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頭の中の池内慶

空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。

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チーズショック!

スーパーにお買い物です。
最初は慶ちゃんたちにせかされるままイチゴ売り場へ。
ちっこいイチゴばっかりだったのでスルーする。
いくらやすくても小さくて酸っぱかったら食べないよね。
母から頼まれていた新たまねぎやいんげ豆を買う。
そのあと、先に進もうとすると慶ちゃんが声をあげる。
「あれを見て!」
慶ちゃんが指さす方向には古くなった特価品の野菜コーナーがあった。
そこを見てみると、多少痛んだイチゴが売っていた。
紅ほっぺが258円、あま王が298円、相場だと398円とかするものだからかなりやすい。
早速買ってあげた。
慶ちゃんと剣ちゃんが紅ほっぺ、忍ちゃんがあま王を貰った。
そのあと、母に頼まれていたチーチキンLを買って帰ろうとする。
「チーズは?」
慶ちゃんがつぶらな瞳でこちらを見ている。
しかたないので、慶ちゃんに裂けるチーズを買ってあげた。
「ごらんなさい、キリーのクリームチーズがやすくってよ」
忍ちゃんが言う。
見てみると昨日238円だったクリームチーズが198円になっている。
「剣ちゃんはー!」
剣ちゃんが叫んだのでなにかやすいものはないかと物色する。
すると、ふるくなった果物の処分棚に78円でバナナが売っていた。
一房78円である。
ジュース用バナナと書いてあったが、食べるのに何の遜色もない。
一時期、バナナダイエットがはやったときには一房600円とか
鬼畜な値段で売っていたが、ブームが去ったらこんなもんだ。
慶ちゃんと剣ちゃんが「ばななん、ばななん、ばーなあなん」と喜んで歌っていた。
さて、帰るとするか、と思って帰りかけると慶ちゃんが私の前に立ちはだかる。
「なに?」
「今日は子供の日だよ」
「それで?」
「子供の日は柏餅かわないといけないんだよ!」
「でも、柏餅一つかったら、三柱分かわないといけないでしょ」
「一つのパックに三つ入ってるのでいいよ!」
「ほんとに?」
「特別な条件があるけどいいよ!」
慶ちゃんは言った。
特別な条件というのは仏壇か神棚に供えるということらしい。
そうしたら、慶ちゃんたちが食べられるらしい。
「わかった」
私は柏餅を買って家に帰って仏壇にそなえた。
そして線香をあげた。
「あー!線香あげちゃだめだよ!」
慶ちゃんが私の後ろで叫んだ。
「なんで」
だって、線香あげたら、ご先祖様にあげたことになっちゃうじゃん。ご先祖様に見つかる前に
こっそり食べようとしたのに!」
あー慶ちゃん悪いこと考えてる。
「ざんねんだったね」
私は笑った。

次の日、慶ちゃんが大騒ぎしている。
何の騒ぎかと思って聞いてみると、なんでも裂けるチーズが148円になっているらしい。
「そんなのいいじゃん、もう昨日買い物にいって買う物ないよ」
と言ったが、どうしても148円の裂けるチーズがほしいらしい。
チーズがほしいわけではなく、そこまで割引になったお得感をたのしみたいらしい。
精神エネルギーだけに。
しかたないので、わざわざ日曜日、裂けるチーズだけを買いにスーパーまで行った。
裂けるチーズナチュラルと裂けるチーズスモークを買った。
「ちょっと!私へのお供物はないわけ!」
というので忍ちゃんには100円の天津甘栗を買ってあげた。
(忍ちゃんの好きなカマンベールチーズとか高いし、前日クリームチーズ買ってもうチーズしばらく買わなくていいし)
「なぜ、天津甘栗なの?あなたは貴族に対する扱いを知らないとみえるわね」
毅然とした態度で忍ちゃんが言った。
「いや、忍ちゃん貴族じゃねえし」
私はあきれていった。
冷蔵品売り場の横を通ってると、小さな女の子が2割引のフルーツ牛乳を手に取ろうとしていた。
「だめよ、それ古いから、割引の付いてないのを買いなさい。高くてもいいから」
おかあさんがそれを止めていた。
「なんだとー!この大金持ちメー!」
慶ちゃんたぶんぷん怒って飛び跳ねていた。
その横をおばさんが通りかかる。
そのご主人らしき人がおばさんに声をかける。
「あ、あと、醤油かわないとけいないよね」
「しょーゆーこと!」
おばさんが答えた。
「はっ!」
その言葉を聞いて慶ちゃんたそちらを振り返る。
「しょーしゅーことー!しょーゆーことー!」
と言いながら飛び跳ねた。
ご機嫌なようでなりよりです。

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えひめのイチゴ

今日スーパーに行くと、380円でイチゴが売っていた。
ほかに250円でも売っていたけど、こちらはすごく粒が小さかったので
380円のを買うことにしました。
名前を見ると「あまおとめ」という品種だった。
何でも「とちおとめ」と「さがほのか」を掛け合わせた品種らしい。
包み紙に「えひめ」とかいてあるのを見て、慶ちゃんが「えひめー!」と大声で叫んでいた。
慶ちゃんはとりあえず目についたものの名前を大声で叫ぶくせがある。
前も、植木屋さんにあった花をみて「あぷてにあ!」と大声で叫んでいた。
とりあえず喜んでいるようでなにより。
「私達にも買って!」
忍ちゃんが出てきて言いました。
なので、今日は奮発して三柱に380円のイチゴを一つずつ買ってあげました。
でも、慶ちゃんは「さちのか」が欲しいというので慶ちゃんだけさちのかを買ってあげました。
そのあと、新たまねぎを買う。
鶏ちゃんはまた「たまたまねぎねぎー!」と叫んでました。
時々アレンジするんだね。
次にチーズ売り場に行きました。
いつも通りクリームチーズを買おうとすると慶ちゃんが私の前に立ちはだかりました。
「クリームチーズは油脂が多いから食べすぎ注意だよ!
今日は裂けるチーズを買って!」
と言ってきました。この子たちは本当はクリームチーズが好きなんだけど、
私の体の事を思ってくれたのかなあと思って、ちょっとうれしかった。
イチゴをたくさん買ってしまったので、もうあまり買い物をする予算が無くなってしまった。
もう帰ろうかなと思ったときに慶ちゃんがお総菜売り場で50円セールをしているのを
発見しました。
いつもは60円のが50円で売っているのです。
「すごいよ!50円でお総菜が買えるよ!」
慶ちゃんがそう言うと忍ちゃんと剣ちゃんがお総菜売り場に走っていって
目を輝かせてお総菜を見ています。
「みてみて!里芋を練ってハンバーグみたいにしてる!」
慶ちゃんが言いました。
「これがほしいの」
そう言って、私はその里芋の練り物ハンバーグを買いました。
「私はやっぱりおしゃれにミニオムレツがいいわね」
忍ちゃんが言いました。
「剣ちゃんは卵カツレツがいい!」
それぞれのお総菜を買ってあげました。
それだけ買っても150円。
やすいのでもう一つ買ってあげることにしました。
「私はババガンプシュリンプね」と
忍ちゃんが言いましたあ。どうもエビフライの事が言いたいらしいんだけど、
何が元ネタかよくわかりません。
「慶タンはうずらたまごー!」
慶ちゃんはウズラ卵のフライをご所望です。
「うーん」
剣ちゃんは腕を組んで悩んでいます。
どうも、アメリカンドックとポークウインナードックのどちらを
買ってもらうか悩んでいるらしい。
アメリカンドックは大きさは大きいのですが普通のアメリカンドックです。
ポークウインナードックは小さいけどウインナーをくるんでいるパン生地の皮が
渦巻き状になっていておしゃれなのです。
「そりゃ、おしゃれにすべきよ、フランス貴族のたしなみじゃない」
忍ちゃんが言いました。ちなみに忍ちゃんはフランス貴族と何の関係もありません。
「おしゃれ!おしゃれ!」
慶ちゃんがさけびました。
「じゃあ、小さいけどポークウインナードックにするよ!」
剣ちゃんが言いました。
みんなのお総菜を買って、レジでお会計をすませ、エスカレーターを上がろうとすると、慶ちゃんが
たばこの自動販売機を指さして「ぎゃー!」と叫んで逃げてしまいました。
それを見て、忍ちゃん、剣ちゃんも「きゃー!」と叫んで逃げてしまいました。
走り回るので、追いかけて回収するのが大変だ。
「どうしたんだよ」
聞くと、慶ちゃんが叫びました。
「雷さんがいる!雷さんがいる!」
たばこの自動販売機を見ると、
すごい迫力のある雷神がたばこをもって、こっちをにらんでいるポスターが張ってありました。
なんでもメンソールたばこのコマーシャルみたいだ。それにしてもリアルだな。
コマーシャルに雷神を使っているあたり、古風でいいなと思いました。
「なんだよ、慶ちゃん、精霊最強なんだろ?」
「雷神様怖いよ!龍さん取られちゃうよ!」
ああ、そういえば、前に稲爪神社に行ったとき、神社で龍のおもちゃで遊んでいたので、
しかられて取り上げられそうになって泣いちゃったんだね。
忘れてた。
「だいじょうぶだよ、あれはポスターの絵だから、雷神様は来ないから。それに
ここは神社の中じゃないから、龍で遊んでもだいじょうぶだよ」
そういって私がほほえむと、
慶ちゃんは「ほんとに?」
といって私をつぶらな瞳でみつめました。
「ほんとうだよ、怖くない怖くない」
そういって私は慶ちゃんの頭をなでてあげました。
「あら、慶ちゃんだけなのかしら」
いつのまにか忍ちゃんももどってきていました。
「忍ちゃんも大丈夫だよ」
そう言って私が手を伸ばすと、忍ちゃんはさっと後ろに下がりました。
「頭なでないでよ、だっこのほうがいいわ」
「しかたないな」
私は忍ちゃんをだっこしてあげました。
「私も!」
剣ちゃんがよってきたのでだっこしてあげました。
「慶タンも!」
慶ちゃんもだっこしてあげました。

おつかい

母親に頼まれて買い物に行った。
まずは油揚げ。
「男前豆腐店の油揚げがないよ!」
慶ちゃんが叫んだ。
いつもは男前豆腐店の油揚げを買ってたんだけど、もうおいてないようだ。
だって、あれは大きすぎて邪魔になるし、最近の核家族の家庭では1日であの量は
食べきれないからね。
それで、敬遠されてなくなっちゃったんだろう。
おいしいのに。
そういえば、昔、姫太郎うどんっておいしいうどんがおいてあったけど、
無くなってしまった。
市場環境って厳しい。
しかたがないので、もうちょっと小さな厚揚げを買った。
「今日はどんなものを買ってもらえるのかな~たのしみだな~」
慶ちゃんがカゴの中でにこにこしながら飛び跳ねている。
次に、新タマネギを二個買う。
これが甘くて味噌汁にするとおいしいんだ。
次は、かにかまぼこっと。
慶ちゃん「……」
それから三度豆ね。
「いいかげんにしろよこらーっ!」
慶ちゃんが怒った。
「しかたないだろ、お使いなんだから」
「でも、ぱぱしゃんはいつもお菓子ばっかり買ってくれるよ、生で食べられないタマネギとか豆とか
買わないよ!」
「そりゃ、おかずをつくらないからだよ。家庭の主婦はおかずをつくらないといけないから、
野菜とかおかずになるものを買うのはあたりまえだろ。」
「でも君は主婦じゃないじゃん!」
「いや、今日はお使いなんだって」
「ぷー!」
慶ちゃんは頬をふくらませた。
しかたがないので、何かやすくて慶ちゃんたちへのお供物になるものを探す。
すると、お菓子売り場に売れ残りのお菓子が半額のブルーケースに入れてあった。
その中に二つの液体を混ぜて練ると生キャラメルになるという「ねりキャラ」というものが
入っていた。ものすごううすっぺらい袋に入っている。
とても子供だましくさいお菓子だった。こりゃ売れ残るわ、と思ってみていると
慶ちゃんがそれに目をつけた。
『これ、すごいよね!これ、きっと買ってくれるよね!やさしいから買ってくれるよね」
目を輝かして慶ちゃんが言う。
「ほしいの?」
私がたずねると慶ちゃんは一生懸命首を縦にブンブン振った。
その仕草がかわいいので買ってあげた。
「私のは!」
剣ちゃんが出てきて叫ぶ。
その箱の中をみるとリラックマプリッツが入っていた。懐かしいな、昔はよく剣ちゃんに買ってあげてた。
リラックマプリッツは60円でとてもお買い得で剣ちゃんを満足させられる。
それが半額なので30円だ。剣ちゃんはかわいいのが好きなので、30円でも満足してくれる。
そこに忍ちゃんが出てきて私をやぶにらみする。
「私はそんな子供ダマシにはだまされないわよ」
「はいはい」私はそう言って半額お菓子売り場をあとにした。
パン売り場にレーズンの入ったフランスパンがあったのでそれをカゴに入れる。
忍ちゃんフランスが好きそうだし、100円でリーズナブルだけど納得してくれるだろう。
「はい、レーズンフランスパンね」
私がそう言うと忍ちゃんの眉間にしわがよる。
「なにそれ、馬鹿にしてるの?」
「は?」
わけがわからず私は忍ちゃんを見る。
「これはフランスパンじゃないわ、パン・トラディスィヨネルじゃない!」
知らんがな。
そこに慶ちゃんが割ってはいる。
「それくらい許してあげなよ、慶タンだって、日本人がボロネーゼをナポリタンスパゲティーって
呼んでることを我慢してあげてるんだよっ!」
なんかまるでイタリア人にでもなったような口ぶりだな。外見みてもイタリアの片鱗もないのに。
てか、ボロネーゼとナポリタンは別の食べ物だよ。
「まったくしょうがないわね、今回だけは許してあげるわ」
忍ちゃんは上から目線でそう言った。
「ねえねえ、ここに森のキリカブっておいしそうなパンがあるよ、これかわないの?」
慶ちゃんが回りくどく催促してくる。
でも、ここで買ったらほかの二柱にも何か買ってあげないといけないので、
「買わない!」と断固として拒否した。
すると慶ちゃんはショボーンとした。
慶ちゃんはこういうとき駄々をこねないので、あまり厳しいことをいうと可哀想になることがある。
その時である。
「ちょっとこっちに来なさい!事件よ!」
忍ちゃんが血相をかえて私に呼びかける。
何事かと思って忍ちゃんについていくと、
キリィクリームチーズが198円で売っていた。
いつもは2380円である。
「買うわよね」
忍ちゃんが断定的に言う。
「買わない」
私は断定的に言い返す。
「そんなことが許されると思っているの!フランスの外交力を侮らないほうがよくってよ」
「うるせ」
私は少し語気をあらげて言った。
「ぬぬぬぬぬう」
忍ちゃんは歯を食いしばって買い物かごの中に入っていった。
どうせ、何もできないのだ。
「大変だよ!」
次は慶ちゃんが叫んだ。
「もう、なんだよ」
「忍ちゃんが思い詰めてカゴの中で切腹してるよ!このままじゃ大変なことになるよ!ほら、
お腹からフランスパンがはみ出してるよ!」
見てみると、忍ちゃんがお腹にレーズンフランスパンを突き立てて切腹のマネをしている。
「おまえ、日本文化馬鹿にしてんのか」
「大変だよ!このままだとフランスパンが全部お腹から出ちゃうよ!」
叫びながら慶ちゃんが走り回る。
忍ちゃんは
「ぬぬぬぬぬ」とうめぎながら切腹のまねごとをつづけている。
なんという連係プレイ。
「ああ、もう、わかったわかった、チーズ買えばいいんだろ」
私はそう言って、キリィクリームチーズと北海道クリームチーズを一つずつカゴに入れた。
キリィは忍ちゃんがもらい、北海道は剣ちゃんが貰った。そして、
慶ちゃんにはキリカブパンを買ってあげた。
いつもながらこの子たちには甘いなあ。

家に帰ると、慶ちゃんは早速ねりキャラをやってほしいと私にねだってきた。
袋をあけると白いラード状のクリームとメイプルシロップみたいなシロップとプラスチック容器とプラスチックスプーンが
入っていた。そのプラスチック容器に二種類のクリームを入れてかき混ぜる。
しばらくかき混ぜていると、白と茶色がまざって、ちょうどキャラメルみたいな色になった。
練っている最中、慶ちゃんは「ねりねり、ねりねり」と言いながらくるくる回って楽しそうに踊っていた。
まあ、この踊りが見られただけでも眼福だな。
一口食べてみると、普通の生キャラメルの味だった。
量はキャラメル二個分くらいかなあ、普通に食べる目的ならふつうのキャラメルを買ったほうが
経済効率は良さそうだ。
これは、混ぜて楽しむための食玩みたいなもんだな、と思った。

最初はチョコレートだった

久しぶりに父と一緒に買い物に行った。
今日はレジ横に特価セールのチョコレートが78円で売っていたのでそれを買う。
いつもは100円のチョコレートだ。
通常、イチゴの前を通っていくのだが、最近スーパーのイチゴは高いので八百屋さんで買っている。
その事を知っているので、慶ちゃんは素早くチョコレートにタッチする。
「これ慶タンのね!いいよね、いいよね」
慶ちゃんは忍ちゃんと剣ちゃんを見る。
「いいわよ」
「いいよー」
その直後、私は売れ残りで古くなった野菜の特価セールのトレイを見る。
そこには通常389円のイチゴが289円で売っていた。しかも、けっこう粒が大きくておいしそうだ。
「このイチゴやすいよー」
私がそう言うと、父はそのイチゴをカゴに入れた。
それはさがほのかだった。
「むひょー!さがほのかだよ!さがほのかは慶タンのだね」
「お待ちなさい」
忍ちゃんが慶ちゃんの手をつかむ。
「あなた、さっきチョコレートもらったわよね。順番では私か剣ちゃんの番よ」
「だってー!さがほのかは慶ちゃんの好物のイチゴだよ、章姫の時は忍ちゃんにゆずってあげてるじゃない」
「そのときも、ちゃんと順番は守ってるでしょ。イチゴがほしかったら、先にチョコレートをもらうべきじゃなかったわね」
「だってー、イチゴは八百屋さんで買うと思った……」
「タッチ」
慶ちゃんと忍ちゃんが言い争っているうちに剣ちゃんがイチゴにタッチした。
慶ちゃん「……」
忍ちゃん「……」
「タッチ!」
満面の笑みで剣ちゃんが叫んだ。
「あんた!いいかげんにしなさいよ!なに勝手にイチゴとってんのよ!」
「早い者勝ちだよ~」
忍ちゃんの激怒も全然意に介さない剣ちゃんであった。
そのあと、プリプリ怒っている忍ちゃんのためにクリームチーズを買ってあげた。
この前までキリーのクリームチーズが188円の激安で売ってたんだけど、
今日は雪印と同じ238円だった。
今日は雪印を買う。
そのあと、父はお惣菜売り場に行って、梅とたらこのおにぎりを買う。
たらこのおにぎりは剣ちゃんがもらう。忍ちゃんは慶ちゃんを見る。
「梅のおにぎりいる?」
慶ちゃんは首を横にふる。
「いらん」
たこ焼きやスルメを貰うのが好きなのが慶ちゃんであるように梅のおにぎりを
貰うのは忍ちゃんに決まっていた。他の2柱は梅のおにぎりは酸っぱいから、あまり好きではない。
「まったく、この酸っぱさがおいしいんじゃない、おこちゃまねえ」
あきれ顔をしながら忍ちゃんはおにぎりを貰った。
その後、父はお菓子売り場に行って、マシュマロを買った。
「わーい、マシュマロゲットだぜ!」
剣ちゃんがマシュマロを貰った。
「ちょっと待ちなさい。マシュマロは私がもらうものでしょ。だってマシュマロは私の好物じゃない」
「そんなもん、順番だよー」
剣ちゃんが言った。
「そうだ、そうだー!」
慶ちゃんも後ろで飛び跳ねながら言う。
「そんな事がゆるされるわけないでしょ!私の梅おにぎりと交換しなさい!」
忍ちゃんが剣ちゃんに梅おにぎりをさしだす。
「やだ」
剣ちゃん即答。
「あら、あなた、フランス王室を敵に回すとはいい度胸ね!」
忍ちゃんは胸を張って言い放った。
「忍ちゃんはフランス王室とは何の関係もありませ~ん」
慶ちゃんが突っ込みを入れる。
「こんな不条理、許されないわよ!」
忍ちゃんが叫ぶ。
「慶タンだって我慢したんだから、忍ちゃんも我慢しなよ!」
慶ちゃんが叫んだ。
忍ちゃんしょぼーん。
次に父はパン売り場に行く。
いつも高級イチゴジャムパンを買っているのだ。
「今日もジャムパン買うんでしょ」
私がそう言うと父はすこし眉をしかめた。
「いいや、もうジャムパンは食べ過ぎでほしくないよ、飽きちゃった。別のパンを買おう」
そう言って父は十勝レーズンパンを買った。
「十勝-!十勝-!」
慶ちゃんが喜んで飛び跳ねる。
慶ちゃんは北海道ものの食べ物がけっこう好きなのだ。
でも、その高級レーズンパンに手を伸ばしかけて忍ちゃんの方を見る。
忍ちゃんはふてくされて、体育座りをしている。
慶ちゃんは剣ちゃんの所に行って、剣ちゃんと相談する。
そして二柱でレーズンパンをもって忍ちゃんの所に行く。
「これ慶タンたちからのプレゼント!」
忍ちゃんは顔をあげる。
「あ、ありがとう」
ちょっとだけ鼻の頭をあからめてお礼を言った。
そのあと、甘栗を買ってそれは慶ちゃんが貰った。
お菓子売り場に行って父が八つ橋を探す。
八つ橋は父の好物で父が八つ橋を買うたびに
慶ちゃんたちは京西陣の織物問屋ゴッコをして遊んでいたので
楽しみにしていたのだ。でも、今日は八つ橋は売ってなかった。
慶ちゃんたちは京商人の格好に着替えて、寸劇をする準備をしていたが、
それがなかったのでがっかりしていたようだ。
北海道牛乳アイスバーを買った。これは剣ちゃんが貰った。
剣ちゃんはそれを忍ちゃんの所にもっていく。
「忍ちゃん、北海道アイスバー好きだったよね。
パンと交換してあげようか」
「え、でも、このパンは二柱からいただいたものだから、交換するとか失礼でできないわ」
「気にしなくていいよ-!いいよー!」
慶ちゃんが叫んだ。
「そう、それじゃ、ありがとう。本当に気をつかってくれてありがとうね」
忍ちゃんの機嫌は完全に直った。
「じゃあ、その十勝のパン、慶タンの甘栗と換えて!」
慶ちゃんが甘栗を差し出す。
「いいよー!」
剣ちゃんは慶ちゃんに十勝レーズンパンを渡した。
「でっかいどー!」
慶ちゃんが叫ぶ。
「北海どー!」
忍ちゃんが叫ぶ。
「天津ーっ!」
剣ちゃんが天津甘栗を持ち上げて叫んだ。
そのあと、父は地上の薬局に行って、ラムネ菓子を買った。
「宣言!私は梅おにぎりを貰う権利を放棄します」
忍ちゃんがそう言って梅おにぎりを貰う権利を放棄してラムネを貰った。
「その手があったかー!」
笑いならが慶ちゃんが飛び跳ねる。
「ずるい~!」
剣ちゃんが飛び跳ねた。
二柱ともそれほど怒っていないみたいだ。
「みんなで帰ってイチゴたべようね~」
私がそう言うと三柱とも笑顔で私の顔を見た。

花カイドウの警告

今日、ある園芸店でものすごく立派な花カイドウの木を見つけた。
花カイドウは美しい花を咲かせるが種から育てるのはほぼ難しい木だ。
つい、魅惑されて大金をはたいて買ってしまった。
大きな木だ。
だが、この木が露骨に私の家に来るのを嫌がる。
念波としてものすごい嫌悪と抵抗を感じた。
それでも、買ってしまったので、無理に家につれて帰ったが、
自転車がパンクして長時間歩いて自転車を押して帰らなければならなくなった。
かなり大きな木だったので、自転車の前かごにギリギリ入る大きさの株で、
持って帰るのがかなりつらかった。
途中で、自転車屋さんを見つけ、パンクを直して自転車に乗ったが、
またパンクした。結局、自転車のチューブだけではなくてタイヤも交換して
1万円かかった。えらい出費で、ちょっとブルーになってしまった。
一緒に買って帰った小さな紅葉の苗は私のが買ってあげるとすごく喜んでくれたのに。
なぜだろう。
(紅葉は、前に大きな木を買おうとしたら慶ちゃんが反対して何度か買えないことがあったけど、
今回は、「このちっさい子だったら買ってもいいよ」と慶ちゃんが言ってくれたのでこの子を買ったのだ)
それで思ったんだけど、この花カイドウはここまで大きくなるまでいっぱい
園芸店の生気を吸って生きていたんだと思った。
そして、愛情いっぱいに園芸店の人に育ててもらって、周囲の木々とも仲良く暮らしていたんだろう。
そこには歴史があり、思いがある。
それを、何の考えもなしに、金にあかせて買って、引き離してしまったので、
抵抗されたんだなと思った。
人間、金さえあれば何でもできるが、でも、相手の気持ちも考えて、
木々に話しかけて、喜んでお家に来る子だけ連れてかえらないといけないなあと思った。
木は、小さい子のほうがあたらいいお家になじみやすい。
ただ、小さい子のほうが死んでしまう確率も高いので、買うほうとしては、
悲しい思いをする確率が高くなる。だから、少しくらい金がかかっても大きい子を
買ってしまいたくなる。でも、育てて、その成長を見守って一緒に暮らすこと、
大きくなるまで気をもんで世話をして成長を見守ってやることも、
大切なんだなあと思った。
結局、この花カイドウは家に来て、植えてあげたんだけど、
隣に桜の小さな苗木があるのを見て、少し気がおちついたようでおとなしくなった。
反対に、ちっさな紅葉は、いままでずっともみじ苗の箱でいっぱい仲間と一緒に居たのに、
ひとりぼっちになって、ちょっとシューンとしていた。
さびしがらないように、時々見に行ってお話をして勇気づけてあげようと思った。

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