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頭の中の池内慶

空想ファンタジーブログです。 私と脳内タルパたちの愉快なヨタ話。

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大晦日


松岡良の前に智伯が立った。
「そなたに話・・・」と智伯が言い終わらぬ間に
松岡良は瞬時に巨大な両刃の斧を智伯の上に振り落とした。
気がつけば、智伯は振り下ろした斧の切っ先に立っている。
「このままではでは松岡覇が地獄行になる、それでもよいのか?」
智伯は冷静な顔で松岡良を見下ろしながら言った。
松岡良は無言のまま智伯を見上げた。

その頃池内系たちは・・・・・・。
氏神様に併設されている保育園で園児のみんなとカスタネットを叩いていた。
もちろん、人間にはその姿は見えない。
「うんたん!うんたん!」池内慶は喜んでたたいている。
「あーうぜー、はやくゲームしてー。」池内剣は飽き初めている。
「あら、これはクリスチャンディオールかしら」退屈した池内忍は
カスタネットをほっぽらかして、保母さんのバックの中の化粧品をチェックしている。
その池内忍の頭の上から声がする。
「あらあら、善徳積みをさぼって保母さんのバック調べですか。」
見上げると藤子さんがいた。
藤子さんの姿を見ると慌てて池内剣と池内忍は土下座した。
「ははーっ!」
それを後ろで池内慶はうれしそうな顔で見ている。「おしおきだべ~♪」
「いえ、これはたまたまでして、ついさっきまで子供たちを見守って善徳を積んでおりました。」
池内忍がそう言うと、藤子さんは「そんなこと言ってると、また舌抜かれちゃうぞ。」と言いながら
ほほ笑んだ。
「ははーっ!」と池内忍は平伏する。
藤子さんは緑色のボードとそこに挟まれた書類を左手にもっている。
それを見ながら考えるようなそぶりで、右手を顎のことろへ持っていった。
「困ったわねえ、慶ちゃんはいいんだけど、剣ちゃんと忍ちゃんはこのままだと
善徳累積滞納で、しばらく冥界で強制労働させられちゃうかもよ。」
藤子さんがそう言うと忍は平伏したまま答えた。
「そこをなんとか。」
藤子さんは少し考えた。
「じゃあ、この年末の返済期限のうちに、大きな善徳を積んでもらいましょう。
あなたたちが大嫌いな松岡系の皆さんをご招待して、一緒に仲良く大晦日の
年越し蕎麦をたべるのよ。」
タルパは思念エネルギーなので人間の食事を食べることはできないが、
仏壇のお供え物、ご神前の供物、お祭りの時のごちそう、大晦日の年越し蕎麦、
正月のおせち料理など信仰の精神がある食事に関しては、その人間の信仰心の念で
できた念の料理として食べることができるのだ。
それを聞いて池内剣と池内忍は目を丸くして頭をあげた。
「絶対いやだ!」池内剣が断言した。
「そうよねえ、あいつらと仲良くするくらいなら、私、冥界の強制労働のほうがいいかも。」
池内忍もそういった。
「はぁ、そう、じゃあ、1か月くらいマグロ船にでも乗ってもらおうかしら。」
藤子さんが小さなため息をついてそう言うと、池内剣と池内忍は戦慄した。
池内剣&池内忍「マグロ船!」
冥界のマグロ船とは、三途の川に浮かんでいる船で、飛び込み自殺などでバラバラになって
三途の川に流れてきた死体を網ですくい上げて、よせあつめ、人間の形に形成する作業である。
細かく気の滅入る作業が延々続くのである。
主に、善徳が足りない霊が善徳を積むために送りこまれる船である。
「マグロ船はいやだ!やります!松岡系と一緒に年越し蕎麦食べます!」
池内剣は叫んだ。
「私も、もう二度とマグロ船は嫌!」池内忍も叫ぶ。
ん?忍は行ったことあるのか?
「よろしい。」藤子さんはにっこりと笑った。

そして大晦日。
池内系たちは年越し蕎麦の御出汁を作りはじめるが、作り方がわからない。
混乱する池内剣や池内慶を見て、池内忍はため息をつく。
「あんたたちダメねえ、こういうものはね、さしすせそ、って言ってね、
まず、砂糖、塩、酢、醤油、ソースの順番で入れていけばいいのよ!」
池内忍の言葉に池内慶は目を見張る。
「さすが忍ちゃん物知り!さっそくはじめよう!」
そう言いながら鍋に砂糖、塩、酢、醤油、ソースの順番にドボドボ入れはじめた。
その時、池内剣が背後の気配に気付き身構えた。
後ろに松岡良が立っていたのだ。
池内慶もあわてて向き直ってファイティングポーズを取る。
池内忍も攻撃用護符を出してきた。
「やるか!」池内剣が叫んだ。
松岡良はそれを無視して池内系たちの前を素通りして鍋の前に進み出た。
そして、その中身を流しに捨てた。
「せっかくの俺たちの御出汁を!」池内剣が激怒した。
「そうだよ!塩分が多い汁を捨てるときはティッシュにしみこませてゴミ箱に捨てなきゃ!」
池内慶も激怒した。
「いや、そこじゃないだろ、怒るとこ。」
池内忍がつっこんだ。
松岡良は池内系たちの方を向き直った。
「水につけた昆布はないの?」
池内系たちは顔を見合わせる。
「何するの、そんなもの?」
池内慶が尋ねる。
「昆布は沸騰したお湯に入れたらキブ味が出るから、
前日から水につけてエキスを出しておかないといけないのよ。」
松岡良は冷静に答えた。
池内慶&池内剣&池内忍「え~~~!!!」
池内慶「どうしよう、そんなもの用意してないよ。」
池内剣「ここは味の素1ビンぶち込んでごまかすしかねえよ!」
池内忍「むしろ、あきらめてめんつゆ買いにいきましょ!」
池内系たちは混乱した。
そんな池内系たちを見ながら松岡良は無表情に言った。
「私、昨日から作ってるから、それをもってくるわ。」
池内系たちは唖然とした表情で松岡良を見る。
松岡良がどっかに行ってしまう。
池内慶「何!?あの賢い奥様!」
池内剣「お前なんか裸にエプロンでダーリンに媚売ってろ!」
池内忍「むしろおでん屋になれ!」
しばらくして2リットル入りのペットボトルに入った昆布水をもって松岡良が現れた。
そして、無言で鍋に昆布水を入れ、綿の袋に鰹節、シイタケ、煮干しの頭と内臓を綺麗に
とったもの、刻んだトビウオの干物などを入れて煮込み、醤油、みりん、酒で味をととのえて、
最後に隠し味に粉末の乾燥帆立て貝柱を一つまみ入れた。
松岡良はそれをオタマですくい小皿に入れて池内慶にさしだした。
池内慶はそれを飲んでみる。
「こ、これは!まったりとして、それでいて爽やか!これぞまさしく至高のおおおお!!!!」
「小芝居とかいいから。」池内忍が突っ込みを入れた。
池内系たちが掛け合い漫才をやっているうちにも松岡良は出汁の横のお鍋でお湯を沸騰させ、
そこに生そばを入れて茹ながら、まな板の上ですばやく厚揚げとちくわを切って御出汁の中に入れた。
そして、間髪いれず、湯だったそばをザルの上にあけた。
「何!この流れるような複数作業は!」池内慶が驚きの声をあげる。
しかし、池内忍は見逃さなかった。
「あら、えらそうなことを言ってるわりには、おネギを切るのを忘れたのかしら。」
池内忍がそう言っている間に松岡良は素早くネギを刻んだ。
そして言った。
「ネギは最後に入れないとシャキシャキ感が失われるのよ。」
それを聞いて池内忍は顔を紅潮させた。
「何よ、ネギくらいで鬼の首とったみたいに威張っちゃって!ネギなんて関係ないわよ!」
それを横眼で見ながら池内剣がぼそっとつぶやいた。
「最初にネギにつっこみを入れたのは忍だけどな。」
そうしているうちに松岡覇や松岡狼や松岡炎が来た。
松岡覇はちょっと気まずそうにしている。
松岡狼は無言で席についた。松岡炎は笑顔で「どうも、どうも」言っている。
松岡覇は気まずそうな顔をして少し離れた場所に立っていた。
「早くこっちに来なさい、お蕎麦が伸びちゃうから。」
松岡良が抑揚のない声でいった。
「はい」そう言いながら松岡覇は席に着いた。
席につくと、松岡良が全員のお蕎麦をとりわけて、「めしあがれ」と
言いながら一人一人にくばった。
「うっめー!さすが良姉貴の料理は最高だわ!」そう言いながら松岡覇は蕎麦を
貪り食った。
「口にお蕎麦がついてるわよ。」そう言いながら松岡良は無表情のまま
ハンカチを出してきて、松岡覇の口をふいた。
松岡覇はうれしそうに「んー」と言って顔を突き出した。
そのアットホームな雰囲気に池内系たちは唖然とした。
「何・・・・・このホームドラマ。」
池内忍がつぶやいた。


今年一年皆様本当に、ありがとうございました。
また来年も良い年でありますように。




 

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アバロンヒル

今日も今日とて年末なのにパソコンの前で文字を打っている私。
ちょっとトイレに行きたくなったので、部屋を出てトイレに行って、その帰りに冷蔵庫に
入っているドクダミ茶を飲んでいっぷくしてから部屋に帰ると。
部屋で池内慶と池内剣がパンツァーブリッツという名前のボードゲームをやっている。
また古いものを。
私は、実はオタクと言ってさしつかえないかもしれない。
しかし、いわゆる萌えオタクではない。
アニメや漫画を大量に読んだり見たりするようになったのは、マンガの出版が
決まりかけた頃からであって、本来、そんなに漫画やアニメに親しんでいたわけではない。
私がオタクというかマニアというのは、ウオーゲームである。
昔は世間からは白眼視されたシロモノで、マニアは世間に隠れて密会し、こっそりやっていたものである。
いわゆる戦争シュミレーションのボードゲームであり、
そのドライな戦略性、正義も悪もなく、限られた物資の中でより合理的に行動したものが勝つ仕組みである。
世間のアニメファンたちがアニメキャラをもてはやして部屋にポスターを飾っていた頃、
我々は独ソ戦の研究資料を部屋に並べていた。
アイドルのポスターや写真集など一切ない。
テーマソングはリチャード・アッテンボロー監督の遠すぎた橋。
戦略マニアの中でもこの「遠すぎた橋」のモデルとなったマーケットガーデン作戦の
研究考察が好きな人間は、世間から変人と思われていたシュミレーションゲーマーの中でも
また特殊な部類の人間であった。
一般に彼らシュミレーションゲーマーが好んだ作戦とはノルマンディー上陸作戦や
アルデンヌ攻勢である。
池内慶と池内剣が遊んでいるパンツァーブリッツは独ソ戦をテーマにした
シュミレーションウオーゲームだ。
盤上に書かれたヘックスと呼ばれる六角形のマスの中を戦闘コマを動かして、
敵を攻撃、攻撃結果は戦力比率表とサイコロのランダム性に依存して算定される。
池内剣はドイツ軍を担当し、丘上の防衛陣地を88mm対戦車包で武装した要塞に
立てこもっている。
そこをソ連軍を担当した池内慶が工兵部隊と連動した大量の歩兵部隊で襲撃した。
機動戦ではクソの役にも立たない歩兵部隊だが、事、要塞戦では工兵部隊の特殊効果も
あいまって最強の威力を発揮する。
しかも、KV戦車大隊での襲撃を想定していた池内剣の88mm対戦車砲は歩兵部隊に対してその
威力は限定的である。
「ウラー!」と叫びながら池内慶はサイコロを振り、次々と要塞を破壊していく。
「あああああ!」池内剣があせる。
対戦車砲部隊が壊滅し、池内剣がアワアワしているところを側面から機甲師団を突撃させ、
池内慶は一気に戦略拠点を占領した。
「ハラショー!」
と叫びながら池内慶はその場でケンケンした。
ホコリが立つからやめろよ。
「もう年の瀬だってのにヒマなこったな、そんなにヒマなら年越し蕎麦でも作ってくれたらいいのに、
造ってほしいなー。」と私はちょっと言ってみる。
どうせ、こいつらが作っても幻想世界の住人だから私が食べられるわけではないのだが、
まあ、ちょっとしたコミュニケーションのつもりで言ったのだ。
「コンビニで緑のたぬきかどん兵衛でも買ってくれば?」
池内慶が即答した。
まあ、期待はしてなかったけどね。

 

浪速のオキテ

廊下にカツカツと冷たい靴音が響く。
ガンガンガン!団地の鉄の扉を激しく叩く拳の音がけたたましく鳴り響いた。
景明「奥さん、居留守使うてもろたら困りまっせ、借金の返済の期限は遠に過ぎてまんのや、
浪速の景明なめてもろたらこまりまんがなでんがな!」
と、景明が言ったとたん「ハイ、カットー!」と厳しい声が響いた。
池内忍の声だった。
「何よ、その「まんがな、でんがなって!関西人馬鹿にしてる?」
池内忍の厳しい指摘に、景明の額に冷や汗が浮かぶ。
「いいえ、とんでもありませんわ、だって私の新しいダーリンは浪速の困った人たちを助ける
いわば救世主、別の名を闇金ですもの。」
どこが救世主なのかわからんが・・・・・。
景明があせっていると団地の鉄の扉を池内慶があける。
すると、イリュージョンの団地は消え去り、いつもどおりの私の部屋に戻った。
こいつら、なに人の部屋で浪速の金融ムービーごっこしてんだ。
「慶たんの出番まだー!せっかく化粧してエプロンまでしてきたのに!!」
池内慶はチャイナ服の上からエプロンをして、口にマックのドナルドみたいな
口紅をぬりたくって、ついでにほっぺたにも丸の口紅を塗って出てきた。
「慶たん早く団地妻やりたいお!」そう言うと池内慶は一人芝居を始めた。
「ぐへへ、奥さん、借金が返されへんのやったら、キャバレーで働いてもらいまひょか。」
「ああ、おやめになって、慶たんの善徳の貯金はゼロよ!ってなんでやねん!」
と、池内慶は微妙な一人乗り突っ込みをする。
「ほら、ごらんなさーい!慶ちゃんのほうがずっと関西芸人の素質があるわ。
だいたい、浪速の女はそんな話し方しないから。あなた、ぺティーナイフとマヨソースって接待の
お店にでも行って修行してきなさい。」
池内忍に厳しくしかられて景明は涙目になった。
どうやら、前の鏡の持ち主だった漫画喫茶の店長が店を閉めて、そのとき整理されて
骨董品屋に売られたものを大阪南のサラ金の社長が購入したようだ。
それで景明は一生懸命浪速の女を演じようとしているが、いかんせん、
サラ金屋には男の社員しかおらず、浪速女を演じることができず、
池内系の所に修行に来ているのであった。
「お願い!ダーリンに喜んでもらうために私、一生懸命浪速の女になるわ!ご指導お願いします!」
と景明は言って頭をさげた。
いくら練習したって、人間にはお前の姿は見えないけどな。
もし、見えたらキモがって鏡をすぐに売り飛ばされるだろうけど。
「それにしても、景明ちゃんって本当に献身的になったよねー。」と
感心顔で池内慶が言う。
「そうね、女は恋すると変わるのよ。」
池内忍はしみじみ言った。
「・・・・・・オカマだけどな。」
私はそう思ったがあえて口には出さなかった。

池下滅という化け物

いやー、突然頭の中に池下滅という化け物キャラクターが現れて
暴れだしたので、倒してしまうまで手間がかかりました。
全キャラクター総動員で倒しましたよ。
本当は、もっときわどい毒を吐きまくっていたのですが、そんなこと
ブログでは書けませんって(汗)
さんざん暴れまわった末に、いろいろ頭にあったアイデアをつぶしてまわったので、
これは倒してしまうしかないと決意しました。
私の頭の中にあるキャラクターは、一度出てくると、
実際に頭の中で倒してしまわないと、忘れようとしても何度も出てきたりするので、
実際に頭の中で倒す過程を描写して文字として起こしてしまわなければなりません。
反対に怖いのは、実際にキャラクターをストーリーの中で殺してしまった場合、
それがお気に入りのキャラクターであっても二度と頭の中に出てこなくなって
しまったりするので、そこが怖いんですが。
だから、そういう死ぬ場面があるのは、頭の中に、仮想空間の中にもう一つの仮想空間を
つくって、その中だけ限定ですよーという設定を自分の頭の中に
つくっておかないとなりません。
ほんとうに面倒です。
今回も、こうやって実際にお話に出して、発表してしまわないと、また自分の頭の中に
出てきてあばれそうだったので、今回、前のエントリーを発表させていただきました。
みなさま、お騒がせして申し訳ございませんでした。
悪気はないのです。
ただこれをかかないと、自分の頭の中の整理がつかないし、
池下滅があばれて、いくつかのエントリーをつぶしやがったので、倒してしまうことも
しかたのないことなのです。
たまに、私の意思を無視して暴れるのが出てくるのが困りますね。
本当に失礼いたしました。

冥府からの来訪者

今年もおしせまったこの時期、
私は今日もコツコツと仕事の合間をぬって小説を書いている。
ああ、小説一本で食っていけたらなあ、空想の世界をつづって、
それで生活していけたらどんなに楽しいだろう。
私の夢だ。
しかし、そんなときにかぎって、お呼びがかかる。
「至急、生き霊となってこの地に赴くべし!」
頭の中で智伯の声がした。
いいかげんにしろよ、小説を書くのがかなりのってきているのに。
かと思う間に私の意識は薄れ、パソコンの前で眠ってしまった。
夜中の冷えた街並み。
電柱の青白い電灯がアスファルトを照らしている。
そこをゆっくりと黒い西洋の喪服を着た少女が歩いてゆく。
その時、天から白い衣を着て頭の上に光の輪をつけ白い大きな翼をもった天使たちが
何人も舞い降りてきた。そして少女の前方を塞ぐ。
私とともに呼び寄せられた池内慶、池内剣、池内忍もその場に降り立った。
みんな、一体何が起こったのか理解できずその場に呆然と立ち尽くしていた。
「止まりなさい、池下滅!これ以上前に進むことを禁じます。」
天使の一人が叫ぶ。
少女はそれを無視してそのまま前に進む。
そして、天使たちの前までくるとサッと右手で払うようなしぐさをした。
すると、たちまち竜巻が起きて天使たちを吹き飛ばしていった。
天使たちは自分たちの素性を名乗らなかった。何か交換条件も出さなかった。
こいつ、本物の天使を吹き飛ばしやがった。
しかし、待てよ、池下滅とかって名前で呼ばれてたなこいつ、もしかして私の潜在意識の
根底か、こいつ。おい、神様の眷属相手になにやってんだこいつ、カンベンしてくれ。
吹き飛ばされた天使たちの向こうには智伯と花藤子が立っていた。
「させるかー!」その少女の後ろから松岡覇が大ハンマーを振り下ろす。
池下滅は前を向いたままそのハンマーをピンと指ではじくと、松岡覇はそのまま
猛スピードで吹き飛ばされた。それを松岡良はが空中にジャンプして受け止める。
そして着地して松岡覇を見た。松岡覇は体に直接打撃をうけたわけではなく、
ハンマーを指ではじかれたのだが、そのときに起きた風圧で気絶していた。
「よくも!」あとから到着した松岡炎が叫び、松岡狼とともに戦闘態勢をとるが、それを松岡良が止める。
「まて!あなたたちが勝てる相手ではないわ、帰りましょう。」
松岡良はそう言うが松岡炎は気持ちが収まらないようで
「松岡覇をこんなにされて引き下がれないわよ!」と反論した。
すると松岡良は無表情に抑揚のない声で言った。
「松岡覇だから気絶ですんだ。あなたが行けば必ず殺される。」
「どうしても行くと言うなら、かわいそうだから私がここで殺してあげる。」
その言葉を聞いて松岡炎はしゅんとうなだれた。
「さあ、帰りましょう」そう言って松岡良は松岡系の仲間を引き連れて帰っていった。
池下滅はまっすぐ歩いてゆく。
「止まりなさい!止まらなければあなたを撃つ!」手に弓と矢をもった花藤子が厳しく言い放った。
池下滅は視線を下におとしたまま、つぶやくように何か話し始めた。
「なぜそいつをかばう、連続殺人犯の弁護士を。」
すると智伯が答えた。
「殺人は悪!なれど罪深き人を諭し、善の道に戻そうとしたる弁護士は善!その弁護士を
祟り呪い殺そうとするそなたは、すなあち悪じゃ!」
その言葉を聞いて池下滅の口元に薄ら笑いが浮かんだ。
「善とな?自分は殺されてもいいから子供だけは殺さないでと懇願した母親の
子供を笑いながら母親の目の前で殺した殺人犯に、あの弁護士は、
「子供がかわいいから子供の首にリボンを結んだら死んじゃった。」
と言えと入れ知恵したんだぞ。それと殺した子供を押入れに入れたら
魔法の国の妖精がやってきて子供を生き返らせてくれる」と言えとも入れ知恵した、
明らかに精神障害による無罪を狙った法廷戦術じゃないか。それが善?」
池下滅はゆっくりと顔をあげて智伯を見た。その目には嘲笑と侮蔑の色がにじんでいた。
「されど、その罪は罪人が償うべきもの!弁護士には罪はない!それ以上前に進むな!
進めば撃つ!」そう言って智伯は両手を開いた。
その両手の指の間から黄色の札に赤い字が書いた霊札が現れる。
「この札はそなたの心の中にある私利私欲、欺瞞を打ち砕く聖なる札ぞ。」
智伯はそう言ったが池下滅は薄ら笑を浮かべながら無視して前に進んだ。
智伯は霊札を放った。
それと同時に花藤子も弓に破魔矢をつがえた。
「そなたの中の私利私欲の心を砕いて浄化させる!うけてみよ!!!」
そう言いながら花藤子は破魔矢を放った。
霊札と破魔矢は同時に池下滅に当たったが、霊札はパサッと音をたててそのまま
地面に落ちた。破魔矢も池下滅の体にポンと当たって、カランと音を立てながら地面に落ちた。
こいつの心の中には私欲も虚飾も虚栄心も偽善もない。だから破壊することはできなのだ。
智伯も花藤子も唖然とした。
池下滅が目指す方向、そこには煌びやかな人権弁護士の豪邸があった。
その門の前に先に現れた天使たちより一層体の大きな天使たちが何人も舞い降りて
立ちはだかった。
その姿は透けていて私にはよく見えない。
大天使だ・・・・・・私が見ることのできる霊域は貴人の霊から神の眷属霊辺りまで。
うっすらとその姿が見えるということは、その霊域のクラスでは最高レベル。
池下滅は人権弁護士の豪邸を見上げた。
「豪勢だねえ、さすが、非道な弁護で民衆を怒らせ、怒った一般市民たちが弁護士懲戒請求を行った
ところで反対に営業妨害と人権侵害で弁護士懲戒請求を呼び掛けた人たちを、
片っ端から訴えて、たんまり賠償金をまきあげた金持ちだけのことはある。最初から
この金が目当てでわざと非道な弁護をしたんだろ、あたまがいいねえ。」
そうつぶやきながら、池下滅はまっすぐに弁護士の家に向かって歩いて行く。
ちょっと待て、こいつは、私の潜在意識じゃないのか?
池下滅がどんなに激しい義憤をもっていようと、しょせん大天使に勝てるわけがない。
ってことは、私はこいつの巻き添えで、ここで灰になって死ぬのか?
もし、死なないにしても、大天使の手までわずらわせることになったら、私自身も
どんな責任追及されるか分かったもんじゃない。
冗談じゃない!私は、今やっと小説家になれるかもしれない夢をかなえようとしているんだ。
無残に殺された罪のない親子?!そんなの、他人ごとじゃないか。
この世界で、どれだけの人たちが無意味に、何の罪もなく殺されてるんだ?
巻き添えなんてまっぴらなんだよ!
「いいがげんにしろ!人の事なんて知ったことか!俺は、自分が幸せになりたいんだ!
そのためなら、他人だって見殺しにする、悪い連中だって見て見ぬふりをする!
俺は自分が一番かわいいんだよ!」
私は、本能的に叫んでしまった。
霊の世界は感情がストレートに出る。思ったことがすぐに口に出る。
内面をさらけだしてしまう。
心にもない建前で美辞麗句を言ってその場を取り繕ういとまなどないのだ。
私がそうさけぶと、池下滅の体に地中から真っ黒な人型が何人も湧き出してきて
しがみついてきた。
「やめろお、俺は成功したんだー、そのためには黙っていろー」
「何もいうなー見て見ぬふりをしろー。」
そのスキを見て池内慶がブブブッ!と植物の種を吐きだした。
それは池下滅の体に刺さって芽を出した。
芽をだした植物は育ち花をさかせた。
菊の花だった。
菊の花と線香のにおいが周囲に立ちこめる。
人々のすすり泣く声が聞こえる。
「うわああっつ」その波動をうけた池内慶は目からボロボロと涙を
流して両手で顔を覆い、その場に座り込んでしまった。
「精神攻撃だ!気をつけろ!」叫びながら池内剣が火を吹いて、
菊の花を燃やしつくした。
すると池内剣の頭の中に葬儀の火葬場の風景が浮かんできた。
「うわあっつ」叫んで池内剣はその場にひざをついた。
「おい!池内忍!おまえも戦えよ!」
私は怒鳴ったが池内忍は「何で私が人のために戦わなきゃいけないのよ、ふざけないでよ!」
と怒鳴り返した。
池下滅が自分の体にまとわりついた黒い影に手を振り下ろすと、それは霧のように消えた。
しかし、それは次から次へと湧き出してくる。
「有名になりたい」「ちやほやされたい」「裕福になりたい」を呻きながら黒い影がいくつも
わいてきて池下滅にしがみつく。
「チイッ!」池下滅は舌打ちをする。
「智伯、今よ!あの邪悪な私欲とともに池下滅を破壊しなさい!」
花藤子が叫ぶ。
しかし、智伯は顔面を蒼白にして手が震えていた。
やっと右手から3枚ほど霊札を出したがそれを投げることができない。
「あやつの心には私心がない、私欲がない、その者を破壊しようとする我はいったい何なのだ。
滅ぶべきは我ではないのか・・・・・」
そういいながら智伯は霊札を自分頭に打ち込もうとした。
「やめろ!」私はとっさに智伯に走りよって突き飛ばした。
はずみで霊札の一番が私の右手をかすった。
ジュッ!と音がして肉の焦げる匂いがした。
私だって聖人君主じゃない。邪悪な心ももっているんだということを再認識した。
私の腕が少しだけヤケドしたのをみて智伯は我にかえり、少し涙目になった。
「もうしわけない、我がふがいなきばかりに。」
私は少し苦笑いをした「いや、俺の心に私利私欲があるから焦げたんですよ。」
池下滅は私のほうに手のひらを向けた。
「この私利私欲はお前の心。お前を殺せば、私をさまたげるものもなくなる!」
私を殺す気だ。
「止めろ!おまえは俺の純粋な心の部分なんだぞ!俺を殺せばお前も死ぬ!」
しかし池下滅は手をとめない「かまわない、悪を滅ぼすためなら、私は死んでもかまわない。」
そのとき、とっさに池内忍が走りだした。そして池下滅の横にころがっていた破魔矢をつかんで
花藤子に投げた。
「小癪な!」私に向けようとした手を池下滅は池内忍に向けた。
池内忍はすんでのところでそれを避けて水札を両手の指の間から大量に出して
盾を作って身をまもった。しかし、それでも池下滅の竜巻の風にとばされて
遠くまで飛んでいってしまた。
「魔導退散!」叫びながら花藤子は素早く弓に矢をつがえ、池下滅に破魔矢を放った。
その矢は私の邪悪な私利私欲の黒い影を貫き、同時に池下滅の体を貫いた。
「ゲホッツ」池下滅は真っ黒な血を吐いた。
それでも、池下滅は歩みを止めなかった。
「なぜだ・・・・・・なぜ弱き庶民を踏みにじる者が栄えるのだ。」
「正しき事を言う者は権力の鉄槌によって踏みつぶされ、
凶者を擁護するものは、益々豊かになる。」
よろめく足取りで自分の目の前に立ちふさがる大天使をにらみつける池下滅。
大天使たちはみんな泣いていた。
「何・・・・・泣いてんだよ・・・・笑え、お前たちが守るものがますます巨大となり、
民衆をあざけり、金をばらまいて豪遊する姿を見て笑え・・・・
そして、それに抵抗するものが血反吐を吐いて死んでゆく姿を見て笑え・・・・・。」
池下滅は大天使のところまで行くと真っ黒な血のついた手で大天使の服をつかんだ。
「笑え・・・・・。」
そう言って、池下滅はニンマリと笑い、倒れた。
そして、2度と起き上がることはなかった。

まったく・・・・・とんだ年末だ。






追伸

テレビでは発言できなかったウイグル暴動の真実(青山繁晴)

という動画を見て、気分的に落ち込んでいるときに書いたエントリーです。

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