スーパーにお買い物です。
最初は慶ちゃんたちにせかされるままイチゴ売り場へ。
ちっこいイチゴばっかりだったのでスルーする。
いくらやすくても小さくて酸っぱかったら食べないよね。
母から頼まれていた新たまねぎやいんげ豆を買う。
そのあと、先に進もうとすると慶ちゃんが声をあげる。
「あれを見て!」
慶ちゃんが指さす方向には古くなった特価品の野菜コーナーがあった。
そこを見てみると、多少痛んだイチゴが売っていた。
紅ほっぺが258円、あま王が298円、相場だと398円とかするものだからかなりやすい。
早速買ってあげた。
慶ちゃんと剣ちゃんが紅ほっぺ、忍ちゃんがあま王を貰った。
そのあと、母に頼まれていたチーチキンLを買って帰ろうとする。
「チーズは?」
慶ちゃんがつぶらな瞳でこちらを見ている。
しかたないので、慶ちゃんに裂けるチーズを買ってあげた。
「ごらんなさい、キリーのクリームチーズがやすくってよ」
忍ちゃんが言う。
見てみると昨日238円だったクリームチーズが198円になっている。
「剣ちゃんはー!」
剣ちゃんが叫んだのでなにかやすいものはないかと物色する。
すると、ふるくなった果物の処分棚に78円でバナナが売っていた。
一房78円である。
ジュース用バナナと書いてあったが、食べるのに何の遜色もない。
一時期、バナナダイエットがはやったときには一房600円とか
鬼畜な値段で売っていたが、ブームが去ったらこんなもんだ。
慶ちゃんと剣ちゃんが「ばななん、ばななん、ばーなあなん」と喜んで歌っていた。
さて、帰るとするか、と思って帰りかけると慶ちゃんが私の前に立ちはだかる。
「なに?」
「今日は子供の日だよ」
「それで?」
「子供の日は柏餅かわないといけないんだよ!」
「でも、柏餅一つかったら、三柱分かわないといけないでしょ」
「一つのパックに三つ入ってるのでいいよ!」
「ほんとに?」
「特別な条件があるけどいいよ!」
慶ちゃんは言った。
特別な条件というのは仏壇か神棚に供えるということらしい。
そうしたら、慶ちゃんたちが食べられるらしい。
「わかった」
私は柏餅を買って家に帰って仏壇にそなえた。
そして線香をあげた。
「あー!線香あげちゃだめだよ!」
慶ちゃんが私の後ろで叫んだ。
「なんで」
だって、線香あげたら、ご先祖様にあげたことになっちゃうじゃん。ご先祖様に見つかる前に
こっそり食べようとしたのに!」
あー慶ちゃん悪いこと考えてる。
「ざんねんだったね」
私は笑った。
次の日、慶ちゃんが大騒ぎしている。
何の騒ぎかと思って聞いてみると、なんでも裂けるチーズが148円になっているらしい。
「そんなのいいじゃん、もう昨日買い物にいって買う物ないよ」
と言ったが、どうしても148円の裂けるチーズがほしいらしい。
チーズがほしいわけではなく、そこまで割引になったお得感をたのしみたいらしい。
精神エネルギーだけに。
しかたないので、わざわざ日曜日、裂けるチーズだけを買いにスーパーまで行った。
裂けるチーズナチュラルと裂けるチーズスモークを買った。
「ちょっと!私へのお供物はないわけ!」
というので忍ちゃんには100円の天津甘栗を買ってあげた。
(忍ちゃんの好きなカマンベールチーズとか高いし、前日クリームチーズ買ってもうチーズしばらく買わなくていいし)
「なぜ、天津甘栗なの?あなたは貴族に対する扱いを知らないとみえるわね」
毅然とした態度で忍ちゃんが言った。
「いや、忍ちゃん貴族じゃねえし」
私はあきれていった。
冷蔵品売り場の横を通ってると、小さな女の子が2割引のフルーツ牛乳を手に取ろうとしていた。
「だめよ、それ古いから、割引の付いてないのを買いなさい。高くてもいいから」
おかあさんがそれを止めていた。
「なんだとー!この大金持ちメー!」
慶ちゃんたぶんぷん怒って飛び跳ねていた。
その横をおばさんが通りかかる。
そのご主人らしき人がおばさんに声をかける。
「あ、あと、醤油かわないとけいないよね」
「しょーゆーこと!」
おばさんが答えた。
「はっ!」
その言葉を聞いて慶ちゃんたそちらを振り返る。
「しょーしゅーことー!しょーゆーことー!」
と言いながら飛び跳ねた。
ご機嫌なようでなりよりです。
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