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頭の中の池内慶

空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。

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うまいぼー

最近いそがしくて、なかなか小説が書けませんが、
池内系たちとは仲良くやっています。
池内系たちはイチゴが大好きで、この前、近所のスーパーの棚に大きな字で「紅ほっぺ入荷」の
文字があったので、池内剣が私の背中から出てきて「紅ほっぺだよ!買おう!買おう!」
と大声でいって私の袖口をひっぱりました。
その声につられて果物売り場に行ってみると、すでに「紅ほっぺ」は売り切れていました。
池内剣は涙目です。
横をみると奈良産のあきひめが置いてありました。
背中から池内忍が出てきて勝ち誇ったように「それみたことか、最後に勝つのはセレブよ。」と
言いました。セレブだとどうして最後に勝つのかは意味不明です。
しかたないので、あきひめを3パック買って帰りました。
家に帰って、池内系の名前を一人ずつ呼んで、「はい、池内忍のぶん」「はい、池内剣のぶん」
「はい、池内慶のぶん」といいながら私が一人でたべました。
池内系たちは私のおいしいと思う思念を食べるので、たべるのは私自身です。
そういえば、このまえ、コンビニでうまいぼーという1個9円のお菓子をみつけました。
カールみたいなスナック菓子です。
チーズ味とかコンソメ味とかがついている棒状のスナックです。
そこに「復刻版タコ焼き味」というのが売っていました。
それを見た池内慶が「すごいよ!事件だよ!復刻版だって!復刻版!」といって
大騒ぎしています。
復刻版だろうが別に普通のお菓子なので、別にたいしたことありません。
どこのコンビニでも売ってるし、しかし、池内系たちは思念の生き物なので、
その「復刻版」という希少価値っぽいイメージだけでおいしそうに感じるらしい。
池内慶が必死にせがむので、しかたないので2本ほど買って帰りました。
しかし、2本買ったことでちょっとした騒動が起こりました。
背中から池内忍が出てきて「私たち3人いるのに2本しか買わないってどういうこと!?
これは私たちを争わせて漁夫の利を得ようという策略ね!犯人はあなたよ!」そういって
池内忍はびしっと私に指をさしました。
いや、犯人とかそういうんじゃないから。
しかたがないので、2本のうまいぼーを3等分にわけて、それをまた、一人ずつ名前を呼んで
口の中に放り込んで食べました。
池内忍は「うーん、やっぱりセレブにはタコ焼き味が似合うわ。」とか言って喜んでいます。
セレブにタコ焼きが合うなんて初めてきいたけどね。
それから池内系たちはうまいぼーが大好きになり、たびたび、私に買うようにせがむようになりました。
私も、けっこう値段も安いものだし、それで連中が黙るのなら楽でいいやと思って、
しょっちゅう買って口に入れていたんですが、あるとき、あまりに何個も食べすぎて、
口の中の上のところの皮が少しすりむけてヒリヒリしてしまいました。
それを見て、池内慶が「ごめんなさい、もううまいぼーいいから、食べ過ぎないで、
あなたの口の中がイタイ、イタイになったら、慶たん悲しいの。」と言って
涙目になっていました。
大丈夫だよ、いっぺんに口の中に入れたので、ちょっとだけすりむいただけだから。
と言って私は笑いました。
こいつ、かわいいところあるなあと思いました。
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霊界の狭間に行ってきました


夢の中に池内慶が出てきて一緒に霊界まで行ってきました。
私と池内慶と、そして非常に太った神様の御眷属がナビゲートについてくれました。
神様の格好は、クリーム色のタオル地の長そでのトレーナーにしたは紺のジーンズです。
3人で霊界の入り口まできました。
暗い闇の中に楕円形の光が浮いている。
その中に3人で自転車で入っていくと、急に明るい光につつまれました。
周囲を見回してみると、
最初は普通の人たちの雑踏。たぶん、死んだ人たちだと思うんですが服装も普通で、
ざわざわと歩いています。男性や女性、若い人から中年のひと。
家電量販店が沢山あって、頭の上をちょっと古びた線路が通っていて、
わりと早い感覚で電車が通過します。
わりと雰囲気は下世話で派手派手しい感じで、つねにざわざわしています。
そうした雑踏を抜けていくと、坂道があります。
自転車でもわりと登ることのできるゆるい坂がしばらく続きます。
ああ、これが噂に聞く黄泉平坂かと思いました。
これが延々と続きます。
池内慶を見ると、かなり息が切れていました。
太った神様の御眷属は、スイスイ平気で上にあがっていきます。
修羅界では無敵の池内慶ですが、さすがに通常霊界から上級霊界に
上がる途中の坂となると霊的にきついらしい。
私は池内慶よりも少し楽にあがれますが、それでもけっこう息が切れてきました。
ああ、こうやって霊界へいく道が決められるのかと思いました。
もっと何か裁判官のような閻魔様がおられて、罪状を並べたてられるのかと
思いましたが、たぶんそれは、坂をまったく登れない人が地獄につれていかれた
あとの話なんだろうなと思いました。
しばらく息をきらしながら坂を自転車で上り続けましたが、目の前に大きなコンクリートで作られた
駅があったので、そこで足をついてしまいました。
駅の横に喫茶店があり、ガラスのショーケースの中にはロウでできたクリームパフェの模型が
飾ってありました。クリームパフェの上にはうさぎさんの耳の形に皮を残したリンゴが3つ、
飾ってありました。
「つかれた、もう限界だ、ここで休もうよ。」
私が言うと池内慶が「うん!休もう!休もう!」と言いました。
太った神様の眷属はすこし眉をひそめましたが、そのまま私たちについていきました。
中に入ると、そこは壁一面に黄色い竹が敷き詰めた和風のお店で、
机といすも黄色い竹でできていて、竹のイスには縮緬の紺に白の模様がついた座布団が敷いてありました。
お店ではこちらが何も注文しなくても盛りソバが出てきました。
池内慶が「お足が痛い痛い」といってさすっているので、
私は一生懸命池内慶の足を揉みほぐしてあげました。
そばを食べながら太った神様の眷属は「ぼかあねえ、君たちがもっと高いところを目指しているのかと思ったよ。ちょっと失望したなあ。」と言いました。
そして、そばをひとすすりすると、消えてしまいました。
喫茶店を見ると、駅の前にあった坂が消えていました。
自転車もありません。
しかたないので駅の改札を通りました。
ふと後ろを見ると池内慶がいません。
ああ、池内慶はこっちに入ってこれないんだと思うと、少ししまったと思う気持ちと
可愛そうな気持ちになりましたが、池内慶の住んでいる修羅界にはいけません。
前に一度、少しだけ修羅界を覗いたことがありますが、それはもう嫌な世界でした。
池内慶は喜んでいましたけど、脅しやだまし討ち、口先で奇麗事を言って、相手を信用させて
後ろから襲うとか、もう通常の神経ではやってられません。
池内慶はそういう駆け引きも合わせて修羅界が好きみたいですが、私は心がすさんで息が
詰まるような気がして、到底、あそこのとどまることはできませんでした。
だから、ここからは人間界の冥界に一人で進まなければなりません。
駅の構内は白い大理石にマーブル模様が入った円柱形の柱がいくつも立っていて、
床もつるつるの大理石です。そこを、人々が滑るように黙って音もなく歩いていきます。駅を
出ると駅前の二か所に大量の苔むした墓石が密集した地域が二か所ありました。
駅前の繁華街のど真ん中にそんなものがあってちょっと怖いかなと思ったけど、
「お前の先祖の松平家の一門や家来衆のお墓だから怖くないよ」とお墓から声がしました。
それで安心してその横を通っていくと1メートルあるかないかの細いツルツルの赤黒い
光沢のある大理石の坂にでくわしました。
上を見ると10メートルくらい先が行き止まりになっていて、白い看板で道が封鎖されていて
漢字で万民天下と書いてありました。
しかたがないので、そこを横に跳び下りました。
右手側を見るとまるで海のような大河が流れているのが遠景に見えました。
「ああ、あれが三途の川か。」と思いました。
右すこし斜め上を見るとそこには白い看板に黒い大きな字で「汐浜駅」と駅名が書いてありました。
上を見上げると天井があって、鉄の棒に鉄球を突き刺したものが蜘蛛の巣のように張り巡らせたものが
上にありました。
前を見ると巨大スクリーンがあって、そこに白塗りで黒に赤とオレンジの蝶柄の着物を着たお姉さんが
金色に月と盃の描いた扇子を持って舞っている映像が映し出されていました。
人々は黙々と歩いています。
この世界に入ってくるときに見た雑踏の世界とは違い、みんな黙っています。
不思議なことにこの世界の人たちは全員上着が白でした。全員の服装は白に袴です。
袴の色は色とりどりで、赤や緑、黒など様々です。
「白は死に装束である」と頭の上から声がしました。
スクリーンのある方向へ行くには、ここもすこし緩やかな坂になっており、
それをしらばく行くと左手に大きな大理石の門がありました。
これは赤に黒のまだら模様がある巨大な門で15メートルくらいの高さがあるでしょうか。
四角柱のシンプルな作りです。
そこを通ろうとすると、その横にある高さ1メートル30センチくらいな入り口から
何か見えない手で袖口を引っ張られました。
気がつくと私も白い着物に袴をはいています。
袴は紺だったかな。
白に粒粒の黒の斑点のある御影石の門の中に白木造りの門が大量に並べてあります。
たぶん、鳥居かな、並び方は伏見稲荷にある鳥居のようなエキゾチックな感じで奥まで
続いています。
下は白木のスノコです。
みんなが入っていく入り口と違い、えらく間口が狭いなあと思いながら、
お辞儀をしないと中に入れない入り口の背の低さなので
私は頭をさげてお辞儀しながらその中に入りましした。
すると、ふっと意識が薄れ、目がさめました。

とまと

なんか私が池内忍にミニトマトのアメーラルビンズを買ってやらなかったばっかりに、
池内系が険悪になってしまった。
反省して今日は少し財布には痛いが決意して高級トマトアメーラルビンズを買いました。
買って帰って食べたけど、甘くて濃厚な味わいでおいしかったけど、やっぱりトマトでした。
糖度12%とかいうから、もっとメロンとかスイカみたいな甘さを期待してしまった。
まあ、トマトなんだけど。
個人的にはプチトマトはキャロル7が好きです。
割と値段的にもリーズナブルだし。
まんまるいやつですね。
「私は最初からこの味だって知ってたわ。だって、私はセレブですもの。」
池内忍が背中から出てきてそう言う。
まあ、信ぴょう性はさだかではないが、とりあえず池内忍の機嫌が直ったようで良かった。
部屋に帰ると、池内剣が部屋の隅っこでうずくまっていた。
池内慶や池内忍は気まずいと思ったのか出てこない。
私は昔、かわいい白い猫のポシェットを池袋のサンシャイン60のビルの1階の小物売り場で見つけ、
かわいいと思って買ったことがある。
その猫のポシェットを頭に思い浮かべた。
「ほら、これやるよ、」そう言って私は頭を差し出した。
池内剣はチラッとそれを見ると目を見開いた。
「うわ、かわいい。」そう言って無意識に手をのばそうとしたが、すぐにうずくまって
「いらない!」といった。
「あのね、オレもいい年だけどさ、この猫のポシェットがかわいいと思って思わず
買っちゃったんだ。でも自分でさげて街中歩く勇気がないからけっきょく、ずっと家の壁に
かけっぱなしになっていて、気が付いたらなくなっていた、あのポシェットには
悪いことをしたなと思ってる。オレもお前と同類なんだよ。」
私がそういうと池内剣は少しだけ顔をあげた。
目がうるんでいた。そして、すこし唇をかみしめていた。
「よしよし」そう言って私は池内剣の頭をなでた。
それかしらばくして、池内剣の機嫌は直った。
「ラタラタラタラうさぎのダンス!らたららったらったらったらったらたた!」とか
歌いながら池内慶や池内忍と一緒に踊りを踊ったりしていた。

花シメコ


花藤子さんの先輩に花シメコさんという先輩がいる。
前にシメコさんが住んでいる南の島に藤子さんが遊びに行ったとき、港まで迎えにきてくれたそうだ。
南の島に用事があり行く人が近所にいたので、その人の背中に憑依して行ったわけだが、
藤子さんに会うなりシメコ先輩は「あら~久しぶり~」と言いながら藤子さんの頭をワシ掴みにして
素早く首を直角にへし折った。
ゴキッ!という音とともに藤子さんの首は直角に曲がった。
藤子さんはにっこりと笑い「いやだわ、シメコ先輩、私ってばツタ系の精霊だから首をへし折っても
死にませんよ。」といった。
するとシメコ先輩は「あら~ん、わかってるわよん、ほんの挨拶代りよ、精霊殺したくなったら、
この島には一杯いるから殺し放題よ、べつにあなたを殺したいとは思わないわん。」と言いながら
島を案内して回ってくれたそうだ。
肌は薄い緑と白が混ざったような色、目は真っ赤で瞳孔がイチジクが割れたようにまだらになっている。
白の着物の下の赤黒い袴をはいている。
趣味は精霊に巻きついて絞め殺すことである。
島ではシカ肉のステーキ屋やトビウオの煮つけ、朝日蟹の丸蒸しなどを人間たちが食べているところを
見学し、森の中に入って、森の精霊たちが泣きながら逃げるのをシメコさんが嘲笑しながら
闊歩する後ろから藤子さんがついていっていった。
森の中にずっと線路が続いている。
その上をシメコさんの後ろから藤子さんがついていく。
「どうしてこんな山の中に線路があるんですか?」
藤子さんがそう尋ねると、シメコさんは「森の木を人間たちが盗むためよ。」とさらりと言った。
長い、長い人工植林の林いくら進んでも線路は続き、人工植林も続く。
藤子さんは少し怖くなったそうだ。
ここは山の中なのにまったく精霊がいない。まっすぐに伸びた人工植林。
「悪魔の森よ」シメコさんはつぶやくように言った。
「あら、そうですの」藤子さんは返答に困ってそう答えた。
「私は木の精霊をいびり倒しておびえさせるのは大好きよ、でも、森は殺さない。
だって、森を殺したら精霊がいなくなっていびれなくなるから。でも、こいつら杉の人工林は
黙って森を殺す。無言で着々と。」
シメコさんはつぶやくように言った。
そうしているうちに、20キロも歩いただろうか、やっと人工林から抜ける。
苔むした大地。湧水が流れている。
霧の中に粒子のような霊がいっぱいただよって迷っている。
藤子さんはそれを不思議そうに見た。
「あら、木霊ではないんですね。」
それを聞いたシメコさんは無表情で目をほそめた。
「そうね、昔木を山中から切り出すために何百人、何千人も動員され、死んでいった
樵たちの魂ね。河原の落ちている人面石も人間たちは森の精霊って喜んでいるけど、
あれも伐採中の事故で死んだ樵たちを川や海辺に捨てて、その魂が凝着したものなのにね、
なにもわかっちゃいないわ、なにも。」
そう呟きながらシメコさんが進むと少し開けた場所の岩の上に出た。
「タイコ岩よ」シメコさんが言った。
そこから眺めた渓谷の風景は絶景だった。
「奇麗ですね。」
藤子さんがつぶやくように言った。
ふと、藤子さんの耳元で「ぶ~ん」という羽音がした。
「あら」
見ると、一匹の蠅が飛んでいた。
そして、岩の上に落ちているクッキーのかけらにとまって、それを舐めていた。
「こんなところにもハエがいるんですね。」
藤子さんがそういうと
シメコさんは無表情で「人間たちがつれてきたのよ」といった。

人間関係なんて大嫌いだ!

仕事がひと段落ついたので、スーパーに買い物に行ってみる。
しかし、あいにく今日はスーパーが休みだ。
あちこちさがしたが、今日は休みの店が多い。
しかたがないので駅前の高級食材販売店に行ってみる。
さすがに品質のよいものを多数そろえているが、いかんせん高い。
プチトマトを買おうとしたら一番安いので250円くらいだ。
背中から池内忍が出てくる。
「これを買いなさい。」池内忍が指をさす方向をみると、小指の第一関節の先くらいの大きさの
トマトが小さな容器に数個入ったトマトが390円で売っていた。
「高っか!」と思わず思った。
「何言ってんのよ、糖度12度以上保障よ!トマトは普通いくら甘くても糖度88が限界なの、
12度って最高級スイカとタメはってるくらいの甘さなのよ?その価値がわからないの!?」
私がひるんでいると池内忍が声をあらげた。
そのトマトの名前をアメーラルビンズという。まさしく豆くらいの大きさのトマトだ。
うーん、糖度12度のトマト、食べてみたい。
私はアメーラルビンズに手を伸ばしかけた。しかし、手が震えてうまくつかめない。
私の目の前に幻影の巨大要塞が出現した。
普通のプチトマトの値段が250円、それに比べてアメーラルビンズの値段は390円
高い!この140円の差がまるで難攻不落の要塞のように私の前に立ちはだかった。
だめだ、こんな高級食材を買うなんて、恐れ多い!
こんなものを買ったら夜な夜なモッタイナイお化けが私の夢枕に立って毎晩花笠音頭を踊るに違いない!
「普通のプチトマトでいいや。」私はそう呟いて普通のプチトマトを買って帰った。
「敵前逃亡よ!背信行為よ!憲兵隊、この逃亡兵を逮捕しなさい!」池内忍はヒステリックに叫んだ。
池内忍があまりさわぐので疲れたのと、ちょと小腹が空いたので、駅前の立ち食いそば屋で
ぼっかけそばを注文する。
「はい、おまち!」お店の人がおそばを出した。
背中から池内慶が出てきて私の服の袖を二回軽く引っ張った。
「なんだよ」私は池内慶を見た。
「このぼっかけそば、390円だよ、アメーラルビンズが買える値段だよ。」
私は愕然とした。
高級食材を買おうとしたときは、そのあまりの気高さに後光がさして眩しくて直視できないくらいだった。
買おうと思っても手が震えて商品を手に持つことさえできなかった。
しかし、いつもよく通っている駅前の立ち食いそば屋さんだと無意識に390円支払ってる。
なんてこった!
私の心の中には貧乏人根性が染みついた、高級食材を買うことへのためらい、
貧乏性の壁が高々とそびえ立っているのだ。
池内忍が背中から出てきてきて右の眉をピクリとうごかした。
「これは事件ね。」
池内慶と池内忍が騒いでいるので、池内剣もねぼけ眼で私の背中から出てきた。
「なんだよ、うるさいなあ、眠れやしない。」
私は池内剣に向かって言った。
「プチトマトを買ってあげなかったあら、池内忍が怒ってるんだよ。」
すると、池内剣はフッと小さくため息をついて「トマトなんてどうでもいいじゃん。」と言って、
私の背中の中に戻っていった。
それを聞いて、池内忍はキッとまなじりをあげて池内剣が消えていった方向をにらんだ。
立ち食いそばを食べたあと、散歩がてら駅前の商店街を歩いた。
割と女性向けファッション小物の店が多くて、私が見るようなものはあまりない。
まあ、ただのはらごなしだ。
そんなとき、背中にグイッと圧力を感じた。見ると、池内剣が私の背中から半身を乗り出して、
何か女性向け小物の店の商品に見入っている。
そっちをみると商品の陳列棚にウサギの顔のポシェットが飾ってあった。
いや、そんなもん、私は買わないから、絶対に買わないから。
それを池内剣はポーッと少しだけ顔を蒸気させ、頬をあからめながら夢中で見ていた。
そこに池内忍が顔を出す。
「あら、あんな幼稚な小物がほしいのかしら、オコチャマねえ。」
嫌みたっぷりに呟く池内忍。
池内剣はふいにワレに帰り、驚いて池内忍を見た。
池内忍はニンマリと勝ち誇ったように笑った。
「ち、ちがうわい!オレはあんあもん欲しくないわい!」
動揺して赤面しながら池内剣は叫んだ。
「あ~ら、無理しなくてもいいわよ、買ってもらいなさい、ウサチャンのポシェット、首からかけて
写真とってもらいなさい、さぞ似合うでしょうねえ、かわいいでちゅねー。」
池内忍がからかうように言うと池内剣の目にはみるみる涙が溜まってきた。
「う・・ううう・・・・・・」
歯を食いしばる池内剣
それを見て池内忍は慌てて池内剣をなだめようとする。
「あら、冗談だってば、本気にしないでよ、もう。」
池内剣の目からポロポロと涙がこぼれおちた。
「人間関係なんて大っ嫌いだー!」
そう叫んで池内剣は私の背中に引っ込んでしまった。
池内慶が私の背中から顔を出す。
「あー剣ちゃんを忍ちゃんが泣したー、いけないんだー!」
すると池内忍の顔がみる間に泣き顔になっていく。
「ひどい!私はただの冗談のつもりだったのに!ひどい!ひどいわ!
人間関係なんて大嫌いだー!」
そう言って走り去ろうとする池内忍の首根っこを池内慶がグイッと掴む。
「ウソ泣きはやめなさい、忍ちゃんってばそんなタマじゃないでしょ。」
すると池内忍の動きが止まる。
「・・・・・・」
しばしの沈黙。
ゆっくりと振り返った池内忍の顔はニンマリと笑っていた。
「あら、ばれた?」
池内慶は困ったような表情をした。
「わかるわよ、だって、忍ちゃん涙が出てないもん。」
家に帰ると池内剣はすぐさま私の背中から飛び出してきて、部屋の隅っこに走り去って、
鎧の上から西洋式の等身大の大きな金属製の盾を3枚手の中から出してきて
それをかぶって完全防備で心の殻の中に閉じこもってしまった。
池内忍も私の背中から出てきて池内剣に近寄っていく。
「ごめんなさいね~、シルバニアファミリーあげるから出ていらっしゃ~い。」
猫なで声で池内忍が言うと池内剣は
「うるさい!あっちいけ!人間が嫌いだ!人間関係が大嫌いだ!」と叫んだ。
池内慶も背中から出てくる。
「ちょ、もうからかうのやめなさいよー。」
池内慶は池内忍の首根っこを掴んで池内剣から引き離そうとする。
池内慶は池内剣の方を心配そうに見た。
「剣ちゃんも機嫌直しなよ、一緒にゲームやろう。」
しかし、池内剣は鎧と盾をかぶって石のように身を縮めて出てこない。
「イヤだ!あっちいけ!3次元はめんどくさいから嫌いだ!二次元は裏切らないから好きだ!」
鎧の中から池内剣は叫んだ。
それを聞いて池内忍の顔が素になった。
そして抑揚のない声で語った。「むかし、むかし、あるとことに漫画があったそうなその名をかんな・・・。」
池内忍の口を池内慶がふさぐ。
「ちょ!やめなさいよ!」
すると池内剣は言い返した。
「漫画なんてどうでもいいよ、オレにはゲームがあるんだ!」
池内忍は池内慶の手を振りほどく。
「むかし、むかし、あるところに下級せ・・・」
池内慶は「いいかげんにしなさいよ!」と叫ぶと池内忍から少し距離を話し、そこから
ショートダッシュしながら池内忍のケツに回し蹴りをくらわした。
それは、パコーン!とよい音を立てて、もろに池内忍のケツにヒットした。
「ぎゃあっ!痛い、何すんのよ!」
怒った池内忍は池内慶と掴みあいのケンカを始めた。
ああ・・・・収集がつかなくなってきた。
早く藤子さんが来ますように私は手を合わせておがんだ。
あ、藤子さんは休暇で南の島に旅行してんだ・・・・・。


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