飛ばした。
あまりの風の強さに池内系たちはよろめきそうになった。
「うわっ、そこまでしなくていいよ、ちょっとチクッと痛かっただけだから。」
池内慶がそう言う。
「あらそう、でも、ブヨは侮っていると大変なことになるわよ。」
と粋呑が言った。
「ははは、俺たちは歴戦の勇者だから蚊だか蠅だか分からん虫なんて怖くないさ!」
元気よく池内剣が言った。
粋呑は、草原の草花や茶色いジャージー牛を紹介して、蒜山を案内して回った。
しばらく歩いて休憩の時間になると粋呑は大きなガラス瓶に入った牛乳を
もってきて、大きなマグカップに牛乳をそそぎこんで、池内系たちにふるまった。
それを見て、池内慶が目を見張って声をあげた。
「このミルク、白いバターみたいなのが入ってる!」
それを聞いて粋呑は少し笑った。
「あら、それは牛乳の脂肪分が固まったものよ。おいしいから食べてみなさい。」
そう言うので池内慶はそれを指でつまんで食べた。
「おいしい!でもこれ、ちょっとしかないね。どうやって作るの?」
そう言うと粋呑は首を横に振った。
「いいえ、それが本当の牛乳なの。町の人たちが飲んでいる牛乳は、
牛乳の脂肪分を人工的に細分化して均質化して、乳脂肪分が固まらないように
してあるの。あちらのほうが人工的につくってあるのよ。この乳脂肪分の
固形成分があまりにおいしいから、人はチーズなどを人工的に作って
乳脂肪分の固形化物を人工的に作っているけど、この自然の
乳脂肪分のおいしさにはかなわないわね。」
と粋呑は得意げに言った。
「すごーい!本当に面白いね!ね!」と言いながら池内慶は池内忍と池内剣のほうに
向き直ったが、池内忍と池内剣は全力で「山歩き飽きたー!」という表情を全身から
かもしだいして、クターとしていた。
「飽きたんなら、下のドライブインに帰ってなよ、マカロニほうれん荘と快僧のざらしの単行本を
持ってきてるから、それでも読んで待ってて。」
池内慶がそう言うと池内剣は「おお!快僧のざらし!」と叫んでそそくさと山を降りていった。
池内忍も「あーたるい、たるい。」と言いながらダラダラ山を降りていった。
そんな二人を残して池内慶は粋呑気と一緒に山を歩きまわった。
そして青葉のしげる草原にねっころがって空をみあがえた。
青い空に散り散りになった雲がながれてゆく。
「気持ちいいねー」池内慶が言うと「気持ちいいでしょー」と粋呑が答えた。
その頃、池内剣と池内忍はドライブインにあるクレーンゲームに興じていた。
三俣のハンドでプラスチックカプセルをつまみあげてとってくる単純なゲームである。
まずAボタンを押して縦軸を決定、その次にBボタンを押して横軸を決定して
カプセルをつまみ上げる。
中身はマージャン牌のキーホルダーとか筋肉マン消しゴムのパチモンとか
わたいのないものばかりだが、中に数個、「当たり」と書いた紙が入っているカプセルが
あった。
それを狙って一生懸命熱中し、1回100善徳の機械ですでに1万5千善徳と使ってしまっている。
1つの善徳とはお年寄りに1回電車の席を譲ってあげたり、人に道を教えてあげたり、
そうした積み重ねが100回である。それを、ただのボタン操作2回で費やしてしまう忍と剣。
タコのおじさんが1千年間、江井我島港の安全を守って、命がけで毎日毎日積み重ねた善徳。
でも、こいつらにはそんなこと関係ない。
ゲームがはじまると、マンボの音楽が流れる。その音楽にあわせて、
池内系たちは「ウッ!マンボ!」とか言いながら踊っているのだが、おどりは何故かツイストした
モンキーダンスである。
ゲームが終わると機械が「もう1回やってみよう!」と声を上げる。
それにあわせて、池内系たちも「もう1回やってみよう!」と叫びながらノリノリで
ゲームをつづける。そして、めでたく当たりのカプセルをゲットしてドライブインの
売店にもっていくと、牛さんの絵の描いたマグカップをくれた。
池内忍も池内剣もマグカップを手に入れて満足し、ゲームを終了した。
そうした頃、池内慶がドライブインに帰ってきた。
「あーいいなあ、牛さんのマグカップ。慶たんもほしい!」
池内慶がマグカップを見て言った。
「それなら、あんたもゲームに挑戦しなさいよ。」と池内剣
「もう1回やってみよう!」と池内忍
それをみて粋呑が眉をしかめた。
「ちょっと、やめときなさいよ、マグカップなんて600善徳出せば買えるじゃない。
ゲームなんて絶対に取れるものでもないんだから。」
すると池内忍が見下げはてたような視線を粋呑に送る。
「あら、このゲームは100円よ、600円より100円が安いことくらい小学生でもわかるわよ。」
その自信満々な姿を見て粋呑はため息をついた。「勝手になさい。」
そして、池内慶は何度もゲームに挑戦する。
マンボを口ずさみながらノリノリでゲームに興ずる池内系たち。
結局、3万善徳つかって、やっと当たりのカプセルをゲットした。
池内慶が喜びいさんでドライブインの売店に当たり券をもっていくと、
店員のおばさんたちが何か集まってコソコソ相談している。
たぶん1週間に1回くらいしか当たり券をもってくることがない状況で
1日に3回も当たり券をもってきたので、あやしんだようだ。
「ちょっとまってね、責任者の人に聞いてくるから。」そう言って
おばさんの一人がどこかに行った。
しばらくして、固い表情の7:3分けの髪をポマードで固めた真面目そうな
初老の黒ぶちの眼鏡をかけたおじさんがやってきて、抑揚のない声で、
「どういった、ご用件でしょうか。」と厳しい口調で言った。
どういったご用件もなにもない「あたりのマグカップがほしいの。」
池内慶は言った。
その男性は「あいにく、あまりにも多数の方が当たり券をもってこられたので、
もう景品のマグカップは無くなりました。通常絶対にあり得ないことですが、
あまりにも多くの方が当たり券を引きかえに来られましたので、もう
景品はありません!」と大事なことなので二回言いました。
「えー、牛さんのマグカップほしい。」池内慶がそう言うと、
初老の男性は、お店で売っている三〇〇円のキーホルダーを指さして行った。
「これをもって、帰ってってください。」
しかたないので、慶はキーホルダーをもらって帰った。
夜はロッジに泊まって、みんなで遊ぶことにした。
池内忍が「狩破をしよう!」と言ったが、前に藤子さんが霊界との入り口をふさいでしまったので、
そこをこじ開けると、きっと怒られるという話になって困ってしまった。
それを聞いた粋呑がロッジのおじさんに話をして、前日宿泊に来た小学生の
林間学校の生徒たちがやったキャンプファイヤーの薪の残りがあると聞いて、
それを分けてもらって、指定地域で予約して広場にバケツに水を入れてもっていって、
小さなキャンプファイヤーをやった。
キャンプファイヤーの歌をみんなで歌って、そのあと、薪に点火。
燃え盛る炎の明りの中で、粋呑が教えてくれたハンカチ落としなどのゲームをみんなでやって
楽しんだ。
これは、池内忍も池内剣も喜んでいた。日ごろならたわいもないことだが、
キャンプファイアの火のもとでやると何でも楽しいものだ。
みんな大満足で、ロッジに戻ったが、夜中になって池内系たちは突如として飛び起きる。
猛烈な痒みがあるので自分たちの手足を見ると、赤いポツッとして小さな血玉がいくつも
できている。
「何よこれ!」池内忍が大声をあげた。それを聞いて一緒に泊まっていた粋呑が起きてきて
近寄ってきた。
「ブヨの血吸いあとよ!それは絶対かいちゃだめ!
そこから腐ってきたり、傷が大きくなってアザになるから!」
池内慶も池内剣もものすごくかゆくて眠れない。
池内剣は足をトントンふみならしてその場で跳ねた。
粋呑はブルーのゲル状のウナコーワジェルを薬箱から取り出してきて、
池内系たちに渡した。
池内系たちはその薬を山盛りとって血玉にすりこんだが、いくら量が多くても痒みが収まる度合は
しれている。
みんなあまり眠れず、ゴロゴロ転がりながら一晩すごした。
朝起きると池内系たちはみんな寝不足だった。
「あらあら、大変ねー、でもマムシに噛まれるよりはマシじゃない、時々林の中にマムシいるし。」
粋呑気は屈託なく笑いながら言った。
「そういう事は先に言ってくれ。とにかくブヨはもう懲り懲りだ。」眠い瞼をこすりながら池内剣は言った。
すると粋呑は言葉を返した。
「あら、ブヨに刺されるのが嫌なら、冬にくればいいのに。冬ならブヨはいないし、スキー場があって
楽しいわよー!」
それを聞いて池内忍がつぶやいた。「まず最初に、それを先に言いなさいよ。」

やっぱり大好き!

「やっぱり大好き!大好きなんだよう!」そう叫びながら池内慶が私の腕にしがみついてきた。
ちょっと泣いていた。
どうやら、私がいろいろタルパのことについて質問したのを、私がタルパと手を切る方法を
探しているのだと勘違いしたらしい。
「そんなこと考えてないよ、安心してね。」と言うと池内慶は「うん!」と大きな声で返事して
ニッコリと笑った。
素直で良い子だ。
池内忍はあとで智伯を連れてきて、なにかソコソコ耳打ちしていた。
たぶん、私の心を読んでもらっているんだろう。
まったく疑り深い。でも、私は別に手を切ろうと思ってないから、いくら心を
読まれても大丈夫だよ。
あと、智伯が呼ばれたついでに、被害届けの調書を書くように池内系たちに
指示していた。
池内系たちのお尻を触ったエロタコが迷惑防止条例で捕まったらしい。
霊界は悪いことしたらすぐに捕まっちゃうんだな。
ちなみにタコは示談にしてほしいと言ってるらしい。
示談には一人あたり5万善徳必要だそうで、ヒッキーのタコにはそんな善徳絶対あるはずない。
と思っていたら、親戚のおじさんのエイが江井我島港の番人を1千年続けていたそうで、
その年金善徳で示談金を支払うという。
池内剣「極悪人だな!」
池内忍「自分で働いて支払え!」
と池内系たちは怒っていたが、お前らも私の部屋で一日中ゲームしたり漫画したりして、
全然働いてないけどな。
「それならば、示談は拒否するんだな。」と智伯が言うと、
全員「善徳もらうほうがいいから示談にする。」と即答した。
これで滞納した税金善徳も支払うことができて、今年の年末は池内系たちも
ゆっくり何の心配もなく過ごせるなとおもっていたら、池内系たちは
さっそく手に入れた善徳で、ゲーム買ったり雑誌買ったりして、瞬殺で散財していた。
他の人間に憑依しているタルパが憑依主がもっていて、読んだ漫画やプレイしたゲームの
念をもっているので、それを自分がもっている善徳と引き換えに譲り受けるのだ。
本当に、こいつら、マンガとかゲームとかファッション誌とか小物とか好きだな。

タルパの感情


池内慶の行動にはいくつかの矛盾点を感じました。
池内忍がグレてファーストキッスをするから、
私に自分が好きな戦国武将を演じさせてキスしようとしたときは、
全然やきもちを焼かなかった。
でも、よそから来た霊体には激怒して、大変な敵愾心を燃やしたりもする。
とくに、私の心が他の霊に移らないように必死で防衛しようとする。
この違いは何なんだろうと思って少し聞いてみた。
すると、タルパは私たち人間とは少し違った価値観をもっていることが分かった。
池内慶は同じ池内系の仲間が私と仲良くしても何とも思わないようだ。
いやむしろ、池内系の誰かが私と仲良くすることによって、
自分にもその愛情のエネルギーの何割かが流入する仕組みのようにも
感じる。魂の内でつながっているのだろうか。
それに対して、よそから来た霊に私が愛情を移してしまった場合、
どうも余所の霊系とは共存できないようだ。
気をつけないといけないのは、どこか余所にあるような稲荷の祠などで
現世利益を願って手を合わせたりしないでほしいと希望されたことだ。
別に相手が女性の格好をしているかどうかは関係なく、
現世利益信仰や新興宗教をこいつらは極端に敵視している。
絶対にそうした宗教には入らないでほしい。自分たちと別れたくないのなら、
絶対にやめてほしいと言われた。
ライバルはジャッカルとキツネさんとゾウさんと台所の黒いのだと言っていた。
詳細まではわからないが、タルパは時々比喩的な事を言う。
また、タルパは食事をする。
神社や仏壇などに供えられているものを隙をみて、つまんで食べたりする。
仏壇や神棚などは神聖な場所なので、あまり手だしはできないようだが、
そこに運ぶ前や、古くなっておろしてきたものなどを狙って食べる。
これに関しては、智伯や藤子さんはお供物を食べないので、
次元の違う存在なんだろうなと思う。
それから、もし私が結婚したりした場合は、人間の女性に対しては、
嫉妬するのかというような話を聞いた。
すると、池内慶はすこし伏し目がちになって「嫉妬はしないよ。」と言った。
横から池内忍が「嫉妬とかするか、うるぼれんな、バーカ。」とか言っている。
お前が嫉妬するわけないことは分かっている。
それからしばらく、池内慶がアンニュイな感じだった。
そして、どこから持ってきたのか、琵琶をもちだしてきて、それをかきならしながら
月を見ながら歌っていた。
「でんでらりゅうば でてくるばってん でんでられんけん
でーてこんけん こんこられんけん こられられんけん こーんこん」
よく意味は分からないが、何回も歌っていたので私もセリフを覚えてしまった。

ゲイラカイト

「とべー!とべー!天までとべー!」
と池内慶が歌いながら手にゲイラカイトを持ちながら走りまわっている。
私と目があうと、「ゲイラカイト飛ばしに行こうよ!」という。
ゲイラカイトという三角形のタコがある。
アメリカ製で普通の凧よりも安易に上昇するのが特徴だ。
本当に昔発売されていたもので、現在でも残っているのかさだかではない。
当然私は持っていないが、私の心の中の思い出を池内慶がほじくりかえして、
ゲイラカイトを発見して、あそびたくってウズウズしているのだ。
でもなあ、「無理だよ、たぶんこの時期は親子連れが公園に行って沢山凧揚げしているから、
子どもたちの黄色い元気な思念にかき消されて、お前らの持っている凧の思念なんて、
一瞬でかき消されてしまうから。」
私がそう言うと池内慶は「それでもいいもん!みんなが揚げてる凧を見るもん!」
と言ってきかない。
しかたがないので、近所の広い公園に行ってみる。自転車に乗って、広場のある方向に向かう。
誰にも人に会わない。
おあしい。
大きな池のほとりを通りかかると、一人、おじいさんがポップコーンを一粒ずつ池のアヒルにあげていた。
きっと子供たちとお父さんは凧揚げのできる広場に密集して行ってしまっているから、
この池の周囲はご老人しかいないんだろうな。
そう思いながら池のほとりを通り過ぎた。
そして、凧揚げのできる広場に到着。
「あ」
私は、その場にしばらくたたづんでいた。
池内慶がうれしそうに私をゆすった「やっほーっ!誰もいない!凧揚げできるよう!」
そう、誰もいない。
「・・・・・・あ、そうか、少子化なんだ、それに今の子供は凧揚げやベイゴマやメンコなんて
やらないんだった。家に籠ってゲームするんだった。」
私が子供の頃はこの広場は凧揚げする親子連れで埋め尽くされていたのに。
私のお父さんに聞いても、お父さんもこの広場で凧揚げしたという。
蝉取りもしたという。
何代も何代も繰り返されてきた風景、何代も何代も遊び続けられてきたオモチャ。
でも、ここにはもう誰もいない。
「凧揚げやるろうよう!」池内慶が嬉しそうに言った。
その後ろに池内忍と池内剣がゲイラカイトを持って待っていた。
池内慶のゲイラカイトは白で巨大な目玉がついているやつ。
池内忍がもっているのは黒で小さな目玉がついているやつ。
池内剣が持っているのは、白と赤のツートンカラーで少し高級なやつ。
「・・・・・やろうか。」そう言うと、
池内慶は「やっほーい!」と言って、私の思い出の中の幻のゲイラカイトをあげはじめた。
池内忍も池内剣もあげはじめた。
順調に凧は揚がっていく。
はた目からみたら、シバフの上でぼけーっと突っ立ってる男が一人。
人がみたらきっと不気味なことだろう。だけど、だれもいないからいいや。
池内系たちもよろこんでいることだし。
ちょっと胸がキュンと縮んだ感じがした。
「オラオラ!覚悟しなさい!」そう言いながら池内忍は、勢いよくゲイラカイトを急上昇させて、
池内慶のタコ糸をプチッと切った、池内慶のゲイラカイトは糸が切れて遠くどこかに飛んで行く。
「なにすんのよ!」怒って忍を突き飛ばす。
ああ、調子にのってやったことある。私も馬鹿な子供だった。父にこっぴどく叱られた。
池内慶と池内忍が掴み合いしているあいだに池内忍のゲイラカイトもどこか遠くに
飛ばされていった。
池内忍「ああ・・・・私のゲイラカイトが」
お前のじゃないけどね。
ゲイラカイトが無くなってしまって池内慶と池内忍はシラケてしまった。
池内剣だけは調子に乗って「やっほい!」と言いながら、激しくゲイラカイトを急上昇と急降下を
繰り返しながらアクロバット飛行させている。
「ねえねえ、剣ちゃん、もう帰ろうよ、つまんないよ。」池内慶がそう言うと剣は
「やだね、俺ものすごく楽しいもん。お前だけ帰れよ。」と言った。
池内慶はプーッと頬を膨らませた。
池内忍は完全にやる気をなくしてシバフにねっころがって、揚がっているゲイラカイトに背を向け、
大あくびをしている。
「おもしれー!」と高揚しながらゲイラカイトのアクロバット飛行を繰り返していた池内剣だが、
急降下から急上昇に転じたとたん、ボキッ!という音がして、ゲイラカイトの中芯が折れて、
カイトはみじめに地面にベチャッと落ちた。
「ああー・・・・・・、俺のカイトが・・・・・。」池内剣は半泣きになりながら折れたゲーラカイトに
近づいてそれを拾い上げた。折れたカイトはしだいに薄くなって消えてしまった。
小学生の時、父親にゲイラカイトを買ってもらった。
地下のダイエーの食料品売り場にパチモンのゲーラカイトが300円で売っていたのに、
父がそれを買ってやると言ったのに、私は納得せずにおもちゃ屋さんで正規品の千円のゲイラカイトを
買ってもらうことにした。
「大事にするんだぞ。」と父は言った。そして私は「うん!絶対に大事にする!」と言って
大切にあそんでいたが、そのうち、他人のタコ糸を切ってしまい、親に大変怒られるは、手を
離してしまい、遠くまで飛ばされてしまい、たまたま他の人の凧にひっかかったので、その人に
私の父がお願いして、凧をおろしてもらって、ゲイラカイトを取りも出したり。
色々なトラブルがあったが、トラブルがあるたびに、私はゲイラカイトが好きになっていった。
しかし、結末はあっけなかった。
私は自分のゲーラカイトを過信するあまり、アクロバット飛行をくりかえし、あげくのはては、
中芯が折れて地面に落ちた。
あとでガムテープで補修したりしたが、二度とゲイラカイトは飛ぶことはなかった。
大事にすると親に誓って、機能的にはたいして変わらないのに、高級品を買ってもらった手前、
親には非常に悪いことをしたなという罪悪感が心に残った。
私は、涙目になった池内剣の所に行き、肩をポンと叩いて言った。
「気にするな、形あるものはいつかは壊れるんだよ。」
池内剣はふりむいて、かなしそうな、すまなさそうな顔をしながら「・・・・・うん」とつぶやいた。
私がかけた言葉、それは、私の父が私に言ってくれた言葉だった。
だれもいない帰り道、池内系たちはしょぼんとしてトボトボ帰った。
「しょぼくれるなよ、十分楽しかったよ、すごくいい思い出になったよ。」私はそう言った。
それで池内系たちもいくぶん元気になった。
帰り道、一人でベンチに座って、誰とも話さずじっと池を見つめている老人が何人もいた。
老人しかいない。
子どもたちはどこに行ってしまったのだろう。
そうか、家でゲームしてるんだな。
「また凧揚げにこようね。」私がほほ笑みながら池内慶に言うと、
池内慶は「うー・・・・」といいながらぐずって、私の服で涙をぬぐった。
池内慶がすこし可愛く思えた。
それを見ていた池内忍が涙目で私の側によってきて、私の服の袖を手にとって、
チーン!と鼻水をかんだ。
おっと、そこまでだボケナスども。これ以上調子に乗るな。

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